文化祭2日目
「今日も頑張りましょう!」
「「「おー!」」」
結花の声に、俺含め焼きそば班の皆が応える。
昨日も同じことをしているからか、皆の動きは素早い。
あっという間にパックに入った焼きそばが並んでいく。
昨日と同じくらいか、それ以上お客さんが出店に来てくれて商売繁盛した。
昼が来て、シフト交代の時間になる。
「どうぞー、お疲れ様」
焼きそば午後の担当の女子が焼きそばのパックを2つ渡してくる。
「……え?」
「2人で食べなよー」
「いいの? 売る分足りなくなるんじゃ……?」
「まだ材料はあるから大丈夫だよー。2人ともめっちゃ頑張ってたらしいから、これくらい食べてもいいよ!」
「あ、ありがと」
「カップルに仕事ばっかりさせてたのは申し訳ないしね、2人で楽しんでねー」
その女子は、そう若干ドヤ顔で言って俺を送り出す。今度お礼言わないとなあ。
「なんか午後の担当の女子が、俺らが作った焼きそばくれたから一緒に食べよー」
「わ、美味しそうだね」
「「美味しい!」」
俺たちは自分たちが作った焼きそばを味わう。にんじんとか玉ねぎといった具材にいい感じに味が付いていて美味しい。
「結花のおかげだね」
「そんなことないよ、ゆうくんも料理だいぶ上手くなってたから」
「そう? 1週間ぐらい自炊チャレンジしてみようかな」
俺は褒められて嬉しくなり、つい調子に乗る。
「ゆうくんの手作り料理、食べたいな」
「楽しみにしてて」
「うん!」
こうなったら毎日作るしかねえな。腕が鳴るぜ!
「じゃ、昨日みたいに色々回ろうか」
「うん、そうしよ!」
俺たちは昨日に引き続きカジノコーナーまでやってくる。そういや昨日は、カジノコーナーがメインで他はあんまり回ってなかったかも。今日他回れたらいいなあ。
「ようこそー」
翔琉が出迎えてくれる。ほんとイケメンにスーツとか鬼に金棒すぎる。
「じゃあ、さっそく勝負と行こうか」
やけに自信ありげな感じで翔琉が言う。それ、負けフラグだと思うんだ。
「ポーカーのルール、調べてきました!」
結花も勝負に向けて準備は万端なようだ。
「勝者になにかしらの権利あげることにするか?」
どんだけ自信あんだよ……。負けフラグいくつ増やしたら気が済むの?
「5回プレーして、一番チップ集めた人が他の2人のどちらかに1つお願いを聞いてもらえる、っていうのはどうですか?」
「いいね」
結花に勝負事吹っ掛けたらとんでもないこと言い出しちゃうんだよなあ。
というわけで、1回目の勝負。
「私はフルハウスです!」
「んー、俺はワンペアかあ」
「ノーハンド……」
結花にチップが追加される。
さっそく翔琉負けてるじゃん。しかもノーハンド。
これ以上やらなくても結果は見えてるんだけどなあ。
最後の勝負の時が来た。俺と結花のチップの数はほぼ変わらない。翔琉は……パッと見て数えれるぐらいなんだけど。
「これは負けられませんね」
「そうだな」
俺たちは真剣勝負を前に、バチバチしている。翔琉は……まあもう追い付けないだろ。レイズされて翔琉が勝っても追い付ける差じゃないしなあ。
結果発表。
最終ラウンドで俺はフルハウスを出して、他の2人はワンペアだった。というわけで。
「俺の勝ち」
「悔しい……」
「俺もお願いしたかった……」
「……ちょっと、翔琉来て」
俺は翔琉をぐいっと引っ張っていく。きょとんとした顔の結花に心の中でちょっと待ってて……って言った。
「なにお願いするつもりだったんだ?」
一応確認しておく。まあ流石に趣味悪かったりしないだろうけど。
「手作り料理あと1回でいいから食べたかった……」
「なるほど……?」
「俺変なこと言わないからな!? NTRぶっ壊す党の党員だからな!?」
「いよいよ心配になってきたよ」
俺は親友に憐れみの眼差しを向ける。
そっか、NTRに脳破壊されちゃったかあ。たしかに、純愛かと思ったやつでその展開出てきたら発狂しちゃうのは分かるが。ネット広告で見せられたときの気持ちよ。
俺たちは結花がいるところに戻った。そして、俺たちは他の所を回ってみることにした。
「お願い、あとで聞かせてね?」
先に歩き出した俺の背中をつんつんとつついて、結花が言う。
「おっけ、じっくり考えとく」
「ゆうくんが何言ってくるのか気になる」
何お願いしようかな。俺は考えながら結花とまた歩き出した。
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