修学旅行2日目①班別研修へ!
修学旅行2日目の朝。あんまり寝られなかったなあ……。
カーテンを全開にして、まばゆい朝の光を浴びる。気持ちいい……!
今の時間は何時だろうかと思い、部屋の時計を眺める。え、もう6時40分なのか。もうそろそろ朝ごはんの時間じゃないか。
「一条、起きるの遅いぞー」
「お前らのせいで疲れたんだよ……」
「一ノ瀬さんに会ったら充電できるだろ?」
「俺、新型の充電池かなんかなの?」
同室の男子たちとそんなこと言い合いつつ、レストランに向かう。なんと朝からビュッフェらしい。豪華すぎだな。
レストランの入口のところで、結花に声をかけられる。
「おはよー」
「あー、おはよう、結花」
俺はまだ寝起きでしょぼしょぼする目をこすりながら言う。
「眠そうだね。どうしたの、ゆうくん?」
結花は俺の方にぐっと寄ってきて、心配そうに俺の顔を覗き込む。おっ……。目、覚めました。
なんか甘い香りが漂ってるの、レストランからなのか、それとも結花からなのか。
結花の瞳の奥まで覗けそうなくらいの距離まで近づいている。
「いやー、今日が楽しみすぎて寝れなくて」
それが半分、もう半分は同室の男子たちの嫉妬による枕投げの乱のせいなんだけど。
あ、あと昨日結花と2人で夜景眺めたのも思い出してた。
思い出に浸るのは同室組に邪魔されたけどなあ!? ……許さねえ。
「私もずっとわくわくしてたなー」
結花はうんうんと頷きながら言う。
「班別研修が楽しみだね、ゆうくん」
「うん!」
俺たちは2人だけが分かるように小さく手を振ってそれぞれのテーブルに向かった。
朝から結花に会って話せて、俺は鼻歌でも歌いたい気分で自分の席に着いた。男女別のテーブルってのが少しだけ残念だけど。
「おう、一条。充電は出来たか?」
同室組から剥き出しの殺意を感じる。きゅ、急に現実に戻された感が……。フォーク握りしめないで? 怖いよ。
「あ、うん。……穏便に行こう、お願いだから」
あれ? もしかして友情とか生まれてなかった? 昨日の敵は今日の友とか言うじゃん。これたぶん俺が言うことではないが。
「今日の夜も遊ぼうな?」
「なんでだよ……」
え、俺の青春ラブコメはどうなるの?
俺のラブコメを支援している某イケメン、助けて。
さっきのラブコメの波動を感知してたりしないかなあ。あ、いくつかクラス分けられて朝食取るタイミングずれてたわ。救世主現れず。
まあなんとかこの場でシメられることなく朝食を美味しく味わえた。
一旦部屋に戻って、班別研修の荷物を持ってロビーに集まる。
「ゆうくん!」
結花が俺を見つけて、俺のところまでやってくる。さっき会ったけれど、久しぶりに会ったかのように、結花は走ってこっちまで来た。橘さんと天野さんも後から付いてくる。
「揃ったからさっそく出発しよう」
「「「うん!」」」
全員テンション高めで、元気の良い返事が返ってくる。
ホテルからすぐそこにある市バス乗り場に着いた。
京都の市バスは番号が一杯で分かりにくいんだよなあ、あ、それ東京もか。
「あのバスで合ってる?」
俺はちょうどやってきたバスを指差す。
「いや、もう一台後ろから来てるのだよ」
「おっけ、ありがと」
天野さんに正しい方を教えてもらった。あぶね……。
1日中このメンバーで京都をまわるの、本当にわくわくするな。翔琉もいたらもっと良かったんだろうけど。
あいつのことだし、どこかで現れそうな気がしないでもないが。
俺たちはバスの一番後ろの席を確保した。俺はもちろん結花の隣。そして真ん中。天野さんも隣だ。
市バスが走り出し、俺たちの班別研修が始まった。
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