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SFゲームの1000年後はファンタジー(旧名SF世界からの漂流者)  作者: アロマセラP
EPISODE1 第1章
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王宮にて

王城。それはもうファンタジーでは定番の建造物だ。そしてレイハルトが来たこの世界にももちろん存在する。


 目の前にそびえたつのは大きな城壁。王都のそれよりもさらに頑丈な作りなのがうかがえる。


その中には大きな城。もちろん日本の城ではない。中世ヨーロッパのような城だ。


そこに取り付けられた城門の中に入るとまずは大きな庭が広がる。色とりどりの花が咲き誇り、ところどころには木も生えている。もはや花畑とでも言えるような場所だ。


そんな花畑に唯一引かれた道を馬車は進んでいく。花畑も道もよく整備されている。


 城門から馬車で3分ぐらいで城の入り口につく。それだけでこの城の大きさも分かるというもの。


 先にオグゾルたちが下りる。その後レイハルトが下りようとして足を止めた。


そこにはメイド服を着た女性が道を作るように並んでいた。その光景に圧倒されながらも馬車を下りる。そして最後にリリアが下りてくる。


「フィルリリア様。おかえりなさいませ」


 周りのメイドよりは少しばかり年上であろうメイドが出て来る。


「ええ、ただいま、セリナ」


 リリアはセリナの手を借りながら少しずつ降りていく。


「やっと、帰ってきてくださったんですね。お怪我はありませんか?」


「心配をかけたわね。大丈夫よ」


 リリアがセリナに微笑みかける。その笑顔を見てほっとした様子のセリナ。その後視線がレイハルトに向く。


「フィルリリア様、こちらの方は」


「彼は私の命の恩人よ」


「命の、それは」


 セリナがレイハルトの方へ歩いてくる。


「フィルリリア様をお救い下さりありがとうございます」


「いえ、こちらも成り行きみたいなものでしたので」


(それに最初は姫だって知らなかったしな)


「いえ、それでもです。して、あなたのお名前は」


「俺の名前はレイハルトといいます」


「レイハルト様。私は王宮のメイド長を務めているセリナと申します」


 初めての様付けに少し驚きながらも挨拶を交わす。その後、リリアはメイドたちに連れられて行き、レイハルトは王宮の一室で待つことになった。


「レイハルト様、お待たせいたしました。こちらへどうぞ」


 10分ぐらいたったころメイドの一人が呼びに来た。案内されたのは荘厳な装飾が施されえた大きな扉のある部屋だった。


(ここってもしかして)


「こちらで、国王陛下とフィルリリア姫がお待ちです」


(やっぱり謁見の間か!)


 メイドが扉を開ける。そこには国王陛下と思われる男性とその隣に佇むリリア、そして壁際にはこの国の重臣と思われるおじさんたち。レイハルトが部屋の中に入ると扉が閉められる。


 レイハルトはカーペットの上を歩きながら中世ヨーロッパの作法を思い出そうとした。


(こういう時はどうするんだっけ?ファンタジーアニメではどうしてた?確か王様の前で立膝だったか?)


 そこまで考えている間に大分前に来たので片足を立膝にし、頭を下げた。


「面を上げよ」


 威厳のある声が前から放たれた。レイハルトは言葉に従い顔を上げた。そこにはがっしりとした体形を金や銀の装飾の施された服に身を包ませた男性がいた。


「私はこの国の王、ルドイスだ」


レイハルトは名乗っていいのか分からず、黙っている。


「其方がわが娘、フィルリリアを助けてくれたそうだな」


「は、はい」


「名は何という」


「レイハルトと申します」


 レイハルトは緊張で声がうわずりそうなのを必死でこらえていた。


「レイハルトか。私からもお礼を言わせてもらいたい。娘を助けてくれてありがとう」


「い、いえ。当然のことをしたまでです」


 レイハルトは変なことを言って国王の不興を買いでもしたらと思うと気が気じゃなかった。


「それに、ジャイアントスネークを一人で倒せる実力があるとか」


 国王のその言葉に周りの重臣たちがざわめく。


「それほどの実力があるのだ。どうだろう。我が国の騎士になってみないか」


 レイハルトは返答に困ってしまった。手に職があるのはいいことだが、騎士として働くことになると自由に動くことができない。


そうなると遺跡の調査に行くことができず仮説が正しいかを確かめることができない。しかし、国王からの願いを断ると不敬罪になりかねない。


「恐れながら陛下、私は旅人であり、とある目的のために旅をしています。その目的を果たすまでは騎士として国に仕えることは出来ません」


 だが、この世界について知るまでは自由を奪われるわけにはいかない。


「貴様!卑しい下民の分際で陛下のご好意を無下にしようというのか」


「まあ良い。して、その目的とは」


 言っても信じてもらえないよな。


「一身上の理由です」


 そう答えることにする。


「レイハルト」


 リリアがレイハルトに声をかける。


レイハルトはリリアの方に顔を向ける。そしてその姿に目を奪われた。


リリアは今までの庶民風の恰好ではなく、薄青色に金の刺繍が施されたドレスを着ている。その姿は銀髪と相まって輝いているように見えた。


「どうかしら。私の専属騎士になるというのは。もちろんあなたの目的への支援もするわ」


 その言葉でレイハルトは見惚れていたところから目が覚める。いや、覚まされた。


 リリアは輝くような笑顔を浮かべている。周りの重臣たちはリリアの笑顔に見惚れている者ばかりだ。


ただレイハルトにはリリアの笑顔の後ろから黒いオーラが出ているのに気が付いた。まるで、「私をおいて自分だけ旅に戻ろうとしたってそうは行かないわよ」と言っているようだ。


(何で皆気が付かないんだ?)


 思い込みかと思った時国王の顔が引きつっていることに気が付いた。どうやらあのオーラに気が付いたのは自分だけではないらしい。


「お待ちください。姫」


 レイハルトが答えようと口を開いたとき後ろから声がした。


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