がけっぷちのオカルト研究部 起死回生の企画案
「な!?悪い話じゃないだろ!?」
電話越しに男のけたたましい声がなり響く。
「分かったよ、陸人。つまりはその崩壊町ってとこに行って、孤立社会の真相を暴けばいいんだな。」
俺――赤井龍久がそう言うと、電話越しの男――黒井陸人は
「ありがとう~たっちゃん!やっぱお前は俺の相棒だぜ!」
と喜びの声をあげた。
「それで、期間は、、、?」
俺が陸人に尋ねる。
「期間は、、、そうだな、もうすぐうちの高校が夏休みに入るだろ、その休みを利用して行ってもらいたい。」
陸人は少し考えこんでから、俺にそう告げた。
「まじかよ!?俺夏休みなしかー、、、」
俺はがっくりと肩を落とす。
その反応を聞いた陸人が慌てて内容を訂正した。
「いやいや、何も夏休みを全て使えなんて言ってないよ、、、もうすでに泊まらせてくれる向こうの民家の方と連絡はついている。期間は3週だ。」
「いやもうそれほとんど全てじゃねえか!?」
おれはあまりのどんでん返しを食らった気がして思わず叫んでしまった。
「たのむよ~うちらのオカ研の命運がかかってるんだよ~今度売れる記事出さないと廃部になるからさ~」
俺の抗議を聞いた陸人は半泣きで俺にすがってきた。
「はぁ、、、課題持ってくか」
俺は半ば諦めた調子でそう言う。
「まあ、夏休みに何か予定があるわけでもないし、うちの研究部で頼めるのは親がほとんど帰ってこない俺だけだろうし、いいよ引き受けた。」
そう俺が続けると、陸人は
「サイッコー!!お前!やっぱ俺たちは名コンビアカクロだぜ!!」
とわけのわからないことを口走って喜んだ。
「じゃあ、また追加事項があったられんらくしてくれ」
俺はそう告げ、電話を切った。
「旅行か、、、」
俺は窓の外の暗闇をぼんやりと見つめてそうつぶやいた
そう旅行、これは紛れもなく取材旅行。親は良くわからない仕事で年がら年中家に帰ってこない。旅行という旅行は小さいころに行った、親の結婚2年目の記念旅行以来行っていない。親も帰ってこず、友達もいない、そんな寂しさを埋める為にオカルト県研究部に入って早2年、もしかしたら最後の記事になるかもしれない。この企画絶対に成功させよう。
そう考え俺はベッドの中に入り夢の世界へいざなわれた