エレナと模擬戦
レイハルトはリリアとエレナを連れて訓練場に移動した。
「リリア」
「なにかしら」
レイハルトは気になっていたことを聞いた。
「エレナさんは何で魔術師なのに剣を持っているんだ?」
「ああ、彼女は貴方と同じ魔法剣士なのよ」
ああ、それなら納得。
「俺の主は弓だっての」
レイハルトの反論をリリアは笑って受け流した。
(わざとか!)
訓練場に着くとエレナさんは模擬戦をすることを伝えた。
「久々にレイハルトさんの戦いが見れるのか」
「相手はエレナさんだ。面白い戦いになるぞ」
ギャラリーが続々と増えていく。軍の人だけでなく魔術師団の人も来始めた。
「ふん、エレナごときが相手になるものか」
マルファスがそう言うと周りの魔術師も頷いていた。
レイハルトたちは位置に着く。
「模擬剣をお願いします」
レイハルトは兵士の一人に模擬剣を持ってきてもらう。
「自分の持っている剣を使っていいんですよ?」
「いえ、これでいいです」
(アザタ武器なんて使ったら、通常攻撃で殺しかねん)
レイハルトは持ってきてもらった模擬剣を受け取る。
「号令は私がかけます」
リリアがそう言う。お姫様が良いのかと思ったが周りから止める声は聞こえない。
「それでは、始め!」
エレナは腰の剣を抜き、レイハルトに斬りかかる。レイハルトはバックステップで回避する。
『サンダーレイン』
5本の雷がレイハルトに向かって飛来する。レイハルトはそれをステップで回避しエレナに斬りかかる。
「はっ!」
エレナはその剣を自分の剣を斜めにして受け流す。レイハルトはすぐさま距離を取る。
レイハルトは「フォイア」をレベル10で起動する。
『シールド』
火の玉が光の壁にぶつかる。しかし、光の壁はびくともしない。
「ほう」
レイハルトは剣を構えなおす。
エレナが突っ込むと同時に鋭い突きを3発放つ。
(速い!)
レイハルトはそれを剣ではじく。エレナは立て続けに剣撃を繰り出す。
「レイハルトさんが、押されてる?」
「いや見ろ、彼の顔」
レイハルト自身気づいていなかったがその顔には笑みが浮かんでいた。
レイハルトはエレナから距離を取り、雷の中級魔技「アト・ザンド」をレベル8で起動する。
エレナの頭上に雷の球体が発生し、そこから真下に雷が落ちる。エレナはそれをステップを踏んで回避する。
エレナのレイハルトを見る目が険しくなる。しかし、レイハルトはそれに気づかなかった。
レイハルトは「モーメンシュニット」をレベル14起動し、3連撃を叩き込む。しかし、エレナはそれを剣と『シールド』で全て防ぎきる。それには周りからも驚きの声が上がる。
『サンダー』
エレナは雷を自分の剣に打ち出した。すると、剣が雷を帯びる。
「剣に雷を付与、そんなことができるのか」
エレナは距離を詰めて剣を振るう。レイハルトは剣で受けようとして、雷が付与されていることを思い出し、とっさに回避する。
「さすがですね。あのまま剣で受けていたら雷を食らってましたよ」
エレナが突きの構えをとる。レイハルトは「アル・フォイア」をレベル10でチャージする。
エレナが突きを繰り出してくると同時に「アル・フォイア」を起動する。
「な!」
剣が炎に触れた瞬間にバックステップを踏む。剣の炎に触れた部分の雷が消えていた。
「貴方、何者ですか?」
いきなり飛んできた疑問にレイハルトは「旅人」と答えた。
「貴方の魔法と先ほどの剣撃、どちらも魔力を使っていましたが、私たちとは魔力の流れが違います」
レイハルトを含めるその場の全員が目を見張った。
(それが分かるのか)
「不思議な魔力の流れです。まるで自分以外の何かに魔力を流しているような」
おそらくマイクロチップのことを指しているのだろう。彼女くらいになるとそれが分かるのだろう。
「俺たちは剣撃を武技、魔法を魔技と呼んでいる。残念ながらあんたら使っている魔法は使えない」
「俺たち?」
リリアがレイハルトの発言に対して聞いてきた。
「それは貴方の故郷の人達もっての事?」
「まあ、そうだな」
この身体ならばそうなるだろう。レイハルトは剣を構えなおす。エレナはハッとする。
「模擬戦中にすみません」
「いや構わないよ」
そのまま模擬戦は続行したが、30分くらいしたあたりでレイハルトの「フォイア」のレベル17をエレナの『シールド』が受けきれずに終わった。
遅くなりました。投稿再開します




