文化祭準備
「じゃあ今日も文化祭関連の話し合いの時間を取る。まだ決まってないことがあれば今日中に決めてくれー」
また担任は俺たちに全部任せる。
まあたしかにね? 色々口出しされるとそれはそれでなんだけど。
……こっちには優秀なブレーンがいるので安心です!
学級委員は結花を前に呼ぶ。
「焼きそば担当とフライドポテト担当に分けましょう、フライドポテトの方が調理は比較的簡単だと思いますが」
「俺らはフライドポテトにするか……」
結花の意見を聞いて、教室の男子たちからそんな声が上がる。
出来れば俺も簡単な方が良いんだけど、結花が手伝ってくれるなら難しくても大丈夫かな。というわけで焼きそば決定。
「一ノ瀬さんの意見に沿って、アンケートを取ります! 今から紙を配るので、希望する方を書いてください」
学級委員も結花と上手く連携を取っている。
結花はアンケートに答えるために自分の席に戻ってきた。
「一緒に焼きそば作ろう?」
「うん」
小声で結花が俺に言う。
俺は結花の方を見て頷く。
迷わずに焼きそば担当を希望すると書き込む。
「今から集計します!」
学級委員が宣言する。しばらく待つ必要がありそうだ。
「集計終わりましたー!」
いや、仕事はやっ!? 2、3分で終わってないか?
「焼きそば担当とフライドポテト担当に分かれてもらいます」
クラスの左半分に焼きそば担当が集められる。
うーん、女子が15人ぐらい? 男子は数人かな。
ん? 男女比おかしくないか? もっと男子は料理にチャレンジするべきだと思うよ! ……って、どの口が言ってんだ。
「よろしくー」
「うん、よろしくねー」
一応そんな感じでメンバー同士挨拶を交わす。
「一条くんって料理出来るんだね!」
「勉強も出来るし、料理も出来るとか格好いいね」
「お、おう……ありがと?」
クラスの女子たちがなぜか俺のことをベタ褒めしてくる。
俺は返事に困って曖昧な感じに返す。まだ実際には料理してないし。
「……時間もあまりないので当日のこと話し合いましょうか?」
結花が他の女子たちの話を遮るように言う。少し声のトーンがいつもより低いように感じた。
「そうだね、そうしよう」
俺は平静を装って(内心は慌てて)結花の提案に同意する。
「時間を決めて交代制にする?」
これがたぶん模範解答のはず。結花と時間さえ合わせれば一緒にやれるし、何より怪しまれることもない。
「たしかに、それがいいかも」
今度は橘さんが同意する。そっか、橘さんの狙いも俺と同じなんだろう。まあ橘さんがいるぐらいなら俺の処理能力を超えることはない。
「そうですね、交代制がいいと思います」
「じゃあそれで決定だね!」
俺たち焼きそば担当の話し合いはサクッと終了した。それとほぼ同時にチャイムが鳴る。ポテト班は決まってないだろうな……。
「ゆうくん、ほんとにもっとモテること自覚した方がいいよ」
「え、俺が?」
「うん。……私も心配したりするんだからね」
結花が唇を少し尖らせて言う。
「ごめん、でも心配はいらないよ。俺は結花と一緒にやるために焼きそば選んだから」
「ならよし!」
結花はニコッと笑って、次の授業の準備をしに軽い足取りで走って行った。
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