次の遺跡へ
「これからどうしましょうか」
リリアと地図を見ている。この近くの遺跡になにもなかった以上ここにとどまる理由もない。
「小さな村とかはどうだ?」
「村?」
「もしかしたらその村の人しか知らない遺跡があるかもしれないぞ」
リリアは少し考えてからうなずいた。
「そうね。そうしましょう」
リリアは地図の上に指を乗せる。
「ここから一番近い村だとここかしら。でもここだとこの町から近すぎてあまりいい情報はないかもしれないわね」
リリアが指した場所はこの町のすぐ近く。同じ情報しかない可能性がある。
「この先になると少し離れるわね。次はここ」
次に指した場所はその村から大分離れたところにある。ここなら、もしかしたら何かあるかもしれない。
「ここか。どのくらいの距離だ?」
「大体ここから徒歩20日前後かしら」
結構歩くな。まあ、レイハルトに問題はない。
「そうなると、一旦この村で一休みして、それから向かうのがいいか」
レイハルトが一番近い村を指し、そのあとに次の村を指す。
「それが良さそうね」
そうと決れば出発の準備。町で必要なものを買い、町から出る。
その日の夜は野宿だ。
次の町まで1週間はかかるらしいので仕方ない。
馬車を使うということも考えたのだがリリアに断られた。まあそれがきっかけでばれるかもしれないと思うと乗ろうとはしないか。
レイハルトはクラフトで矢を作っていた。
ゲーム内では矢は無限に出てきたがこの世界ではそうはいかない。
一応マジックアローというMPを矢に変換するスキルも持ってはいる。しかし威力は高いが燃費が悪いため使っていない。
それにマジックアローと武技の併用ができない。だから矢を作るしかないのだ。
「こんなもんだろ」
レイハルトは作り終わった矢をアイテムストレージにしまうと伸びをした。
リリアは先に寝ている。火の番は交代でするのだが時計がないこの世界では時間をきちんと測れない。
リリア曰く「月と星の位置で時間が分かるわ」だそうだがゲーマーで現代人のレイハルトはなかなか習得できなかった。
こんなことならキャンプとかもっとしておけばよかった。
ぼーっと空を眺めているとリリアが起きてきた。
「そろそろ交換じゃない?」
「もうか、分かった。何かあったら遠慮なく起こせよ」
「分かってるわよ」
正直女の子に番を任せるのは気が引けるが、寝不足で魔物にやられたらどうすると言われ、渋々引き下がった。
その後も何事もなく村につく。
この村は町に近いだけあって人通りが多く、それなりに栄えていた。
一応遺跡のことを聞いてみたが町で聞いた以上の情報は手に入らなかった。
ひとまずここで一晩過ごして、次の町に行くことにする。
ただ一つ、酒場で気になる情報を手に入れた。
「遺跡?それならここから西へ行った村のほうにあったぞ。まあ、魔物の巣窟と化しているがな」
そういってとある旅人が指さした場所はレイハルトたちが行こうとしていた場所より少しの南に位置する村だった。
目指していた村よりは少し離れているがそこを経由すればいいだろう。これは大きいぞ。
レイハルトたちは旅人に礼を言って酒場を後にする。
翌日、これから約2週間村に寄れないということで買い出しをしていた。
この世界の物価レートが分からないので買い物はリリアに任せた。
ここ数日で分かったことだがリリアはさすがはお姫様といったところで現代日本でいうところの大学や専門学校と同じくらいの教育を受けているようだ。
高校生だったレイハルトはついていけないこともある。
こういうファンタジー系の教育水準て低いものじゃないのか。自分と同い年くらいで自分より上の教育受けてるとかちょっと泣けてくる。
一通り買い物が終わったので村を出ようとして歩いているとなぜかみんなが端に寄っていた。
レイハルトたちも皆にならって端による。するとほどなくして、豪奢な馬車が走ってきた。
全員頭を下げているのでそれにならう。その馬車が通り過ぎたあとはもとに戻っていた。




