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バトルロイヤル物語  作者: BulletKumar
8/11

アフロ

「シャア!!先制ヒット〜!」


品のない声が響く。


ボリュームのあるアフロヘアをゆらゆらさせながら、男は勝ち誇った。


「貴様、勝手に始めるな!しかも殺せてないのか?!」


アフロのそばで前方を伺っていた軍人が、怒りを込めた口調で問う。


「うるせーな、相手の装備は伝えたろ?手負いにしただけで充分じゃんよ」


一瞥して吐き捨てた後、あとはよろしくと言わんばかりに手をヒラヒラさせ、再度スコープを覗き込む。


「あーあ、見失っちゃったじゃねーか。さっさと片付けてこいよ」


「くっ、これだから賞金稼ぎは好かん!」


軍人は拳銃を構え、警戒しながら森の奥へと進んでいく。


やれやれといった表情で、アサルトライフルを構えた小男が後ろを付いていく。


「いってらっしゃ〜い」


アフロが気だるそうに声をかける。


このチームの出だしは順調だった。


転送直後に探索したエリアで、スコープ付きのスナイパーライフル、アサルトライフル、おまけに拳銃まで手に入れた。


さらに探索エリアを広げて入った森では、早々に索敵に成功。


確殺は逃したものの、敵の装備を把握し、うち1人の片腕を奪い、戦力を大幅に削った。


「いちばん強そうな奴の片腕を潰したし、後は奴らがなんとかするだろ」


アフロはスコープから顔を上げ、首をコキコキと鳴らした後、おもむろにタバコに火をつけた。


アフロは、その日暮らしのしがない賞金稼ぎだった。


酒、タバコを好み、稼いだ日銭は怠惰な日常に消費する日々を送っていた。


そんな暮らしを続けられるほどに、狙撃の腕には絶対の自信があった。


だからこそ、チームで獲得したスナイパーライフルの所有権を強引に奪った。


自らの腕を証明し、主導権を握るためにも、、さっそく見つけた相手チームを1人、あわよくば全員殺すつもりでスコープを覗いた......はずだった。


「なんだったんだろ、あれ」


索敵が成功し、スコープを通して見えたのは、大柄な軍人風の男と、小柄なスロープの可愛い子ちゃん。


そしてちょっとイケメンな優男。


アフロは迷わず、殺意を込めて優男の頭を狙った。


そしてすぐさま引き金を引いた。


相手は確実にこちらに気づいていないし、それはいつものルーティンよりも簡単な作業だった。


「ーーータァン」


小気味良く、聞き慣れた音。


威勢良く吹っ飛んだのは、大柄な男の腕だった。


「スコープの調整は狂っていない。距離も、感触もいつも通りだったはずだ」


全ての条件が揃っていたのに、結果だけが違う。


まるで時空が歪んだかのような感覚だった。


「今さら緊張ってわけもねぇしなぁ。ヤキがまわったか」


煙をくゆらせ、しばらく思案していると、遠くで銃声が聞こえた。


「お、始まったかな」


どれどれとタバコを足元で踏み潰し、スコープを覗き込む。


ふと、一陣の風が吹いた気がした。


「ピシュッ」


「ん?」


何か聞こえたかと思う間も無く、アフロは額に空いた風穴と共に、地面に突っ伏していた。

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