Phase2-3 Great action
戦闘が終わった。
首相の変身は解除されてはいないが、スーツから火花を散らしている。
「お前……」
「そういうものだ。諦めろ」
と、ここでタクミの変身が解除された。
「時間制限付きか……」
制限の存在を確認したタクミ。
と、首相がよろけながら、タクミの元へと━━
「俺にも……使えるよなぁ?」
「何ッ!?」
首相が、2番のボタンを押した。
「何も負荷がないなぁ……」
「嘘だろ……?」
「無いなぁ!?!?」
レバーを戻し、再び倒した。
凄まじい水流が、辺り一面を破壊していく。
「まさか……あいつまで……」
先程の戦闘を静かに見ていたアヤカ。
急いでデバイスのボタンを押そうとした。
その時。
「僕がっ……やるっ……」
「「ッ!?」」
「何だと!?」
「これ如きで……怯まない……!」
夏の暑さを打ち破るその冷気。
水色帯のスーツ。
右手にクロー。
━━タツヤが、変身していた。
「強化中に隙があるみたいだね……そこだ!」
生成した氷を弾丸のように飛ばしていく。
しかし、首相が纏う水流の水圧で打ち砕かれてしまう。
さらに、飛ばしていった弾丸の分、水流の量が増していく。
「溶けた分、強化される……やるしかないか」
震える手で、レバーを引いた。
よろけながら、刃を首相に向け━━
「ブリザードアタック!」
━━突っ込んだ。
「タツヤ!?」
「……どうなったの!?」
数秒した後に、水流の勢いが弱まっていった。
弱まりきって消滅した水流には、首相の胸に刃を刺しているタツヤがいた。
刃を引き抜いたが、凍ったのか、血は噴き出ない。
「これで……いいかな……タク……ミ…………」
引き抜いた直後に、自動で変身が解除され、軽く微笑みながら、その場に倒れたタツヤ。
打たれた箇所は凍っていたのだが……
「…………ダメか」
タクミが生体反応を確認した時には、すでに『ゼロ』だった。
「お前は…………偉人になれる。よかったな…………本当にっ…………」
亡き親友を抱き、咽び泣くタクミ。
「タクミ……」
アヤカが、その状況を自分に置き換えていた。
……その時に、タツヤの位置にいたのはリョウだった。
「お前なぁ……使いたくはなかったが……コレを……」
首相が、何かが入っている注射器を取り出し、それを右腕に刺した。
「うがぁぁ……生き返るゥ……」
「何を入れている!?」
タクミがそれに気付いた。
「注射……!?」
アヤカも、それに気付く。
「これでェ……細胞分裂を活発にさせてェ……傷も何も元通りだァ……」
白目を剥き、汚い息音を発して、首相が2人の方を向いた。
そして立ち上がったのだが、刺された痕は無い。
「デバイスをもう一度ォ……」
「再使用には時間がかかるぞ。全てな」
デバイスには、再使用待機時間がある。
これ以上、首相に打つ手はない。
「もうゥ……これしかないかァ…………」
何を思ったのか、首相がSPを呼び出した。
そのSPが持っていたのは、アタッシュケース。
それを開くと……
複数の注射器と、謎の液体が入った瓶が5本、さらにカブトムシとクワガタが入ったケースが。
「今回はァ……クワガタで行くかァ…………」
「何をするつもりだ!?」
「見ればわかる! 黙って見ておけ!」
タクミが止めに入ったが、SPに制止された。
「こいつにはァ……この液体を既に入れているゥ……それでェ…………」
巨大化するゥ…………
「嘘だ……」
「今までの"非日常"は全て……」
「何か悪いかァ…………???」
…………判明した。
首相・東山カズヒロが、これまでの"非日常"の元凶だった。