Phase1-1 Anti administration
絶対にActDespairまで見ておいてくださいね!?!?!?
~3→N5579FK
Despair→N3329FQ
サユリの親友のカスミの自殺もあって、ニュースでは『呪われた望団』などと言った話が繰り広げられていた。
『望みを繋げる学生集団』、望団。
彼らが再築した"望み"も、直ぐに打ち砕かれてしまった。
……首相、東山カズヒロによって。
「お前は何をしたいんだ?」
古びた護送車に乗せられたリョウ。渡された電話越しで、首相に質問している。
「やりたいようにやってるだけだ。そういう事だ」
首相が、笑いながら質問に答えた。そして、電話を切った。
「腐ってるな」
いつもの様に、呆れて返すリョウだったが……
「無礼者ッ!!」
リョウの横に座っていた警備員が、持っていた警棒でリョウを殴った。
リョウの頬は赤く腫れ、唇を切った。
「お前らは……愚かだ」
「貴様、ふざけるな!!!」
リョウが恨み節を言い放った瞬間、警備員がリョウを蹴り飛ばし、またも警棒で殴り続けた。
腕などを殴られ、切り傷を負ったリョウ。
飛び散った微量の血液が、古びた車内に付着する。
「俺をサンドバッグにするつもりか……?」
「お前は『反逆者』として、これより国会議事堂へと輸送する。そこで、国会裁判を開廷し、即座に死刑を執行する」
「何を…………言っている?」
警備員の口から告げられたのは、要約して、『お前は死刑だ』ということだった。
「哀れだな。父親に歯向かって殺されるとはな」
「あんな奴を父親とは認めない。生物的に考えても、結局は認めないだろう」
警備員が舌打ちし、感情に任せて、警棒でリョウを殴り続けた。
「んぐっ……」
弱り果てて、多くのアザが出来ており、やや多めの量の血を流しているリョウ。
「暇だな……そうだ、俺と遊べ」
警備員は、抵抗出来ない程に弱ったリョウの身ぐるみ全てを剥ぎ取った。
露わになる、アザと傷。
「何をするつもりだ……」
「少しエッチな遊びだ。いい暇潰しだろう?」
警備員が、下半身を露出させ、リョウの股を無理矢理開いた。
ここで、衝撃事実が判明する。
「お前……まさか!?」
「ああそうだ。俺は、男であって……女でもある」
手も足も動かせず、ただただ傷ついたラブドールの様な姿になってしまったリョウ。
「よーし…………じゃあ、これが大阪に着くまで遊ぼっか」
「止めて…………くれ…………」
警備員は、下衆な笑いを浮かべながら、リョウを襲った。
対策拠点室。
首相が、望団の団員を並べさせ、口笛を吹きながら往復している。
吹いているその曲は、『モリタート』。
「何を……するつもりですか?」
ミユが、首相に恐る恐る質問した。
口笛を止め、首相が口を開いた。
「お前達に用はない。言いたいのはただ一つ」
首相が、窓の外を指差して、団員が知らない事実を突きつけた。
「あのバカ息子を、『反逆罪』によって処刑する」
『え……?』
リョウが処刑される。それを聞いたハヤトが、声を荒らげた。
「何を言っている!? 何故そうなる!? 父親がすることじゃないぞ!!」
「あーあーあー! お前も愚かだな! 殺れ!!」
――――乾いた破裂音が、部屋中に鳴り響く。
「ぁ…………」
額から血を噴き、倒れていくハヤト。
足が床から離れ、勢いによって、背中から雑に着地した。
この状況を理解出来ない6人。
この状況を笑って楽しく首相。
ハヤトが痙攣し、頭部付近に血の溜まりが広がっていく。
首相がハヤトを蹴りながら、連れのSPに、とても人間とは思えないような指示をした。
「多分、まだ生きてるな。取り敢えず右脚と左腕を切ってしまえ」
「何を言ってるの!?」
ミハヤが本脳的に、首相を止めようとした。しかし……
「近づくなッ!!」
「うごッ!?」
警備員が、ミハヤの顎を手加減無しで殴った。
宙で一回転し、ミハヤが転がるように倒れた。
「ミハヤちゃん!?」
ヒカリが首相の方を、警戒している様な目付きで見たのだが……
「勝負するか? 大人と」
狂った笑みを浮かべる首相と、その横で短刀を手に持つSP。
ヒカリは、首から先の力が一気に抜けていってしまった。
目の前にある、その惨状。
6人は、ただただ黙って見ているしか無かった。
「ぁあ"ぁ…………」
SPによって、右腕が少しずつ切断されていく。
成立しない呻き声を発するハヤト。
痛みが加速し、苦しみ方も生々しくなっていく。
そして、半分程切られた辺りで、SPが手を止めた。
「切るのはもう飽きたので、刺してしまって宜しいですか?」
「いいぞ。好きに殺せ」
そして、短刀の先を下に向け、ハヤトの首へと…………
「やぁッ!」
…………刺した。
『!?!?!?』
もう、誰にも止められない。
死刑は、ここで終結した。
「抜けよ?」
「汚れま…………今更ですね」
短刀を引っこ抜いた。
鮮血が噴き散る。
白い机に、白い壁に、白い天井に、白い制服に……
「何で…………何で…………」
顔面の半分が血で塗り潰されたミユが、首相を睨んだ。
「まぁ、これが普通だろ」
ヘラヘラと笑いながら、狂った基準を押し付ける首相。
「何処が――」
「ダメよ……挑発に乗っては」
拳を握ったミユを、どうにかアヤカが止めた。
「ミユ。本来なら死刑モノだが、今回は見逃す。お前には見るべき『死刑』があるからな」
「息子を……殺すのですか?」
「当たり前だろ。あんな糞ガキは殺してなんぼだ。やりたいことを邪魔してくるし」
「何ですか? 『やりたいこと』とは」
「いつか分かる。あいつの処刑の時に、教えよう。それと…………」
首相が、SPにモニターを持って来させた。
「今、あいつを乗せた護送車は広島県内に入った位か。今の状況を見せる。まぁ、結構躾るように言ってるからな……」
リモコンで、モニターの電源を付けた。
そこには、想像を絶する状況が映し出されていた。
「何これ……!?」
『うっ………』
虚ろな目で、手も足も動かさず、されるがままに襲われているリョウがいた。
車内に散る血と、車両自体の古さから、かなり物々しい雰囲気を醸し出している。
「何これ!? 今すぐに止めさせてよ! なんて事をさせてるの!?!?」
ミユが、その感情を露わにした。
「まぁ、これは想定外だが…………妥当な仕打ちだな」
「ふざけないでよ!!」
鈍い打撃音。
ミユの拳の先には、凹んだ首相の頬が。
「その車はどこに行くの!?」
「東京……ただ、大阪の高槻市辺りで休憩を挟むらしい。駅前辺りだ」
それを聞いた瞬間、ミユが残った4人を引き連れて、対策拠点室を後にした。
ハヤトの亡骸を見て、ミハヤが、
「ごめんね…………」
別れの言葉を告げるように、自分の思いを口に出した。
「追いますか?」
「いや、面白いから高槻で張り込む。そこで一網打尽だ。『協力者』には、支援するように言っておく」
首相は、リョウが襲われている映像を背に、やはり下衆な笑いを浮かべていた。