???
「ここか」
「はっ!」
男は数人の兵士を連れて、森へ来ていた。そこにはすでに数人の兵士がいた。
「――様、こちらです」
男は兵士についていきそこにあったものに目を丸くする。
「これは、」
そこにあったのは、頭部を吹き飛ばされたフォレスレオンの死体であった。
その死体は、身体が傷だらけになっており、フォレスレオンよりも強い何かと戦ったことがうかがえた。
「フォレスレオンをここまでさせるものがこの近くにいるのか、この近くに新たな魔物はいたか」
「いえ、そのようなものは見ておりません」
もういなくなったか、それとも。
「それより姫様の行方は分かったのか?」
「それが、まだ」
「も、もう二年ですし、もしかしたら」
「縁起でもないことを言うな!」
男の怒鳴り声に周りの兵士たちは身体を震わせた。
実際フィルリリア姫が城から姿を消してからはすでに2年が経っている。そう思うものが出てきてもおかしくない。
しかし、それを認めるわけにはいかなかった。
(姫がいなければ、あの方の計画が)
なんとしてでも姫様を探し出さなければならない。
「この近くに何か変わったものはないか?」
「いえ、特には」
男の問いに兵士が答える。男は歯噛みした。せめて、フィルリリア姫が生きていた痕跡だけでも見つけられれば。
「――様、こちらに洞穴があります」
男は洞穴のほうに向かう。そこにはつい数日まで誰かが暮らしていた形跡があった。
「ここに誰かがいたのは間違いないですね」
ここに誰かがいた。しかし、それが姫なのかは分からなかった。髪の毛でも落ちていてくれれば手掛かりになるのだが。
しかし、姫はなぜ、こんな危険なところに。なぜ、城からいなくなったのか。まさか、あれが。
(もしそうなら、いや、まさかな)
男は頭を振ってその考えを追い出した。
「――様」
「なんだ」
「実は」
兵士の一人が男に耳打ちをした。
「遺跡の近くで頭を吹き飛ばされたジャイアントスネークだと?」
ここのフォレスレオンと同じく頭を吹き飛ばされた死体。偶然とは思えなかった。
「分かった、すぐにそちらに向かう。準備をしろ」
「はっ!」
男は遺跡に向かった。
男はジャイアントスネークの死体を見て確信を持つ。
この二つの死体を作ったのは同一犯だと。そのジャイアントスネークは体中に刀傷があり満身創痍であった。
ジャイアントスネークはフォレスレオンほど強くはないが普通の人間が敵う相手ではない。
(さらに強大な何かか、それとも集団か)
「この辺りに何か変わったものはないか?」
森でした質問と同じ質問をする。
「いえ、特には」
この時誰も、テレポーターの存在に気が付くことができなかった。草に隠れ、石か何かと
思われたのだろう。
「ただ、このジャイアントスネークを倒したものについての情報がございます」
「ほう」
さて、どんな化け物か。
「このジャイアントスネークを倒したのは青年だそうです」
「青年、だと?」
ただの人間だというのか?
「はい、その者たちの証言によりますと、ジャイアントスネークを無傷でこのような状態にしたそうです」
「なんだと」
「それと、その青年の連れに、少女と狼がいたそうです」
「!」
少女と狼。フィルリリア姫は召喚魔法で狼を出していた。
「その者たちの行方は」
「西へ向かったとのことです」
「すぐに向かうぞ!」
やっと見つけたぞ。姫の手掛かりを!
男は姫であろう人物の手掛かりを手に入れたことで興奮していた。ここで聞かなければならないことは他にもあったであろうに。
男は馬車まで戻ると西へと馬車を走らせた。男はもはや勝ったような気持ちでいた。
姫を見つけたという事実に、ジャイアントスネークとフォレスレオンを倒した男が近くにいることを忘れてしまっていたのである。




