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SFゲームの1000年後はファンタジー(旧名SF世界からの漂流者)  作者: アロマセラP
EPISODE1 第1章
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酒場へ

翌朝、レイハルトとリリアは王城の城壁の近くにいた。


「ここに置くのか?」


レイハルトがアイテムストレージを操作する。もちろんテレポーターを置くためだ。


「いいえ、別にいらないわ」


 リリアは首を横に振る。どうやらテレポーターで外に出るわけではないらしい。


「じゃあどうやって外に出るんだ?」


 当たり前のように門からは出れない。


「魔法や魔道具がないと出られないなら、私はここから出られてないはずだけど?」


「確かに」


 リリアがここから出られている以上、何らかの抜け穴があるはずだ。


「こっちよ」


 リリアに案内された場所にたどり着くと、城の裏側だからか少しひびが入った城壁があった。リリアはそこの一部を軽く押す。するとレンガが数個奥に動いた。


「ここから出られるわ」


 リリアがレンガをさらに押し込む。


「そのまま落としたら音で気づかれるんじゃないか?」


「大丈夫よ、向こう側に草が茂っているから音がしないの」


 リリアはそのままレンガを落とす。草の上に何かが落ちた音がしただけで大きな音はしなかった。


「リリア、ちょっと待った」


 空いた穴に入ろうとしたリリアをレイハルトが止めた。


「俺が先に行く」


 リリアが不思議そうに首を傾げて、顔を赤くした。どうやらスカートをはいていることを忘れていたようだ。


レイハルト、リリアの順に穴をくぐり城の外に出る。落としたレンガは元にはめておく。


王城をぐるっと回って城下町に出る。


「こっちよ」


 リリアの先導で町を進んでいく。ほどなくして目的地である酒場にたどり着く。


「いらっしゃい。お、リリアちゃんじゃないか、久しぶり」


「おじさん、久しぶり」


 中はカウンターとテーブルが3つあるだけの小さな酒屋だった。客は男が二人テーブルに座っているのみだった。その二人も冒険者というより職人の様だった。


「冒険者はいないのか」


「ここは依頼の仲介はしてないからね、純粋な酒場なのよ」


レイハルトの疑問にリリアが答える。


「リリアちゃん、今日は連れがいるのかい。なんだ?リリアちゃんの良い人か?」


 カウンターの奥の男性、おそらくマスターだろう、が茶化すように言う。


「違うわ、仕事仲間よ」


 しっかりと否定するが、顔が若干赤くなっていた。ただ、店内が薄暗いこともあって誰も気が付かなかった。


 リリアがカウンターに座ったのでレイハルトも隣に腰を下ろす。


「マスター、いつもの、こいつには弱めのをお願い」


「了解、なんだ兄ちゃん、酒苦手なのかい?」


「いや、飲んだことがないらしいんだ」


「なに!?その年でか!?」


 やはり驚かれる。


「何でも、彼の故郷では酒は20歳にならないと飲んじゃいけない決まりだったみたい」


「なんだ、兄ちゃん旅商人か。しかし、珍しい決まりだな」


「私も聞いたときに驚いたわ」


 そんな話をしているうちに酒が入ったグラスが二つ出てきた。


「ちょっとまってな」


 マスターは肉を焼きはじめる。


「珍しいハーブが手に入ったから、それを使ってみた」


 そういってステーキのような肉が二つ並ぶ。


 リリアがステーキを食べながら酒を飲む。レイハルトもそれにならう。ステーキはこってりしたソースをさっぱり気味のハーブがうまい具合に調和していた。


「どうだ、うまいだろ」


 マスターの質問にレイハルトは頷く。そして酒を飲んでみる。


アルコールが喉を刺激し、アルコールと果実の香りが鼻を通る。そして、


「甘い」


 レイハルトは酒は苦いものだというイメージを持っていた。しかし、この酒は苦みはほとんど無く、果実の甘味が強かった。


「そりゃ甘いのを選んだからな。初めてだし飲みやすいものをと思ってな」


 その後は最近の王都の話など他愛もない話をした。


「マスターごちそうさま。また来るわ」


 リリアがお金を払って席を立つ。


「おう、またな。っと、兄ちゃん」


 マスターに手招きされたので近寄ると腕を肩に回して耳元で囁いた。


「あんないい女、そうそういねえぜ。逃がすんじゃねえぞ」


「は、はい」


 レイハルトはあいまいに頷いて店を出た。




「なあリリア」


 レイハルトは酒場から気になっていたことを聞いた。


「同業者って?あと旅商人って」


「ああ、あそこでは私商人の娘ってことにしてるのよ」


「ああ」


 レイハルトは納得した。本当のことを明かせるはずもないし、マスターと気軽に話すには商人ぐらいがちょうどいい。


 王城の裏にたどり着いたリリアはまたレンガを押そうとする。


「リリア、ちょっと待った」


 レイハルトはリリアに待ったをかけてアイテムストレージを操作し、足元にテレポーターを設置した。


「この方が楽でしょ」


「それもそうね」


 二人はテレポーターでリリアの部屋に戻った。


甘口の方が飲みやすいってのは私の主観です。人によって異なると思います

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