Finally……責任の対価《New world》
西原リョウ、本名・東山リョウによる『責任による犠牲』は、既存の独裁政治から、国民主権の政治へと舵を戻させた。
それは、『責任の対価』であり、彼が最期に求めた世界なのかもしれない。
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<2043年4月8日>
「お母さん? 似合うかなぁ?」
北原が運営していた学校などは、方針により公営化された。
それは、北附も例外ではなかった。
この日は、そんな元・北附の入学式である。
「ええ、とても似合っているわ。さすがサヤカね」
「いえーい……きっちぃ」
その母親は、黒い長髪を纏っている。
その娘も、遺伝子を継いだのか、同じ様な髪を纏っていた。
娘は、元気よく坂を上って疲れ、母は、慣れているのか、楽々と上っていく。
また、もう一方では……
「うげぇ……お父さん? カメラ多すぎじゃね?」
「うるせぇ……タクヤ……お前を撮るためにはこれぐらい用意しないと……」
大量の撮影機材を担いで坂を上っていく父子は、互いに疲れている。
子は単純に疲れているようだが、父は機材のせいで疲れている様だった。
入学式が始まった。
校長の話を真面目に聞こうとする者は、ほとんどいない。
教師も、ちゃんと聞いているようには見えない。
その後の内容も、真面目に聞くものはいなかった。
━━入学式が終わり、解散となった訳だが……
「お父さん? あの人、気になるの? 浮気? ……っておい!?」
その父は、向かい側にいる長髪の女性の方へと駆け出した。
母子の母は、その存在に気付いた。
そして、その存在の名前を叫んだ。
「タクミ!?」
━━それに答えた。
「アヤカッ!!」
2人は強く手を握りあった。
それは、ドラマでよくあるような、感動の再開……の様。
「最近見てなかったが……元気してたか」
「ええ。こういられるのも━━」
「「━━『責任の対価』のおかげ……」」
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私は、あの人が繋いだ"日常"を、あの人に見せるべく、必死こいて首相になった。
人の意地汚さは相変わらずだけど、それでも、恐怖で押さえつけるなんてことはしたくない。
どれだけ世の中が汚れていようとも、必ず明日は来る。
それが、今より白いか、黒いかはわからないけど。
どんな形であろうとも、必ず明日は来る。
白いか黒いかは、国を握った私が決めるのかもしれない。
私が胸を張って言えることが、3つある。
1つ目は、今言った通り、『必ず明日は来る』ってこと。
2つ目が、『物事はいい方向に繋がる』。
最後に言えることは……
『責任の対価』の下に、今の私達の世界があるってこと。
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『本日、望団が存在した、元・北原学園大学附属高校の教室の中で、西原リョウさんが書き遺したと思われる手紙が発見されました。その内容は━━』
例え、世界が腐っていても、俺は、この世界を立て直せると思っている。
それが、多少強引な手段であっても。
それが、自己犠牲の上に成り立つものであっても。
━━とは言え、俺が立て直した世界を、俺が見る時が来るかはわからない。
それでもいい。
皆が幸せなのであれば、俺がいてもいなくてもいい。
と言うか、いないだろう。
何しろ、俺には『責任』を果たす時が来るのだから━━
━━2019.07.15 西原……東山リョウ
もう、言い残すことは無い