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SFゲームの1000年後はファンタジー(旧名SF世界からの漂流者)  作者: アロマセラP
EPISODE1 第1章
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VSドラゴン2

 ゲームではソロ討伐で1時間以上かかるボスはざらにいた。こいつもその類だ。時間かけてもいいが、そうすると、貴族連中がうるさそうだな。


(まあ、しゃーないか)


 レイハルトはバーチカルシュニットやモーメンシュニットのような連撃数の少ない武技を使い、攻撃をする。


あまり連撃が多いと隙が大きくなると考えたからだ。


一応武技を打っている途中で回避をすることもできるが、その時のジャスト回避、無敵時間で回避するのは難しい。


 近づいているせいかドラゴンはブレスよりも尻尾や足の攻撃が多い。


それらを全てジャストガードで防ぎ、攻撃を続ける。時々深く入って少し血が出るが、ドラゴンの回復力たるや、すぐに傷がふさがってしまう。


 ドラゴンが少し飛び上がる。翼を羽ばたかせると風圧で飛ばされそうになる。そして、少し後ろに下がるとブレス攻撃をしてくる。


まっすぐなものはよけて、横に広がるものはステップ回避の無敵時間で回避する。そしてまた近づくと攻撃を繰り返す。


 またしてもドラゴンが飛び上がる。また距離を取るつもりかと近づこうとして気が付いた。ドラゴンが尻尾を振り上げている。


(サマーソルトか!)


 レイハルトは相手のサマーソルトをジャストガードで受けとめる。反撃は尻尾には当たらず空振りになる。


 ドラゴンはそのまま上空へと飛ぶ。上空でドラゴンが大きく吠える。


 レイハルトはその声に感じたことのある禍禍しいものを感じ取った。


(この感じは!?)


 「俺」は知らない。現代日本でこんな禍禍しいものはない。知っているのはレイハルトの方。ということは…


(ダークネスの因子!)


 もう消えたと思っていたがまだ残っていたか。ダークネス・ラグナレクは滅んだはず、だとしたらこれは残党か。


(これがPICTとしての最後の仕事かな)


 レイハルトは雷の上級魔技のメティア・ザンドをレベル20起動する。


ドラゴンが飛んでいるよりさらに上空から特大の稲妻が5本、隕石のように落ちてくる。


「落ちろカトンボ!」


 稲妻は3本がドラゴンに直撃する。そのうちの1つが翼に当たり、ドラゴンは体勢を崩す。しかし、地面に激突する前に体勢を立て直し着地する。




 ドラゴンとの戦闘を初めて1時間近くが経過した。しかし、こちらはまだドラゴンに大きなダメージを上級魔技の数発しか与えられていなかった。


 ドラゴンが飛びながら尻尾で攻撃してくるのを盾でガードする。


「くっ!」


 ジャストガードを失敗しノックバックする。


「はあ、ちっ」


 疲れが出始めていた。ゲームでは2時間くらいボス戦をやっていても平気だったが、実際に身体を動かして戦うと疲れが尋常じゃなかった。


 ドラゴンのサマーソルトをバックステップでかわそうとするが掠ってしまう。


すかさずケアラで回復する。意味がないかもしれないが常にHPが満タンの状態でいたかった。


(そろそろ決定打を与えたいが、大技使う隙がないな)


 大ダメージを与えられる大技は大体が大ぶりな攻撃か連撃数が多いのがほとんどだ。そんな隙を見せたら即やられるだろう。


 レイハルトは片手剣武技「リニアプリック」を起動し、一直線に突っ込み、強烈な突きを前足に入れる。


少し深く入った片手剣をバーチカルシュニットで前足を切り裂いて取り出す。


「gugyaaaaaaaaaa!」


ドラゴンが叫び声をあげながら首を大きく持ち上げた。鮮血が流れるが、やはりすぐに止まる。


「よし!」


 足にだがいいダメージが入った。


(嘘だ、これではまずい)


 オグゾルは少し焦っていた。あれほどの実力者だ。すぐには死なないと思ったがここまで粘るとは思っていなかった。


しかも、ほとんどダメージというダメージを受けていない。それどころか、先ほどのドラゴンの様子を見るに、ドラゴンに着実にダメージを与えている。


(このままでは計画が)


 レイハルトは頭は残せないだろうと話していた。レイハルトも死なず、頭も手に入らなければただ、レイハルトの強さを再確認させられただけになってしまう。


(いや、それだけでは済まないか)


 もしかしたら、レイハルトやそれを従えている(ことになっている)フィルリリアの地位や発言力が強くなるかもしれない。そうなれば公爵が危惧していたフィルリリアが王位に就く、というのが現実味を帯びてしまう。


仕方ない。


「レイハルト殿、早く片付けてもらえないだろうか」


 返事はない。


「我々を早くこの危険なところから帰して欲しいのだが」


 やはり返事はない。


「貴様、私を無視するのか!」


 レイハルトはドラゴンに切りかかるだけで返事はない。


「クラーキス伯爵、うるさいですよ」


 フィルリリア姫にそういわれては黙るしかない。


 レイハルトにはオグゾルの言葉は聞こえていなかった。強敵と戦えることの楽しさからドラゴンが放つ音以外は全て雑音として処理させていた。


オグゾルの声は風が草木を揺らす音と同じようにレイハルトは感じていた。




 さらに1時間が経過した。レイハルトの集中力も限界が来ているのか、ジャストガードをミスする頻度が増加してきた。


(まずいな)


 レイハルトも焦りを感じていた。このままではこちらの体力が持たない。


 横なぎのブレスが放たれる。それステップ回避する。次に来た尻尾の薙ぎ払いをジャストガードしようとして少し遅れた。


(しまった!)


 レイハルトは尻尾に横に飛ばされてしまい、樹に激突する。


「レイハルト!」


「よし!」


 リリアが叫び、オグゾルが歓喜の声を上げる。


(よし?まさか)


 ようやく、オグゾルがドラゴンと戦わせた本当の目的を理解した。


「クラーキス伯爵!あなた」


「gyuaaaaaaaaaaaaaaa!」


 ドラゴンの声に全員の視線がそちらに集まる。ドラゴンが尻尾を振り上げ、レイハルトを叩き潰そうとしている。


まあ、ドラゴンがカトンボには見えないけど、良いよね。

レイハルトがこの世界に来てから初めてのピンチです。

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