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季節外れのクリスマス。

作者: 七瀬






___私は去年、家族を亡くした。

まだ、幼い妹が火遊びをしていたのか?

家が火事になってしまったからだ。




___その日は、すごくすごく、寒い日で。

暖房をいつもより少し強めにしていたらしい。


___私の妹はね?

火を見るのがすごく好きな女の子だったの。

何度も何度も、ママに怒られても火で遊ぶ事をやめなかったわ!


ライターやコンロ、ストーブなど火を使うモノのそばには

いつも妹が居たのよ!




 *



___私も、お姉ちゃんとしては妹を怒っていたのだけど?

可愛い妹を強く怒れなかったの。だって! ママとパパに

クリスマスプレゼントで、“妹がほしい!”と書いたから。

毎年毎年、私の願いはずっと変わらず妹がほしいだったの。

そして、私が7歳の時に妹がママのお腹の中にいる事が分

かったのよ。だからなのか、私は妹には凄く優しいお姉ち

ゃんでいたいと思ったの! ずっとずっと私が妹を守って

いくと決めたのに、、、。



『___ねえ、ナーちゃん!』

『___なーに? お姉ちゃん!』

『火遊びはしちゃダメなんだよ! 危ないから、ダメ!!!』

『___ナーちゃんね? 火が好きなの! ボウボウと燃える

火が好きなの!』

『・・・うーん? でも、ダメなんだよ! いい? 火遊びは

ダメだからね! ナーちゃん、めっ!』

『・・・・・・』

『ナーちゃん、お返事は?』

『・・・・・・ううん、』




___今にも泣きそうな顔で、必死に泣かないように堪えている

妹を私は見て! 心が痛くなったわ。


あんなに、望んでいた妹を、、、。

私が、怒らないといけないなんて!

可愛い可愛い、私の妹とはもう会えない。



___パパやママともね。




 *



___私は親戚のおじさんとおばさんの所に預けられた。

おじさんもおばさんも、とっても優しい人たちでね。

私を、本当の娘の様に育ててくれたわ。



おじさんとおばさんの間には、、、?

既に、社会人になって! 家を出ていった子供が2人もいるの。

2人とも、私よりも二回りも上なのよ。



お正月や特別の日には、自分の家族を連れてこの家に戻ってくるわ!

そのお兄さんやお姉さんが連れてくる子供たちは、妹が生きていたら、

同じ歳ぐらいかもしれない。



お兄さんもお姉さんもとってもフレンドリーな人たちでね! 

私の事も、年の離れた妹のように可愛がってくれるの。


本当に、ステキな家族の中に私は居る事ができていると思っているわ!

ちゃんと、愛されていると実感もできるってステキよね!

そんな家族なのよ。




・・・だけど?

もし? 願いが叶うなら! 

私のたった一つの願いを叶えてほしいの!

それは、“妹を蘇らしてほしい!”とお願いしたの。

サンタさんにね! 季節外れにサンタさんに最後のお願い!!!



【___どうか! 妹をもう一度、蘇らしてください!】


桜が咲き始めた、春にそのお願いをしたの。




・・・そして、夏の暑い日に。

夕方、その日は? おじさんとおばさんは町内会の人たちと

近くの温泉旅行に行くとかで、明日のお昼ごろ二人は帰って

くる予定だったわ。 


私は1人部屋で、冷蔵庫からアイスキャンディーを食べながら

携帯電話を見ていたの。



お昼ご飯は、おばさんが用意してくれていた。

そーめんが置いてあったわ。


先に、アイスキャンディーを食べてから、後でそーめんを

食べるはずだったの。




___私は、アイスキャンディーと携帯に夢中になっていたわ。

そこに! 季節外れのサンタクロースが突然!? 私の目の前

に現れたのよ。


___しかも!?

黒と白の服を着ている。

真っ黒の鬚に、髪の長い体型のいいおじいさん。


『・・・えぇ!? サンタさん、なの!?』

『そうだよ! 君がお願いしたモノを持ってきたんだ!』



真っ黒の袋から、何かを出している!?


『・・・中身は、何が入っているの?』

『___君がお願いしたモノさ! じゃあ、おじさんは行くからね!』

『・・・・・・ううん、』




___真っ黒の袋の中で、何かがモゾモゾと動いている。

私は、袋の中身を開けたわ。




・・・そうするとね?

中から、私の望んでいた妹が現れたの!

だけど? 私が思っていた妹じゃなかった!


全身真っ黒で、焼き爛れた臭いもしていたの。

全身重度のやけどね。とても目を伏せたくなるほどの

状態だったわ。


『___お姉ちゃん、ナーちゃん! ずっと会いたかったよ!』

『・・・・・・』

『お姉ちゃんが、わたしを呼んだんでしょ? ナーちゃんね! 

お姉ちゃんに会いに来たよ! 嬉しい?』

『・・・・・・』

『先から、お姉ちゃん! 何も話さないね? どうして、お姉ちゃん

がサンタにお願いしたんじゃないの?』

『・・・私がサンタにお願いしたのは? あの頃の可愛い妹よ!

貴女じゃないわ!』

『・・・ひ、ひどいよ! そんな言い方! お姉ちゃんなんか嫌い!』

『・・・ナーちゃん、』

『___お姉ちゃんもわたしやパパやママの所に連れて行くわ!』

『・・・えぇ!?』

『___一緒に行こう! お姉ちゃん!』

『・・・・・・』


【ギャーーーーーーーーーーーーー!!!】




私は、妹に私の手を掴まれ!

そのまま、部屋の中に急に大きな穴が開き引きずり込まれるように

私は、妹に連れていかれたわ。





 *



___次の日のお昼ごろ。



『おーい! 帰ったぞ~!』

『___奈津佳、何処にいるの? お土産買ってきたから一緒に

食べよう! 奈津佳、何処にいるの?』

『___おーい! 奈津佳、何処なんだ!?』






・・・ごめんね、

おじさんとおばさん、私!

季節外れのクリスマスの日に、変なお願いしたから。

黒と白のサンタさんがプレゼントで持って来た妹に連れていかれちゃった。

もう、二度とおじさんやおばさんに会えない。


___ごめんね、さようなら。




最後までお読みいただきありがとうございます。

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