表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/200

文化祭の始まり

「……じゃあ今日は1日大変だと思いますが、よろしくお願いします!」


この前焼きそば担当のリーダーになった結花が言う。エプロンを着けて、もう準備は万端な様子だ。


「頑張ろうねー」

「うん!」


俺らは午前中のシフトだ。こう女子ばっかりだと俺としてはやりづらいけど、結花に教えてもらいながら頑張るか。


「作り始めましょう!」


俺たちはそれぞれ準備を始める。


「ゆうく……い、一条くんは野菜切ってもらえますか?」

「おっけー」


結花は普段通り俺のことを呼びかけて、ギリギリ訂正する。それもうバレてますって!


結花は今のところ暇なようで、俺の隣で俺の作業をじっと見ている。


(包丁扱うときは、反対の手は猫の手だな)


俺はそう思って、細心の注意を払いながら野菜を刻んでいく。


焼きそばだから、にんじんは銀杏切りとかがいいかな。玉ねぎはくし切りだろうか。

結花の作る料理を思い出しながら手を動かす。


「ゆうくん、前より上手くなってる!」

「え、前より?」


結花の側にいた女子が不思議そうに言う。まあ普通のクラスメイトどうしって関係なら料理してるところとか見たことないだろうし。てか自然にゆうくん呼び出ちゃってるよ!


「あ! いや、一条くん上手いなーって思ったので!」


結花は顔を赤くして、慌ててごまかす。

結花さん、隠すの下手すぎでしょ……。


「一ノ瀬さんー、ちょっとフライドポテトの方来てくれない? 教えてほしいことがあるんだけど」

「分かりました!」


学級委員(男子)に呼ばれて、結花は俺たちがいるところの向かいにあるフライドポテトの出店に行った。



俺、気まずいんだが。喋る相手いないし。……橘さんはいるか。

俺の周りの女子はなにやらこそこそ話して、俺の方を向く。

え、なになに。俺なんかした?


「あのさ、一ノ瀬さんと一条くんって付き合ってるの?」

「へ……?」


女子の勘、恐ろしい。てか男子も俺たちが2人でいると射殺さんばかりの視線を向けてきたので、先に気付いてたんだろうな。

ここで誤魔化してもさすがに無理があるか……。

そう思って俺は正直に話すことにした。


「……そうだよ、なんで気づいたの?」

「え、だってさー」


女子たちは顔を見合わせる。


「一ノ瀬さん、いつもはクールな感じ出てて真面目なのに、一条くんが関わったら急に可愛い表情するっていうか」

「私もそう思ってた」

「完璧そうなイメージあって近寄りづらかったけど、話してみたいなー」


結花に対して好意的な声が女子たちから上がる。


「あ、でも完璧そうだけど最初から天然っぽいとこもあったよ? そこも可愛いと俺は思ってた」


女子たちは俺の方をぱっと見て、ニヤニヤする。ん?


「一条くんも面白い人だね」

「ん……!?」


俺は女子たちの視線の方向に目をやる。

そこには、照れてうつむき加減の結花が立っていた。


あ、丸聞こえだったんですね、めちゃくちゃ恥ずかしい!

これは今日1日イジられるかも……。




いつも読んでくださりありがとうございます!


ブックマーク、評価が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ