第13話
ご無沙汰しております。
また徐々に投稿していけたらと思います。
さて、お次は『ブレッシング』だ。これについては、使用してみてからじゃないと分からない部分が多い。
問題は、このスキルが戦闘スキルに効果を示さない場合だ。
普通に考えれば、各種ステータスの底上げや聖属性付与なんて効果も無いとは言えない。ただ、聖属性付与何かは、もう少し違う名前なんじゃないかと言う思いもあるし、各種ステータス底上げで十中八九間違ってはいないと思うのだけど……最悪、製造や製薬などの俗に言う物作りに補正を掛けるという事も考えられる。
もちろんその場合は、今回の検証では何も効果を実感出来ないだろう。レベルが低くて効果があまり感じられなくてダメってパターンもあるけど……
そこら辺は、もう仕方ないと諦めるしかない。
何はともあれ、まずは翡吹に使ってみる事にしよう。
「じゃあ、次は翡吹の番。次使う『ブレッシング』は、さっきの『スピードアップ』と違って、少し効果の予想が難しいから色々質問したり、戦闘をお願いするかもしれないからそのつもりでいてね」
俺の言葉に「キュイ!」と元気に返事をくれた。頼もしい。
「では早速かけるよ!」
『ブレッシング』
スキル名を唱えると、先ほどの『スピードアップ』とは違い、淡い水色の光が翡吹を包んだ。
さて、どんな感じなんだろうか……
「翡吹。どうかな? 変な感じとかする?」
俺の質問を受けて、手足をバタつかせたり羽根を動かしたりするが、どうもハッキリ効果は分からないっぽい。
一通り動きを確認してから申し訳なさそうな顔をして「キュイー……」と悲しげに鳴いた。
「悲しそうな顔しないでいいよ。俺もどんな効果が出るかハッキリわからなかったし、それを調べるために少し早くから時間取っているんだから」
落ち込んだ頭を俺の足に擦り付けて来る翡吹。こんな状況で申し訳ないけど、すっごく可愛い。
擦り付けてくる頭を優しく撫でてあげると、気持ち良さそうに「キュイキュイ」と鳴いてくれた。
さて、和んでいるだけだと検証は進まない。
「とりあえずそのまま移動しようか。敵が居たら最初は『ブレッシング』が掛かっている翡吹だけで戦ってみてもらえるかな?」
最初予想通り、各種ステータスの底上げ的な効果が出ているか検証だ。本当は掛かっている状態と掛かって居ない状態で試さないとダメなのだが、この同種の敵のHPが一定ではない上に、ダメージ数も出ない。なので今前戦った翡吹自身に感じてもらわないと分からないのだ。
それによっては、このスキルはお蔵入りになる可能性すらある。
しばらく荒野フィールドを進むと、遠目から黒緋が敵が居るのを知らせてくれた。少し遠目だが『モンスター鑑定』を掛けると、『とるとるとーる』と言う名前が出た。
昨日の討伐クエストでも倒している敵だし、このモンスター陸亀型で決して速度があるモンスターではない。
もちろん荒野フィールドのモンスターであり、油断は出来ない相手だけど黒緋も翡吹もスピードがある子なので、比較的相性の良い相手と言えるだろう。
「よし、翡吹。あのモンスターで検証しよう。色々試しながら攻撃してみてもらえるかな?」
「キュイ!」とやる気を漲らせて『とるとるとーる』に向かっていく翡吹。
接敵後、翡吹の声で動きが止まった『とるとるとーる』をあっけなく倒す。昨日のクエストの時よりも処理が早くなっている気がする。
嬉しそうにこちらに戻ってくる翡吹を撫でながら、今の事を聞いてみた。
「どうだった? 俺の見た感じだと昨日よりも簡単に敵を倒せている感じがしたんだけど……」
俺の質問に肯定している感じで「キュイキュイ!」と返事をくれる翡吹。
という事は、きっと各種ステータスの底上げ、で間違いないと思う。
もちろん他の効果も付与されているかもしれないが。ただ、初期の段階で入手出来るスキルの効果が多重効果とは、あまり考えられない。
実際にステータスの底上げっぽく、戦闘能力が上がって居るっぽいし、現段階だと多重効果がたとえあったとしても、それを検証したりすることが出来ないのだが。
今は戦闘に役立つスキルを使える事を素直に喜ぼう。
そして…… 今まで頭から少し滑り落ちていた自分の馬鹿さ加減を反省しよう……
そんな感じで一先ず検証は終わりだ。そこまで時間も掛かって居ないし、街に戻ってソロでクエストをするのも良いかな。
「黒緋、翡吹。まだ時間があるし、1回街に戻ろうか」
俺の言葉に、黒緋は嬉しそうに尻尾をブンブン振りながら「ワンワン!」翡吹は羽根をバタつかせながら「キュイ!」と返事をしてくれる。
時間もある事だし、2匹と戯れながらのんびり街に向かって歩くのだった。
「雫お姉ちゃんも楽しそうにしていてくれて良かったよね」
「そうだな。神宮寺も良いヤツだし、このまま楽しんでくれれば良いんだけどな」
スイーツこと哀川怜那は、ミノールこと観刈谷実の家で話していた。
「お姉ちゃんも家がああだから、少しぐらい息抜きは必要だと思うのよ。それにMTOの世界でテイミング出来るモンスターって癒される事が多いしね」
「だけど、アレが癒しになるもんかねぇ……」
「まぁ好みは、人それぞれだしね……」
2人は、一緒にゲームをする龍ヶ崎雫の連れているモンスターを思い浮かべ、苦笑いを浮かべ合う。
「とりあえず俺らは、雫姉が楽しめる様盛り上げるだけだけどな」
「あんたはもう少し考えないとダメでしょ? 盛り上げるどころか、苦労かける気しかしないんだけど……」
実の言葉に、若干呆れ顔を見せながら溜め息をつく怜那だった。これまでの事を考えると当然かもしれないが。
「それじゃあ今日の予定を神宮寺君にメールするね。っとその前にお姉ちゃんにも一応最終確認しとかないとね」
怜那はそういうと、携帯を手にメールを打ち始めるのだった。
諸事情により、大幅に更新出来なかった事、謝罪させて頂きます。
大変申し訳ありませんが、今後も不定期の更新になると思います。




