修学旅行2日目③秋の金閣寺
俺たちはお昼にそばを食べた後に、また市バスに乗って次の目的地を目指す。
京都らしい食べ物ってなんだろう、ってなって結局そばを食べることに落ち着いた。その場所らしい食べ物って思い付かないんだけど……。東京でも思い付かないな。
「着いたー!」
俺たちは今日の2つ目の目的地の、金閣寺の前に到着した。
「あれが金閣寺かあ」
初めてその姿を見た。ここも木々が鮮やかに色づいていて、その中で金閣寺が光を反射して輝く。
隣の池にその風景が映っている。
「この時期に来れて良かったね」
「うん、一番綺麗に見えるときかも」
俺たちは池のほとりに立って、金閣寺そのものと逆さに映った金閣寺を眺めた。
「Excuse me, could youtake a picture for me?」
「Sure!」
金髪碧眼イケメンな外国人の観光客に声をかけられる。
一応聞き取れたので返事をしようとしたが、先に結花が返す。
まあこれぐらいは聞き取れないとダメか。
結花はスマートフォンを受け取り、金閣寺をバックに写真を撮る。
「Thank you! Shall I take yourpictures too?」
「Yes,please」
俺たちは4人とも一緒に入った写真を撮ってもらえた。ありがたい。
その後も、結花と外国人観光客は楽しそうに話し続けている。
「あの感じ、絵になると思わない?」
「まあ……正直複雑なんだが」
橘さんがわざわざ俺に言う。そんなことさっきまで気にしてなかったのに……。
実際外国人イケメン×結花の組み合わせはどっかの国の王子とお姫様が話してるみたいに見える。言い過ぎかと思われるかもだけど。
「楽しそうに喋ってるよねー」
「それ一番言わなくていいやつ……」
天野さんも余計な事を呟く。やめてくれよ。
俺たち3人はその様子を眺める。あ、話し終わったみたいだ。
「Make Yuika happy, gentleman」
去り際に、爽やかな笑顔で俺に声をかけていった。
……イケメンじゃん。てか俺紳士なの? 外国の本場(?)の紳士にそんなこと言われるの嬉しいな。
「何話してたのー?」
「どうしてここに来たのかって聞かれたから、修学旅行でここに来てるって言ったのと、みんなの話を少し」
「そうなんだ」
「結花、英語も上手いなあ。流暢でかっこ良かった」
「え、ありがとう。……嬉しいな」
結花はいかにも嬉しそうに、声を弾ませて言う。
「今度教えてー、結花?」
「いいよー!」
また楽しみなことが増えたな。
「一条くん、さっきの話だけど、気にしなくて大丈夫だよ」
「さっきの話?」
天野さんにいきなりこそこそ言われて、俺は首を傾げる。もう忘れたかー!って言われた。
「今日同じようなこと言った気がするけど、やっぱり結花は一条くんと話してる時が一番楽しそうだなって」
「え、そうなの?」
「はあ……。これだから鈍感彼氏は……」
「……そこまで言うか」
天野さんのフォローも橘さんのせいでマイナスに落ち込みそうなんだが。
「まあ、大丈夫ってこと!」
「私も、あれは冗談だったから」
「まあ2人の言う通り、絵にはなってたけど」
意外と気にしてたらしい橘さんも言う。結花は何の話?みたいな表情だ。
「まあ、ホテルまで帰ろう!」
俺は軽い足取りで歩き出す。後ろで「あいつ、チョロすぎでしょ……」とか聞こえたけど、今日は聞こえなかったことにしておこう。
明日も、また新たな出会いがあったらいいな。綺麗な風景とか、人とか。
そう思いながら、ホテルまで帰った。
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