尋問 sideリリア
「最近の流行りはこういったアクセサリーが」
リリアは貴族令嬢と話を咲かせていた。今は王都で流行っているファッションのことについて。ただリリアは付いて行けていなかった。
「フィルリリア様はどう思いますか?」
「そうね、こっちの方が良いんじゃないかしら」
適当に相づちを入れつつ最近の情報を集める。ただ、2年間逃亡生活をしていたせいか、そういったものが無駄な買い物に見えて仕方がなかった。
機能性がない、ただのアクセサリー。とはいえ、リリアも逃亡前はこういったものに目をキラキラさせていたものだから不思議だ。
周りの令嬢たちは最近の流行りの話ばかりする。ファッションに菓子といった話がほとんどだ。
なんとなくだが社交界からはなれていたリリアに気を使ってそういった話をしている気もする。こちらは助かるがなんだか申し訳ない。
ちらっとレイハルトの方へ目を向けてみるとどうやら向こうも騎士同士で話をしているようだ。若干囲まれているようにも見えるが、まあ彼なら問題ないだろう。
「そういえば、メイリス様はこの間正式に婚約が決まったんですよね」
「相手は確か、ユーロス様だったかしら」
「はい、そうなんです」
頬を赤らめながら肯定するメイリス。メイリスはリシュルー男爵のご令嬢。ユーロスはオーヴィス子爵の嫡男。
(半分は政略結婚ね)
リリアは冷めたような気持ちで話を聞いていた。
「お茶会で初めて声をかけてもらってそれから」
なれそめを嬉しそうに話すメイリス。それを嬉しそうに聞く周りの令嬢。
結婚は政治の手段だということはここの全員が分かってる。リリアも昔は周りの令嬢のようにふるまえた。
もう一度レイハルトの方を見るがまだ囲まれたままだった。
「それはそうと、フィルリリア様の方はどうなんですの?」
「どうって?」
ここ2年社交界から離れていたリリアにどうも何もないだろう。オルキスとのことなら何も始まってもいない。
「オルキス様とのことなら」
「違いますわ。レイハルト様とのことです」
「はい?」
(私とレイハルトが?)
「いったいどこであんな素敵な方を見つけてきたのですか?」
「どこでって言われても」
逃亡中にたまたま会ったとしか言えない。
「強くてかっこよくて、まさしく騎士の鏡」
彼を騎士の基本にするとこの国に騎士はいなくなる気がするが。
「旅の途中ずっとフィルリリア様をお守りしていたとか。それもフォレスレオンとジャイアントスネーク2体を同時に相手したり」
「え?一体ずつよ?」
2体同時って、まあ、彼なら出来そうだが。
「それでもすごいですわ。一人で倒せるものではないと聞いておりましたのに」
「まあ、彼の強さは異常ですから」
「それにお城に招待して自分の専属にしたんですよね」
「いえ、それは」
「お城の中では常に行動を共にしていると聞いていますし」
「まあ、それは」
「もう私たちの間では、レイハルト様がフィルリリア様の婚約者候補1位になっていますわ」
「え!?」
リリアは驚きの声を上げた。いつの間にそんなことになっていたんだ。
「何で?彼はただの騎士ですよ」
「でも、フィルリリア様はレイハルト様と一緒にいるときが一番楽しそうだと。今までそんな顔見たことがないと」
そんな顔をしていたのかとリリアの顔が赤くなる。
「周りはレイハルト様をうらやましがる声と、たたえる声に分かれていますね」
そんなことになっていたなんて思ってもいなかった。
「お二人はいつからなんですか?」
令嬢の一人が聞いてくる。
「私たちはまだ、そんな関係じゃないわよ」
「まだ!ということはこれからなる予定があると!」
しまった!、とリリアは思った。そこからは質問の連続だった。
女の子はファッショやお菓子と恋バナが大好きっていうのは偏見でしょうか?




