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七話

 木?いやいや空からでかい塊が落ちてきたかの様な衝撃だったよ!


「今ならまだ門が開いているので見にいってみますか?」


 あまりに普通に言うものだから思わず頷いてしまった。


 暫く二人に付いて歩くと巨大な門のある場所に着いた。門の周りは一本一本が大木と言っても差し支えない程の木で出来た壁?塀?で覆われている。


 門の先は今までと同じ様に小屋が続いていてた。


「この先です」


 少しカーブしている通りを抜けた先の景色に僕は自分の目を疑った。


「……へ?」


 門に入る前に塀の上から木が見えていた。だから門を潜ってすぐに伐採場の様なものがあると思った。

 だけど小屋がありさらにその先に学校のグラウンド三つ分位の広場。そしてそのさらに先。そこにあったのは森。

 ……遠近感がおかしい。人がとっても小さく見える。

 なんて言うんだろう?僕の知っているサイズの木の下に置いたフィギュアみたいな感じ?

 木の高さはぱっと見百メートル以上あるんじゃないか?


「こちらが冒険者の宿屋で奥が伐採場です。さっきの衝撃は恐らくあれですね」


 指を差す方をみると確かに木が倒れていた。倒れた幹の周りに人がいるけどやっぱり太さがおかしい……

 周りに生えている樹々もやっぱり出鱈目にでかい。

 しばらくその光景に圧倒されていると、



 グググ、バターーン



 と、後方から聞こえて来た。


「ごめんなさいハチさん!門が閉まってしまいました!」


 姉妹が謝って来た。そう言えばお昼に開くって言ってたな。時間が来てしまったみたいだ。


「……ここ、僕がいても大丈夫なの?」


「それは問題無いです。ですが案内出来るものがあまりないんです」


「いや、大丈夫だよ。因みにだけどあの作業って見学できたりする?」


「見学ですか?多分大丈夫だと思います。親方さんに聞いてみますか?」


 ここの代表者と知り合いなのかな?


「お願いします」


 親方さんに会いに伐採場へと向かう。今の時間はちょうどお昼休みなんだとか。


 倒れた木の近くに来たけどやっぱり太い。と言うか高い。僕の倍以上あるんじゃないかな?


「「親方さぁ〜ん」」


 二人の呼びかけに手を挙げて答える人が遠くに見えた。だけどシルエットがおかしい。腕の太さが漫画やアニメに出てくる様なあり得ない太さ。そして肩に乗せている鉞?斧?もあり得ない位に大きい。仮にハリボテでできていても僕なら絶対持てないだろう。昔見たことのある大型船の錨みたいだ。


「おう、嬢ちゃん方!今日は休みか?」


「はい。親方さん、今大丈夫ですか?」


「ん?大丈夫だぞ。今日のノルマは終わったからな!」


 そう言って親方さんは倒れた木を親指で指差した。


「こちらの方と一緒に見学させていただきたいんですが」


「こっちのにいちゃんとか?」


「はじめまして、ハチと言います。もしお時間があれば少し見学させていただきたいんですが」


「おっ?馬鹿に丁寧なあんちゃんだな。俺はこの現場を仕切らせてもらってるガイジってもんだ。皆んな親方って呼んでるんで好きな方で呼んでくれ。っと、見学だったか?まぁ、見て楽しいもんじゃねぇが好きなだけ見ていってくれ」


「!!ありがとうございます!」


 着いてこい、と言って歩き出す親方さんの後を三人で追いかける。最初に案内されたのは森の(ふち)、先程倒れた木の切り株だ。

 切り株の大きさも勿論だけど直立不動で天を貫く勢いで伸びる樹々にただただ圧倒される。木の生えている間隔はかなり空いている。


「俺達は開拓専門の木樵だ。一応冒険者でもある。ここには俺達の他にも加工専門の奴とか色々いる。この開拓もギルドからの依頼だな。俺達は指示された範囲の伐採をするんだ」


「そうなんですか。ちなみにどれくらい稼げるんですか?」


「範囲で幾らだが、そうだなぁ、ざっくり言って一本あたり金貨十枚ってところか。うちは五人パーティーだから最低でも一日一本倒せば一人頭金貨二枚になる

 」


 一日で金貨二枚。午前中ここで出ている依頼を色々見たけどここまで高配当なものはなかなか無かったと思う。


 次に向かったのは丸太で出来た塀の所だ。


「ここは開拓村を囲う塀だな。本来なら伐採と並行して塀を足していくんだが木が木だ。馬鹿デカいし枝も少ないからなかなかこのサイズの枝が取れないんだ」


 小枝塀だな、と親方さんは笑いながら塀を叩く。


「おっ、丁度今から塀を足すみたいだな」


 後ろを見ると荷車に丸太の様なサイズの枝を杭のように加工して運んできていた。


「お前ら、ここで見学させてやってもいいか?」


「あれ、親方、お客さんですか?いいですよ」


 塀を作る専門の人かな?二人組だ。一人は親方さんほどでは無いもののかなりがっしりした人で、さっき親方さんと話した人はどちらかと言えば痩せているように見えるがそれでもかなりがっしりしている様に見える。


 痩せている方の人が塀の端に進み地面へ手のひらを向ける。そして一言。


【ホール】


 すると突然穴が空いた。深さは分からないけどその穴に、荷台に積まれている杭をかなりがっしりした人が一人で担いで持ってきた。その杭は五メートル位はあるだろうに軽々と持ち上げ先程開けた穴に差し込む。

 半分近く抵抗もなくストンと入る。

 その作業を繰り返すこと十回。塀は大体三メートル程伸びた。


 この工程を日本でやるとこんなに早く終わるだろうか?


 なんだか興奮して来た!











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