第5話
自己満足のこんな駄作に……お気に入りが16件も。
ありがとうございます。今後も頑張ります。
自分の馬鹿さ加減に気が付き、膝を付いて落ち込んでいたが、数分の時間で何とか立ち直った。
調子に乗って狩りまくったおかげでレベルは10まで上がったし、テイミングは運と言っても鑑定などの他のスキルや、HPやSPなどの数値も見えはしないが初期よりも高くなっているだろうと予想した。
つまりは、死ににくくなっているから、何度もテイミングにチャレンジ出来る。
半ば無理やりにポジティブ思考に持って行くことにする。そうでもしないとまた落ち込みそうだと言う事もあるが。
さて、テイミングであるが、実際にテイミングを行う上で重要なのがテイミングの条件と成功率である。
これは公式では、もちろん公開されてはいない。
サービス初日の今日。しかも開始して少しは時間がたっているため、もしかしたら情報サイトに情報が載っている可能性もあるが、それを確認するためには1度ログアウトしなければならず、それをするには面倒だと結論づけ、とりあえずチャレンジすることを選択する。
公式での公開では、テイミング出来るモンスター数には一応の制限があるらしい。
公式サイトによると、数匹のモンスターを連れて歩けるようだ。それ以外にも、テイミングしたモンスターを預ける、置いておける施設もあると言う話だが、詳しくは記載されていなかった。
実際に何匹のモンスターをテイミング出来るのか。それにその施設の利用の条件など詳しい事も知りたいが、現状では手探りで行くしかない。
ともあれ、数匹、最低でも2匹まではテイミングしても問題は無いという事だ。さすがに上限が2匹で多数と表現はしないだろう。だからと言って、手あたり次第モンスターをテイミングするという選択肢は選ぶ気はないのだが。
ジンクとしては『ばぶるん』をテイミングしようという気は起きない。見た目の可愛さはそこそこだし、能力的にも育てれば序盤は使えないという事は無いとは思うのだが、何分あのモンスターの特性はダメージを受けた時の爆発だ。
自分と一緒に居て、爆発されたら……確実にこちらもダメージを受けるだろう事は想像に難くない。つまり、リスクがありすぎるのだ。それでデスペナルティでも受けた日には……
という事で『ばぶるん』をテイミングするのは選択肢から外す。次の選択肢としては、同じこのフィールドに居る他のモンスターという事になるだろう。
街の出入り口にあった詰所で聞いた、フィールドモンスターをテイミング出来れば最高だが、このレベルでは対峙する事すら厳しいだろう。一か八かの一発に掛けるほどの勇気もない。
『ばぶるん』以外のモンスターも遠目に何匹か見かけた。その中でも犬っぽいのが居たのを思い出す。
――― このジンク! 猫よりも犬派です! 犬は最高に可愛い!
少し選択の基準がずれている感じはするが、目的のモンスターをテイミングするために犬型のモンスターを捜索する事にした。
フィールドを歩き『ばぶるん』を狩りながら遠目に見た犬型のモンスターを探す。
しばらく捜し歩いていると、漸く発見した。ついでにまだ距離があるうちにモンスター鑑定のスキルを発動する。
モンスター鑑定使用
モンスター名:ベルドッグ
Lv1:獣種:ランクG
ランク的には『ばぶるん』と同じだった。
でもこの犬型の『ベルドッグ』まで『ばぶるん』と同じように爆発することは無いだろう。
色合いは、全体的に濃い灰色。首輪が付いており、何故かそれに鈴の様な物がついており、それがチリーンチリーンと音を出している。
ハッキリ言って、戦うよりも和んでしまう……
これがモンスターで良いのか? と疑問に思ってしまうが、こういったゲームの初期のモンスターにはありがちな可愛さなので許されるのかもしれない。
このモンスターもノンアクティブなのか、近寄っても襲ってくることは無い。じゃれてくることもないのが少し悲しい。。
テイミングを試す前に戦おうかとも思ったが、このモンスターの見た目と自分の犬好きが、戦いで傷つける事を少し忌避してしまった。
――― この犬と戦うのは、犬好きには厳しいのじゃないか。可愛いから攻撃なんか出来ないぞ。
ノンアクティブという事もあるし、近寄ってテイミングのスキルを発動することにした。
スキルを発動し、何かが身体から抜けた感覚を感じるが、すぐそこに居る犬には何も変化無し。確実にテイミング失敗だ。
続いてもう1度発動。変化無し。もう1度発動。変化無し。
思わずため息が出てしまう。
――― これ成功率悪すぎないか? 初期のモンスター相手にこれとか、フィールドボスとかのボス系をテイミングは無理なのかな?
実際にはフィールドボスもテイミング出来るのだが、まるで出来る気がしないジンク。
そんな先の事を考えても仕方ないと、再度犬に向かってテイミングを発動する。
…………失敗。
――― イラッ。
身体から何かが抜ける感覚。その何か抜けたかわりに、フラストレーションが溜まっていく気がする。
そして、少しイラついた感情のまま、テイミングスキルを連続で発動してしまう。
発動……失敗。発動……失敗。発動……失敗。発動……失敗。発動……失敗。
――― イライラッ!
全く成功しない。
成功する気がどんどんしなくなってくる。 スキル自体が発動しているのは感覚で分かるのだが……
「あぁ!! っもう! テイミングゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」
イラつきに任せ、大きな声でテイミングスキルを発動してしまった。
そしてその結果…………ジンクの視界は暗転するのだった。
10分後
ジンクは、草原で大の字になって横になっていた。
視界が暗転してから約10分。湿った何かが撫でる感触で目を覚ました。
開いた目の前には、先ほどまで必死にテイミングしようとしていた『ベルドッグ』の顔があった。
「お前……こうやって近づいて接触してくれたって事はテイミングは成功したのかな?」
急いで視界にログを表示すると、ログには確かにテイミングが成功したと表示されていた。
それに続いて【テイミングモンスターに名前を付けてください】と出ている。
――― なるほど。テイミング成功すると名前を付けれるのか。
確かにこういったテイミングする様なゲームでは、テイミングした相手に名前を付ける事がほとんどだ。
――― さて、名前は何にするか……俺あんまりネーミングセンス無いんだよなぁ……
ちらっと『ベルドッグ』に視線を向けると、可愛くお座りして尻尾を振ってる。
座り方から見て、きっと雌なのだろうと思う。雌犬の名前……
「単純にベルとかでいいのかな? どうだ?」
こちらの言葉が分かるとは思えないが、どうなのだろうか。つい聞いてしまうと、何か露骨に視線をそらされた。何か、傷つく反応だ。
さっきまで振っていた尻尾も動いていないし。
「むぅ。その名前はお気に召さないか。毛並みが黒いし、そこから取るかな……じゃあ、黒鈴、はちょっと安直か」
再度候補を上げると、ぴくっとこちらに反応したが、まだお気に召さないみたいだ。
「くろ……くろ……くろ……黒子、は色々危険な香りがするな」
中々良い名前が思い浮かなばない。
自分のネーミングセンスの無さに呆れるばかりだ。
とそこで、そっぽを向いていた『ベルドッグ』のこちらをじっと見ている眼に気が付く。
――― 綺麗な紅の目。黒い毛で緋色の目を持っている犬か……よし!
『ベルドッグ』を見ていて、一つ思いついた名前を告げてみる。
「黒い毛並みに緋色の瞳だから……黒緋はどうかな?」
告げると……猛烈に尻尾を振り始めた。
「はは、気に入ってくれたみたいだね。じゃあその名前で決定! よろしくね」
名前が決定し、黒緋の頭を撫でるために手を伸ばして触れると、視界に名前を決定するためのチャット機能が起動した。
そういえば、名前を決めたが、どうやって付けるか知らなかった……触ると決定機能が出るのかと、改めて思う。
何とも締まらない感じのスタートになったが、まずは1匹目。モンスターテイミングオンラインで初のテイミング成功に新たに出来たパートナーと喜ぶのだった。
自己満足のこんな作品に……お気に入りが16件も。
ありがとうございます。更新が不定期ですが、何とか早めに更新していくので今後もよろしくお願いします。
【修正】
実際にテイミングをお子合う上でテイミングの条件と成功率である。
→実際にテイミングを行う上で重要なのがテイミングの条件と成功率である。
テイミング数の関係を変更しました。