結花と文化祭でカジノ
やっと俺たちのシフトが終わった。やっととは言ったけど、結花と一緒に料理を本格的(?)にしたのは初めてで、楽しい時間を過ごせた。楽しい時間ほど短く感じるの、なんでだろ。
まあ午後は色々一緒に回れるからいっか!
「どこから回ろっか、ゆうくん」
「んー、まずはお昼食べない?」
「そうだね!」
俺たちは出店を1つ1つ見て回る。
「カレーとかどう?」
午前中ずっと働いていたから、俺は結構お腹が空いている。ちょうどいま目に入った出店のカレーはわりと量があって、お昼ごはんにはぴったりだ。
「私はあんなに食べれないかもー」
「ちょっと分けようか?」
「いいの?」
「うん、あとデザートにチュロスとか食べようかな」
「わあ、いいね。じゃあ、私はチュロス買ってくるね」
俺と結花はそれぞれカレーとチュロスを買ってきて、近くのベンチに腰掛ける。
「今日初めて休憩したかもしれない……」
ベンチに座ると、ちょっと疲れが出てきた気がした。4時間ぐらい立ちっぱなしだったわけだし。
あれ、俺が呟いた後、なんだか体感温度が3℃くらい下がったような。
「……初めて?」
「ん? ……あ、初めてじゃないですすみません!」
結花はじとーっと俺の方を見てくる。
某後輩ちゃんの昼ご飯に付き合わされてましたね、失言でした。
「冗談だよー、ゆうくん」
そう言って結花はにっこり笑う。でもほんとに冗談かわからないところが怖いんだよなあ……。
「カレー、一口もらってもいい?」
「うん、いいよー」
と返しつつ、恥ずかしさで結花を直視できない。
スプーンで間接キスするの、普通に難易度高くない? メンタル的に。飴の次ぐらいに大変なんだが。
「美味しい!」
結花は俺のスプーンに載っかったカレーをペロッと食べる。
結花はそこまで気にしてなさそう。結花の恥ずかしさを感じるラインがわからない。
俺たちはお昼を食べ終えて、出し物を色々見て回ることにした。
「あれ、楽しそうじゃない?」
俺は派手に飾られているカジノコーナーを指差す。
「私、あんまりわからないけど、大丈夫かな」
結花は少しだけ困ったように笑って言う。
「まあ、たぶん大丈夫だよー。高校のだし、そんな難しくはないと思うから」
「たしかに、ゆうくんの言う通りかも」
俺たちはカジノコーナーの教室に入っていく。
案内役で、スーツをびしっと決めた皆さんご存知のイケメンが立っていた。
「去年もなんかやってなかったか?」
「うん、また今年も部活で出し物することになったんだよ」
「結花があんまりルール分かんないかもって言ってたんだけど、大丈夫かな?」
「まあブラックジャックだから大丈夫だろうとは思うけど」
あの21を超えないようにするゲームか。ならたしかに簡単だから大丈夫そうだな。
というわけで俺たちと翔琉でブラックジャックをすることになった。
「ルールはこうで……」
俺は結花にルールを説明する。
「分かった、ゆうくんに頑張って勝つね?」
「運の良さ対決ってことだね」
俺は結花に笑いかけて言う。まあ翔琉も相手なんだけどね。
ゲームスタートだ!
ディーラーである翔琉が俺たちと自分の分のカードを配る。
俺はAと5か。
結花は8と2で、翔琉は10だ。
翔琉のもう1枚は裏返しだからわからないけど、皆いい感じの引きじゃないか?
「ヒット」
俺はもう1枚引いてみる。3か、Aを11としたら19。まあまあいいじゃん!
「ヒットでお願いします」
余裕そうな微笑みを絶やすことなく、結花がもう1枚追加する。QかKが出てきたら負けなんだけどなあ。
出てきたのは……
「「A!?」」
見事に21ぴったりに揃えた結花の勝ちが決まった。やったー!って言ってて嬉しそうだ。
翔琉は裏返しの1枚を表に返す。AかJなら引き分けだな。
「8か……」
結果、結花の勝利、翔琉の負け。
「もう1回やりましょう!」
結花は面白いと思ったのか、目をキラキラさせて言う。
俺たちは何度もブラックジャックをした。
「もうやだ……。なにこの運強すぎ美少女ヒロイン……俺たちに勝ち目ないじゃん……」
ディーラーである翔琉の心がすっかり打ち砕かれてしまった。結花のとこにはチップが積み上げられている。あの……ラスベガスとか行ったら出禁になるんじゃ?
「まあまあ、結花には運も味方してるからね。しょうがない」
「明日はポーカーするぞ……流石に負けっぱなしはいかん。あとなんで優希がドヤるんだよ」
明日もカジノ対決が決定しました!
「じゃあ明日もゆうくんと来ますね!」
結花はそう宣言して勝者の笑みを浮かべる。格好いい。
俺たちは翔琉に見送られながらカジノコーナーを後にした。明日も楽しみだなあ。
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