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SFゲームの1000年後はファンタジー(旧名SF世界からの漂流者)  作者: アロマセラP
EPISODE1 第1章
8/58

これからのこと

「はあ、はあ、ここまで来れば大丈夫でしょ」


 レイハルト達は森の中を走っていた。兵士たちの声が完全に聞こえなくなってからさらに少し走って辺りで足を止めた。


「ふう」


 レイハルトは木の下で腰を下ろした。ここまで走ったのはこの世界に来てから初めてだ。


元の世界の身体だったらここまで持たなかっただろう。さすがレベルMaxの肉体、身体は作りが違う。


「はあ、はあ、はあ」


 リリアはまだ息が整っていないようだ。あれだけ走ったんだ、当然と言えば当然だろう。


 レイハルトは辺りに目を光らせる。特に人影何かは見えない。


「大丈夫だ。誰もいない」


 リリアも落ち着いてきて腰を下ろす。


「なあ、リリア」


「な、なにかしら?」


 レイハルトの呼びかけに驚いたような、怯えたような表情をする。


これから聞かれるであろうことを予測したのだろう、沈んだ表情をしている。


そりゃ身バレは怖いよな。元の世界でも身バレしたせいで破滅したやつを知っている。


「これからどうする?」


「え?えっと、そうね」


 予想外の言葉を聞いて少し驚いてから地図を取り出す。


「今は多分ここらへんだと思うから、ひとまず森を抜けましょう。ここに大きな町がある、から」


 徐々に声が小さくなっていくリリア。待ちに行けばおそらく自分の正体がばれてしまうと思ったんだろう。


リリアの一番特徴的なものは、


(髪か)


 リリアの綺麗な銀髪。おそらく王女の特徴は銀髪美少女で通っているのだろう。


 レイハルトはARパネルを操作し、コスチュームのところからつばが広めのハットを選択して被る。


「リリア。はいこれ」


 レイハルトは取り出したハットをリリアに渡す。


リリアは最初ポカンとしていたが、すぐに意図を察してハットの中に髪を隠して被る。


「さてそれじゃあ、その街に行きますか」


 レイハルトが腰を上げて伸びをする。リリアも立ち上がって土を払う。


「そうね、で、でも」


「ん?」


「聞かないの?」


「何を?」


「何って、それは」


 しどろもどろになるリリア。兵士から逃げる理由。自分の正体。聞くことはいくらでもある。


しかし、


「言いたくないなら言わなきゃいい」


 プライベートに踏み込みすぎるのは危険だ。そのせいで関係が悪化することもある。


言いたくないことには大抵理由があるものだ。それを無理に聞き出そうとはしない。昔それで失敗したからな。


それに、こっちの秘密も話さなきゃいけなくなるかもしれないしな。


「話したくなったら話してくれたらいいから」


「そ、そう」


 リリアは不思議そうな顔をしながらうなずいたそして、町のある方へ歩き始めた。




 町の近くまで来てレイハルトたちは立ち止まっていた。町に入らないかというと、


「オルガ、どうしよう」


 フェンリルことオルガの存在。


パッと見ただの狼にも見えなくはないが、見る人が見ればただの狼とは違うことに気が付くだろう。


「我は町の外にいようか?」


「そんな、オルガだけ外に出しておくなんて」


「しかし、それでは町に入れなくなってしまう」


 レイハルトも何かないかとアイテムストレージを見てみる。透明化や変身できるアイテムなんてものはない。


「レイハルト、魔法でどうにかならない?」


「悪いけどそういった魔法は覚えてないんだよな、攻撃系ばっかで」


 レイハルトの答えにしゅんとなってしまうリリア。


「オルガ、自分の姿変えたりは」


「できたらすでにやっている」


 ですよねー。さてどうしよう。


「もういっそ一緒に入れないか試してみない?もしかしたらペットで通るかも」


「さすがに無理じゃないか?これだけ大きな町の門番やってる人だ。たぶんばれるぞ」


「やってみなきゃ分からないじゃない」


「わかってるのか?ダメだったら下手すると捕まるんだぞ?」


「う、それは」


 どうやらその可能性が頭から抜けていたようだ。


「んー、あ」


 レイハルトが来ていたコートを脱ぐ。そしてオルガに差し出す。


「なんだ?どういうことだ?」


「これを着てみろ」


 オルガは言われた通りコートの袖に前足を通すが身体が大きいだけにコートがかなり引っ張られる。


「少し小さいな」


 レイハルトはARパネルを操作し大きめのコートを選択して渡す。


今度は少しゆったりしている。しかし、色が茶色のため、


「似合わないな」


 全く似合っていない。


「でもこれならいけるかも」


 確かに見た目は狼というか犬のようだ。怒られそうだけど。


「それじゃあ行きましょう」


 レイハルト達は町のほうへ歩いていった


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