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制限つきの転生  作者: しるあ
5生
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-1話-無邪気

4生で起こった事を揺りかごに揺られながら振り返る。

玲菜ちゃんに告白され、断ったら親友の有香ちゃんに殺されたんだっけ。

中学生の友情とは恐ろしいものだ。

しかし、ナイフで刺される痛みというものは相当なものだな。思い出すだけでも胸が痛い。健康、大事。


ん?待てよ。俺は断ったらナイフで刺される事を知っている。

…防衛できるのでは?

早く試してみたい。しかし...後13年無駄に過ごさなければならない。

ゲームだとスキップできるが、生憎人生という理不尽なゲームにそんな贅沢な機能はない。

まぁ、悠々自適に過ごしていこう。


-薫8歳 夏休み2週間前-


俺は5回もの幼少期を経て、幼児の演技が上手くなっている。

まあ幼児の演技といっても事がある毎に一喜一憂しているだけなのだが。

この技術を用いて役者として生きていくのもいいかもしれないな...飽きてきた頃に挑戦してみるか。

「かおるー!ドッジボールしようぜー!!」

「いいよー!!オレのハイパーミラクルボールが火をふくぜ!」


お昼休みになると男子は校庭に出て無邪気に遊ぶ。大人にはない活力を持った少年達は

常に全力で遊んでいる。これは大人も見習うべきだと思う。俺自身思考は大人でも皆が全力で遊ぶため、退屈ではない。寧ろ楽しい。何も気にせず遊ぶというのは気楽なものである。

「場所が取られる前に走れー!!!」

「「「「うおー!!!!」」」」

教室を飛び出す少年達。後に続いて俺も出て行く。

廊下で玲奈ちゃんとすれ違った。目が合ったが、この頃はまだ接触したことがない。気にせず走り去ろうとした。


ティロン


「え?」

予想外な音に思わず体が硬直してしまう。

音の発生場所であろう、玲奈ちゃんを見ると頭上にウィンドウが出ていた。

ここで分岐路?何故だ?

選択肢は... 


友達になるor友達にならない


...何の意味が?友達になればどうなる?まさか選択ミスをすると死ぬとかないだろうな...

「おーい!かおるー!何してんだー!!」

「ごめーん!!ちょっと待っててー!!」


ええい、とりあえず今はとりあえず友達になっとけば間違いはないだろう。


「ねぇ、きみ、名前は?」

「わたし、れいな。あなたは?」

「ぼく、かおる。ねぇれいなちゃん。ぼくと友だちになってくれる?」

「うん、いいよ!」

「ありがとう!よろしくね!」

「うん!よろしくね!」

「じゃあぼく、ドッジボールしに行くからまたね!」

「うん!またね!」

振り返り友達の所へ急いで向かう。

しかし、何故今ウィンドウが。しかもどちらも背景色に色がなかった。

…もしかして俺は今、既に違うルートに入ってるのか??

ワケもわからぬままひとまずドッジボールを楽しんだ。


その日の帰りの会を終え、門を出ようとした所で「かおるくーん!」と可愛らしい声で呼ばれた。


「あ、れいなちゃん!どうしたの?」

「いっしょに帰ろうよ!あ、かおるくんの家ってどこ?」

「神社の近く!」

「あーぎゃくかぁ...」

しょぼくれた顔で「そっかー」と残念がる。

もし俺がただの小学生だったらこのまま別れて家に帰るが、今の俺は他人の気持ちを汲み取れる大人である。

「れいなちゃんの家まで行くよ!」と、大人が小学生に気を遣った。


玲奈ちゃんの家に着くと「ありがとう!じゃあね!また明日!」と家に入っていった。

流石に初めて出会った奴を小学生とはいえ家にあげないか。とも思ったがそんなワケはなく、

単純にお母さんの了承を得てないから家にあげる事はできないと小学生ならではの理由で納得する。

しかし、あの態度は俺に好意を持っている。まあ結果的に13歳の夏に告白される訳だから

勘違いではないと思うのだが。1生で玲奈ちゃんと付き合っていた時は中学の卒業まで交際が続き、高校進学を理由に別れて、それきりだった。当時彼女が泣きながら破局を了承した覚えがある。


そこでなんとなく分かった事がある。勿論ただの推測なんだが。


この生は玲奈ちゃんの為に使ってみよう。

多分、そういう事なのだ。

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