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六話

「どこか希望はありますか?」


 希望か。と言っても何があるかわからない状態だ。


「一通り案内してもらってもいいかな?まだ村に何が

 あるかも分からなくて」


「「任せて下さい!」」


 正直ありがたい。さっきギルドの近くを歩いて見たけどどれがお店か全く分からなかったからね。


 そんな事を思いながら姉妹の後について行く。


 少し歩くとぱっと見商店街とわかるところに出た。人の行き来も多い。


「まずはここですね。ここで大体のものは揃います」


「私達はあまり自炊はしないので食料品は買いませんけどね」


 色とりどりな果物の様なものが並ぶお店や雑貨などが並ぶお店が並んでいる。惣菜屋の様なお店もあるな。ここでは生活必需品が揃う様だ。そうだ!


「武器屋みたいのはないの?」


「ありますよ。こっちです」


 二人に連れられさらに進む。


「ここです」


 商店街から少し離れた場所にそれはあった。


 〜ゴンゾ&ヴェッジ武具店〜


 入り口に大きく掲げられた看板。無造作に差し込まれた剣や壁に飾ってある槍や、あれはハルバードってやつかな?その他短剣などなど所狭しと武器が飾ってある。

 日本ではまずお目にかかれない。テンションが上がってくると同時に目的の物を探す。店の中を物色していると奥から声がかかる。


「いらっしゃい。なにかおさがしで?」


 声の方へ顔を向けるとこれまたファンタジー!僕も大きい方では無いけどそこに居たのは身長一四〇センチ位の髭もじゃのおじさん。腕は丸太の様に太く、これぞ、ザ、ドワーフという出立だ。


「僕でも扱えそうな片手で扱える刃物ってありますか?」


「兄ちゃん位ひょろっこいとな〜、なんか強化系のスキルは使うのか?」


 おぉ〜!魔法に続いてスキルまであるのか!


「いえ、素の状態で使えるもので、出来れば頑丈なものがいいです」


「頑丈?用途は?」


「攻撃にも使えて解体にも使えるといいですね」


「ん〜、おっ!ちょっとまってろ!」


 そう言って奥へと行ってしまった。


「ハチさんは剣術スキルを持ってるんですか?」


 ミミから声が掛かった。


「いや、僕は何もスキルを持ってないよ」


 隠す様なことでも無いし正直に話す。


「「えっ?」」


 二人から揃って返事が返ってきたところで店主?が戻ってきた。


「これなんてどうだ?」


 そう言って手渡されたのは包丁より厚みがあり刃渡りは五〇センチ無いくらいか?昔見た事のある剣鉈によく似ている。

 ただ一番目を引くのはその刃に浮かぶ模様だ。ダマスカス鋼だったかな?前に見たのは模様しか無かったけどこれは薄らと色々な色が混じっている。

 とにかくとても綺麗で思わず見惚れてしまった。


「「……綺麗です」」


 ミミとリリも同じ意見の様だ。


「はい、綺麗です」


 僕は思ったままを伝えた。


「あ〜、そいつは有難いんだがな。見た目じゃなくて要望通りか聞きたかったんだが……」


「えっ、あっ、はい!ありがとうございます。思った以上にイメージ通りです。ちなみにこちらはおいくらですか?」


「銀貨三枚ってとこかな?」


「「銀貨三枚!?」」


 二人が驚いている。ちなみに僕も驚いている。さっきお店に飾っている武器を見た時にチラッとみえたけど短剣の類で銀貨十枚から。壁掛けの武器は金貨からなんてものもあった。金貨一枚が銀貨何枚分かは分からないけど、それにしてもこの目の前の剣鉈が銀貨三枚とはどう言った理由だろう?


「こいつは親父が端材の屑鉄なんかを寄せ集めで適当に作ったもんだからな。剣にしちゃ短いし短剣にしちゃ長いしゴツい。用途の無い刃物は正直商品にならねぇんだよ」


 奥にいっぱい転がってるしな、と店主?が言った。これはお買い得だ。少なくとも僕が望んだものとは一致している。ただ、残念ながら待ち合わせがない。


「すいませんが取り置きってできますか?今持ち合わせが無くて」


「あぁ?なんだ兄ちゃん文無しか?まぁ、いいぞ。店に出せるもんじゃないしな」


 俺は店主?に丁寧にお願いして店を後にする。


「それにしても綺麗でしたね」


「うん、とても綺麗だったね」


 僕は今後この村で暫くお世話になるつもりだ。午前中沢山の依頼表を見た時から考えていたけどさっきの剣鉈があれば色々役立つ事間違いなし。とりあえず明日はFランクの依頼を受けられるだけ受けるつもりだ。村の中でのお手伝いみたいなものだし僕でも問題ないだろう。報酬もお小遣い程度だけど、それでも二つ三つ受ければ剣鉈が買えてしまう。明日はうまくいけばエミリーさんから報酬を貰えるけど正確な額を決めていないのであてには出来ない。


 そんな事を考えていると、



 ズドォーーーーーン 



 一瞬浮いた。


 地震大国出身だけど正直キュッってなった。

 何事かと、周りを見渡してもみんな普段通り。ミミとリリも何も無かったかの様に歩いている。

 キョロキョロしている僕に気付いたのか二人が立ち止まってくれた。


「今のって……何?」


「さっきの音ですか?木の倒れた時の音ですね」





















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