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4.2015年4月 千葉県松戸

 大学からイサムの部屋に帰って、いさおはベッドの上に横になり、先ほど怒りを爆発させた時のことを考えていた。別に彼らが悪いわけじゃない。70年前に沈んだ軍艦を、遊び道具として持ち出したからといって、死者を侮辱するつもりがある訳じゃない。けれど。

 部屋を見渡す。イサムの物であふれている。平成という、昭和が終わった後の時代に生まれた若者。どんな若者だったのだろう、ラーメンという食べ物が好きだったというが、たかが食べ物になぜ熱中できるのだろうか。いさおはまだ、記憶の中のイサムと真正面から向き合うことができないでいた。特攻隊員として国に殉ずるつもりでいた自分が、なぜか70年後の世界で、他人の顔と体で安穏と生きている。同期の隊員は今ごろ(といっても過去の話になってしまうが)、見事目的を果たし、靖国へ向かっていることだろう。焦りというか、強い苛立ちを感じる心が、いつまでもいつまでもざわめき立っていた。

 そんな時、イサムのスマホにメールの着信音がした。タイトルを見ると、さっき怒鳴った相手のタカユキからだった。

 今日夜、テレビで特攻隊の特別番組があるからぜひ見てくれというものだった。なんでも公共放送が日本の著名なアニメスタジオと共同して、日本さらに世界の若者へ70年前の太平洋戦争の悲惨さを伝え平和の尊さを訴えるプロジェクトで、今日はその第1回目として特攻作戦と沖縄での戦いを取り上げるとのこと。

 メールにはさらに続きがあった。

『今日は怒らせてしまったことはお詫びする。申し訳ない。

 ただ、これだけは言っておきたい。自分もそうだが、みんな「連合艦隊」のことは大好きなんだということを。かって日本に、「連合艦隊」という強くて高性能でかっこ良く、それぞれに個性的なたくさんの軍艦たちがあったということを、とても嬉しいことに思っている。これはあのゲームの開発者も同じで、ゲームは「連合艦隊」への愛情表現だと思ってほしい。

 追記:「雪風」は帝国海軍陽炎級駆逐艦の1隻で、太平洋戦争全期間を通じ主要な海戦に参加、活躍した上で、ほとんど損傷を受けず陽炎型では唯一、最後まで無傷で生き残ったことから「奇跡の駆逐艦」と呼ばれている。「雪風」は沈んでいません。』

 最後の方は、タカユキらしいミリタリーマニアの矜持が出てしまっていたが、番組自体を見ることにいさおも反対ではなく、時間になるとテレビのスイッチを入れていた。

 番組が始まってすぐ、いさおはそのアニメの絵が、イサムの好きだったアニメと似ていることに気付いた。番組では太平洋戦争の推移とアメリカ軍による沖縄上陸までの戦況、上陸後の地上戦および特攻主体の航空攻撃について、どちらかと言えば事実を客観的に伝えていた。地上戦や特攻攻撃についてのおおよそのところは、いさおも歴史書を読んで知っていた。ただ地上戦の実態や民間人への被害、住民を巻き込んだ自決については改めて目の当たりにした気分だった。かくも戦争は無残であり、巻き込まれた住民は悲惨であり、同時に特攻は隊員の意志とは別に、何ら戦争を押しとどめることができなかったことを知った。いさおの心は暗澹たる思いだった。それでも一方で、アニメの絵の動きや色使いで心が浮き立つような気分になることがあった。特攻機が攻撃目標へ急降下するシーンでは、特攻隊員のことを思うより先に、なめらかで迫力のあるシーンに感動する自分があった。番組を見終わって最初に感じたことは、それに気づいたいさおの心に羞恥心を与えたが、心の隅にずっと居座り、いさおは夜遅くまでイサムの机に向かっていた。

 翌日、大学の食堂に集まったメンバーは、昨夜の特番を話題にした。

 最初にタカユキが言った。

 「結局、番組でも言っていたけど、特攻にしろ、玉砕にしろ、住民への自殺強要にしろ、日本軍や日本社会に人命軽視の考え方が根底にあるんだろうね。それに対してアメリカ軍は徹底的に人命を重視し、パイロットを救助するためだけに専用の潜水艦を用意していたぐらいだよ。」

 それに対しサクラさんは、

 「やっぱり日本人の思想の根底には武士道の精神があるんじゃないかな。死に際の美しさとか、死して名を残すということとか。」と反論した。

 「武士道だけじゃ、B29には勝てなかったってことだよ。」とタカユキが続けた。

 「例えば人命重視のアメリカ軍と、人命軽視の日本軍、戦うことになったらどちらが良い? ぼくなら断然生き残る確率が高いアメリカ軍だな。アキラはどう?」

 質問されたアキラは、ええっと迷いながら、「アメリカかな」と答えた。

 サクラさんはもちろん、

 「私は日本を選ぶわ。隊士のDNAが日本人の血に流れている限り、例え一時は負けても、必ず最後は勝つことになるから。」と、答える。

 意外だったのはミクちゃんで、

 「私も日本軍がいいな。」

 タカユキがなぜと聞くと、

 「だってアメリカ軍だと爆弾落としたり、原爆落としたりしなきゃなんないでしょ。落とすよりは落とされる方がマシかな。」

 「爆弾にあったって死ぬかもよ。」

 「みんなで逃げ回ったり、穴に隠れたりすればいいのよ。」

 サクラさんも面白がって話に加わってきた。

 「草食系動物が好きってわけ? 肉食系に食べられないようにしないとね。」

 「それならウサギさんみたいにかわいくなればいいんだよ。それで食べようなんて気が起こらなければ安全じゃない?」

 「オオカミは食べようとするんじゃない?」とアキラも冗談のつもりで加わった。

 それに対しミクちゃんは、もしかしたら本気? という風で答えた。

 「それならもっともっとかわいくなればいいよ。オオカミだって食べられないと思うぐらいもっともっともっとかわいくなればいいんだから。」

 「確かに、日本ではニホンオオカミは絶滅し、ウサギは学校飼育で大繁殖している位だから。天敵が人間だけなら、かわいいは最善の適者生存になるかもしれないね。」とサクラさんが感心したように言った。

 「あるいは、かわいいが最高の安全保障になる、ってことか」とは、タカユキ。そろそろ話題を元に戻したがって、アキラが「昆虫の擬態って知ってる?」と言ったのを半ば無視し、いさおに感想を尋ねた。

 いさおは、アニメを見た時に感じた欲望をなお意識しながら、それでも自分に忠実であろうとするかのように答えた。

 「結局、自分は特攻隊員でありそれ以外の何者でもない。あの時代に戻ったとしたら、当然特攻隊員としての務めを果たすまでだよ。」

 ただ、次に口から出てきたことばはいさおにとっても意外だった。

 「ただ今はイサムという人物の身体を借りている。これがいつまで続くのか、すぐにでも元に戻るのかもしれないし、しばらくはこのままかもしれない。でもずっとこのままとうのもあり得ないような気がしている。だったらこの間だけ、イサム君の身体を借りて、ちょっとやってみたいことがあるんだ。」

話の最後を言うとき、いさおの心はかなり恥ずかしい思いをした。

 そして、4人全員が一斉に「なにを?」と質問しそれに答える時には、本当に消え入りそうな声になって言った。

「マンガを描いてみたい。」と。

 いさおが実際にマンガを描いてみると、とても大変なことに思えた。何より絵がヘタで、とても人に見せられるものではなかった。いさおの心では、もっとうまいと思っていたが、実際はそうでもなかったのかもしれない。それでも勉強のつもりでイサムのマンガを模写していると、時間が経つのを忘れて没頭した。そのうち、そういえば以前もマンガ家にあこがれて絵の練習をしたことがあったことを思い出した。そんなことがあったかな、とちょっと不思議な気がし、それからそれがイサムの記憶だということを思い出す。イサムも、マンガとアニメが好きで、その世界にあこがれてマンガ家になりたいと思ったことがあった。絵の勉強をして、やっぱり上手くならなくて、1ヶ月くらいであきらめて、その後も時々マンガ家にあこがれている。もったいない。あきらめることはないのに。いさおは感じた。時間がないなら別だが、時間は充分にある、ゆっくりと努力していればいい。そんな風に思いながら、いさおはイサムの記憶をゆっくりとたどり始めた。

 彼が住む街では、桜はとっくに散っていた。イサムの故郷は、桜はまだつぼみのまま花開くのは先のことだった。陽射しの温もりにホッとすることが多くなってきた。いさおはイサムの代わりに大学の授業へ出るようになった。イサムに成り代わって生きようというのではないが、大学の単位が足りなくてイサムを困らせるわけにもいかない。授業に出て、イサムと同じ歳の若者たちと席を並べ、同じ空気を吸っていると、時間はゆったりと流れていく。

 授業が終わると、いつものメンバーで集まる。アキラは、マンガのストーリーを考えてくれた。さすがに特攻隊員のテーマは遠慮したが、短いたわいないテーマでいさおがマンガを描き、それを皆で回し読みしたりした。相変わらず絵はヘタで、でもミクちゃんは「味があるよ」ってほめてくれた。

 サクラさんとタカユキは、「小川功二飛曹」のことを調べてくれていた。

 「厚生労働省で軍歴証明書がもらえれば、一番はっきりするんだけど。」とサクラさん。「でも親族の申請でないと受け付けてくれないんだよね。」代わりに佐賀県の戦没者慰霊の協会に問い合わせているという。

 その後それぞれの興味で会話を続け、適当なところで各々が立ち上がり去っていく、決まりごとや義務感とは無縁の時間を過ごしていた。最初のうち、いさむの心の特攻隊員としての気持ちは苛立っていたが、心の別の部分は受け入れその何物でもない時間を過ごすことに喜びを感じた。時にいさおとして、時にイサムの記憶の中からことばを返し会話に参加しながら、同年代の若者の一人として群れの中にいて、群れの一員として混じり込み、群れから追い出される心配がないということに奇妙な安心感を覚えていた。

 大学を出てイサムの部屋に向かうまでの間、歩きながらいさおは先ほどまで大学で過ごした時間のことを思った。とてもゆるく、何かを生み出したということもなく、それでも心が落ち着く居場所のような時間。恐らく記憶にはないが、70年前のいさおなら経験したこともないような時間。悪くない、といさおの心は思っていた。ではイサムは? イサムの記憶の中をのぞいて、いさおはそこに焦りと諦めと、それでも恋焦がれる思いがあることを知っていた。記憶を掘り返すだけで、イサムが憧れてなりたかったものは10個くらいは出てきた。野球選手、ヒーロー、マンガ家、探検家、外交官、、、一方で今は将来のことを、大学を出てどこかの会社に勤めて普通の生活を送るだろう、と漠然と考えている。「普通の生活」という意味がいさおには理解できなかったが、それはそれで生き方の選択としてはあるのだろう。生き方の選択として。何れにしても彼に与えられた時間はたっぷりとある。いさおは本当に、もしイサムが隣にいたら、あわてないでゆっくり考えようよ、と言いたかった。

 大学の裏通りを歩いていると、イサムお気に入りのラーメン店があった。イサムがブログで毎週のように取り上げていた店。ラーメンに関して、いさおはやはりイサムの領域として立ち入らないようにしていた。食堂や部屋でラーメンを食べることも避けた。ブログの更新も、最初から自分ではできないものと手をつけなかった。イサムが悲しむのは知っていたが、イサムにとってのラーメンの意味はとても重く大切なものであり、それを充分に理解していない自分が軽々しく扱うことは許されない、そんな思いだった。いくつもなりたいものを諦めていたイサムが、自分の個性の拠り所としたもの。発信者としての価値を認めてもらいたく、今は認めてもらえると感じられるもの。イサムにとってラーメンは、単なる食べ物ではなく、自分を発信し自分を他者に認めさせるためのメディアになっていた。もちろんその根底には、ラーメンそのもの(味、自分のラーメンにまつわる思い出、ラーメンと店や人に関わる歴史・物語、有名店を回るクエストとマスメディアの流行、それらすべて)が大好きだということにつきるが。

 いさおの心がため息をつく。自分は特攻隊員としての務めを果たすことだけを、生き方として選択した。それに引き換え、イサムはいくらでも選択肢を持っている。そのことが羨ましいわけじゃない。選択肢が多いゆえに、悩みや焦燥が生まれることもある。一方で自分はなぜ特攻隊員としての生き方を選択したのだろうか、もっと他の生き方を選べば良かったんじゃないか、そんな思いがふいに湧き上がってくる。いさおの心の中に、その答えはなかった。ただイサムの脳を借りて想像を馳せるのみだった。


 なぜいさおは、特攻隊員として死ぬことを選択したのだろうか、イサムの心は繰り返し思い返した。

 出撃が中止になってから、彼らの部隊は待機とされた。翌々日から作戦は再開されたが、彼らには出撃命令は下されず、見送る側に回った。早朝まだ明けやらぬ時間に、特攻機と護衛戦闘機は一団となって鹿屋飛行場を出立する。その後、バラバラに1機、また1機と帰着してくる。途中で機体不良のため引き返してきた飛行機で、意外と数が多い。その機体が特攻機の場合、搭乗員が降りてくると、泣きながら再度の出撃を上官に訴えかける者、整備員へ怒り露わに喰ってかかる者、へたり込み自分では立ち上がれず抱えられてくる者など様々だった。午前中には護衛の戦闘機も含め生き残った機体は全て着陸し、イサムたちはすることがなくなった。

 そのうち、イサムたちの部隊の再出撃は早くて5月に入ってからとなり、それまで九州など近場に郷里がある隊員へ一時帰郷が許された。飯田二飛曹は、妹たちが暮らす大分の親戚宅へ直ぐに旅立った。イサムの心は迷い、いさおには申し訳ないと思ったが、佐賀県に住む両親の元へは帰らないことにした。やはり肉親を前に、いさおを演じきれる自信はない。

 そのことで、部隊長の明石中尉に呼ばれ、帰郷を促された。中尉自身、妻子の居る故郷へ帰りたかったはずだが、残留を決めていた。以前帰郷した際、生まれたばかりの子どもが父親に抱かれて泣きやまなかったから、という。

 決心が鈍るから、という理由で残ることを告げると、明石中尉はいさおの目を見ながら、

 「君は小川誠上飛曹の弟だったね」と、兄の名前を告げた。

 兄を知っているのですか、と問うと、同じ航空母艦の航空隊で一緒だったという。それから深々と頭を下げて言った。

 「すまん。南太平洋海戦の折、俺は直衛機として、君の兄上がいた艦攻隊の護衛についていた。敵グラマンに捕捉され、兄上を守り切れなかった。本当に申し訳ない。」

 突然のことばにいさおの感情が高ぶるのを感じながら、イサムの心はいさおが答えそうなことばを探した。

 「そうでしたか。後で聞いたところでは、兄は被弾炎上後も敵空母を求めて突進し力尽きたそうですが。」

 そのことばに明石中尉は一瞬困ったような表情を見せると、実際は兄の操縦する97式艦攻は被弾すると直ぐに爆発し四散したということを告げた。そして、

 「兄上のような有意な人材を失い、今また君のような将来ある若者に特攻を強いるのは、我々大人の責任であり、大変申し訳ないことと痛感している。ただ、ことここに至って、もはや他に為すすべはない。日本は、祖国は、若者の敢闘のみを頼るしかない。すまないが、よろしく頼む。」

 涙を浮かべた明石中尉の目に見つめられながら、イサムはぼんやりといさおの口が返答するのを聞いた。

 「はい。必ずや戦果をあげることを誓います。」と。

 もう一人、峰少尉も実家が東京ということで部隊に残っていた。その峰少尉がいさおを呼び、鹿屋の町の食堂へ行くから着いてきてくれという。予備学生だけに他の将校と違い、ことば遣いも態度も丁寧だった。ただいつも一人で読書をしており、これまでほとんど話をしたことはなかった。

 食堂へ行くと、若い女給さんが迎えてくれた。一瞬恵子さんに似ていることに、いさおの心臓が高まった。峰少尉は女給さん(かおりさんと言った)と数言ことばを交わすと、後は席に座っていつもの哲学書を読み出した。いさおと会話するでもなく、しょうがないのでイサムはいさおの右手に鉛筆を持って、店内の様子をスケッチし始めた。その絵を見てかおりさんが、今度私を描いてくださいと言ってきたので、いつでもいいよと返事をした。

 そのまま時間は過ぎ夕方まで居て、峰少尉はずっと本を読んだままだった。基地へ帰る道でも基地へ帰ってからも、峰少尉はそのことに何も言わなかった。

 次の日の午後も、峰少尉はいさおを誘って食堂へ行った。やはり会話するでもなく、終日読書をして過ごす。そして次の日も。次の日も。

 その日の帰り道、基地に向かって2人歩いていると、峰少尉は突然語り掛けてきた。

 「小川君がうらやましい。出撃を前に、まったく泰然とし、心乱れているようには見えない。」

 「そんなことはないです。」と答えながら(実際、イサムの心は混乱し、ただいさおの感情は動かせないので諦めているだけなのだが)、少尉も落ち着いているように見えると返した。

 自分はそうではない、毎晩怯えていると言いながら次のようにはき捨てた。

 「もうすぐ戦争は終わる。日本は勝てない。もはや勝ち目は一分もない。それが分かっていて、自分は特攻へ行き死んでしまう。」

 いさおの感情に驚きが走り、峰少尉を見つめた。

 「いや、命が惜しいとかじゃないんだ。学徒出陣の際、生還は期さずと誓った通り、この国を守れるのであれば自分が死ぬのはしょうがないと思っている。ただ、国も守れず、その上で自分に死ねという。何の意味が、どんな価値が、この死にはあるのか」

 峰少尉の眼は寂しげで、しかし真剣だった。

 「誰でもいい、この死の意味を教えてくれ。」

 その夜、イサムの心は頭の中のいさおに語りかけながら、いさおの記憶と向き合いながら峰少尉のことばを反芻していた。そしてずっと心で思っていたこと、「なぜいさおは特攻隊員という死に方を選択したのか」を思い返し、そして分かったことがあった。

 いさおや峰少尉たち、この時代の若者は、たった一つの生き方しか選択できなかった。祖国のために戦争へ行く、という生き方しか。そして戦争へ行くということは、生還を期さずという覚悟を若者に要求した。その上で若者が自分らしい生き方、自分の価値を高める生き方を選ぼうとするならば、いかに闘って死ぬかの選択しか残されていなかった。死の選択肢は、まだ若者に残されていた。この時代の若者も、より良い、より自分が納得できる、より自意識を満足させてくれる価値ある生き方を選びたかったのだ。ただし時代が若者に用意した選択肢はただの一つしかなく、その生き方を選んだ上でなお自分の価値を高める生き方を模索したどり着いたところに、特攻隊員という死に方があった。


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