表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターテイミングオンライン (仮)  作者: 南 風
第1章 MTOの世界~始まりの街~
8/58

第7話

お気に入りがいきなり倍近くに!?

一体何が……みなさんありがとうございます!

「ハァハァ……あれは、絶対、ボスだろっ!?」


 鑑定で情報が何も得られなかった事から、先ほど遭遇した『ばぶるん』に似たモンスターをボスと断定し慌てて逃走したジンクと黒緋。

 逃げたといっても、そもそも向こうはこちらを敵とも認識していないだろう。

 向こうがこちらに向かってくることが無かったことから、ノンアクティブだった事は分かるが、ボスモンスターでアクティブではないと言うのも珍しい。


「黒緋、大丈夫か?」


 一緒に焦って逃げ出した黒緋に声をかける。


「クゥ~ン」


 黒緋は、自分の不甲斐なさからか、それともジンクの不甲斐なさからか、悲しそうな鳴き声をあげる。


「あれは、仕方ないよ。多分あれはボスだろうから……もっと俺らが強くなったら倒そう」


「ワンワン!」


 優しく頭を撫でながら告げると、黒緋も同意とばかりに鳴き声を上げる。先ほどよりも元気が出てそうで安心した。

 焦って逃走したから、生憎と街からは少し離れてしまっていたが、少し落ち着いてから回り道をして先ほどのボスを迂回しながら街に向かう事にした。

 街までは、まだ1時間ほどかかるのじゃないだろうか。

 何かこのゲーム、無駄にリアル過ぎて移動にかなり時間を取られる気がする。

 そのうえ、レベル上げや金銭を稼ぐためにクエストをこなすとなると……果たしてどれだけの時間がかかることやら。

 これは効率よく動かないといけないな。

 というか、効率を重視した狩りにクエストもある程度情報を得てからの方が良いかもしれない。

 情報サイトなどすでに出来ているだろうし、攻略に力を入れているプレイヤーからの情報もすでにある程度記載されているだろう。


 効率を重視した狩りか……

 街に向かっている間、少し実験を加えた狩りをすることにした。

 それはずばり『ばるぶん』を遠距離からの乱獲だ。

 さっき自身のレベルを10にまで押し上げたレベル上げ。

 期待するのは、俺が倒した敵の経験値が、一緒に居る黒緋にも入るのかどうか。

 ここでのポイントは、入手出来るかどうかと、入手出来るのであればどれぐらい入るのか? である。

 テイミングしたモンスターとの行動であるから、きっとシステム的に入手は出来るだろうとは思う。

 ただ、入手する量に関しては若干の不安がある。

 黒緋のレベルは、テイミングした時のままレベル1だ。

 対して俺は調子に乗った乱獲でレベル10。レベル差による経験値の取得状況次第では、厳しい事になるかもしれない。

 ただ、そうすると高レベルになってからテイミングした場合の時の事を考えると、モンスターに設定された経験値をそのまま分割で入手出来るのでは? という期待もある。

 しかしそこはこのゲームの運営。無駄に厳しい設定をしているからあまり期待できない。


 何はともあれ、実験してみないことには話しにならないだろうと思い、街に向かいながら『ばぶるん』を探すことにする。

 黒緋にも『ばぶるん』捜索と、発見してもくれぐれも攻撃しないようにと念を押す。

 そうこうしているうちに目的の『ばぶるん』遭遇した。



 倒すのは、持っている片手剣を投げるだけ。当たった瞬間に弾ける。

『ばぶるん』の討伐を確認して、モンスター鑑定で黒緋を確認して愕然としてしまう。



 モンスター鑑定使用

 モンスター名:ベルドッグ【黒緋】

 Lv1:獣種:ランクG



 モンスター名の横に名前を付けたからか名前が記載されているとか、正直どうでもいい。

 ってか、経験値の%の表示が無いから増えてるか分からないじゃないかっ!?!?!?!

 どんだけ運営はハードモードを設定してるんだよっ!

 これ下手するとクソゲー認定される勢いだぞ!?


 ハァハァ……


 あまりの事実に息が荒くなってしまった。

 そんな俺を見て黒緋が「クゥ~ン」と擦り寄ってきてくれた。

 テイミングして良かった……黒緋……お前は俺の癒しだよ!


 数回の深呼吸でとりあえず自分を落ち着かせ、少し考える。


――― これは、乱獲して自分のレベルの上がりと黒緋のレベルの上がりを確認するしかないな。


 方法としては、それしかないだろう。経験値の上昇具合や貯まり具合など分かる情報はないし、普通のネトゲなどならチャットログに表示されたりするものだが、このゲームはそれすらもない。


「黒緋。街に着くのは少し遅くなるかもしれないけど、出来るだけ『ばぶるん』を倒していこう。見つけたら教えてもらえる? でも絶対に近寄っちゃダメだよ」


 黒緋に向かって少し変わった方針を言うと「ワン!」と元気のいい返事が。

 これ絶対言葉通じているよな……




 そこから街に向かう間遭遇する『ばぶるん』を倒してまわった。

 遠目から俺が発見したり、黒緋が突如別方向に動いて行った先に居たり(きっと俺を誘導してくれたのだろう)そこそこの数が狩れた。

 結果、俺と黒緋はレベルが上がり、黒緋にも経験値が入っているのが分かり安心。

 数値で表示されず、乱獲の時に調子に乗って討伐数などをカウントしていなかったこともあり、詳しい経験値の取得状態は不明のままだが、別にデータ取りをしたい訳でもない。

 黒緋が戦闘せずにレベルが上がる事実だけ分かれば十分だった。

 そして、今現在俺のレベルは12.黒緋は8まで上がったところで街に辿り着いた。


 街の入り口から街に入ると、そこはログインした最初の時と少し様相が変わっているのだった。


 

『ばぶりーん』はフィールドボスになります。テイミングは出来るモンスターですが、確率はかなり低いです。ノンアクティブですが、テイミングのスキルに対して反応する設定になっているためテイミングを発動した瞬間にタゲられて死にます。

焦って逃げたジンクの行動は、ある意味で正解だった様です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ