第9話
大変お待たせしました。
更新速度は、大分落ちると思いますが、頑張って更新していきます。
さて、街を出て荒野フィールドを歩くとすぐに俺らの前に1種のモンスターが現れた。
現れたと言っても、普通のRPGなどの様にポップした訳ではなく、少し離れた場所から向かってきたのだが。
少し距離のあるうちにモンスターに対してモンスター鑑定を行う。
モンスター鑑定使用。
モンスター名:ランゴン
Lv24:竜種:ランクE
運が良い事に、最初から目的のモンスターだ。
これを7体討伐すれば1つのクエストはクリアとなる。
ただ、何というか…… まだ100メートルぐらいは目算で離れているはずだが、敵は1体ではなかった。
「ジンク君。あれを、倒すのですか?」
少し不安そうにミカヅキさんが声をかけてきた。
そうだよね。だって、どう見ても、敵の数が多いよね……
100メートルぐらい先に土煙を上げて走ってくる、恐竜の様な姿をしているモンスター。その数、5体。
正直に言ってしまうと、無理じゃなかろうかと思う。
でも逃げるのも無理な気がする。
だって、明らかにあの5体はこちらを目標にして走ってきている感じがするもん。
こんなところで迷っていたら、ダメなのは分かってはいるのだけど、俺は少し思案してしまった。
そんな俺を他所に、隣で不安気に声をかけていたと思ったミカヅキさんが、敵に向かい始める。
「行きますね」
いやいや、それは少し無謀じゃないの!?
すぐに俺は黒緋と翡吹に声をかけた。
「黒緋が先行して攪乱、翡吹は少し距離をあけて追撃して! 俺も黒緋と一緒に前に行くから! ミカヅキさんは、無理のない程度にラルルと一緒に戦ってください」
俺の指示に黒緋は、ワフ! と了承であろう返事をして駆け出す。翡吹もキュイ! と声を上げて少し距離を取って一緒に進む。俺も負けてられない。
そのまま敵との距離が近づく。
射程に入ったのか、敵の団体に向かい翡吹が「キュイーー!」と咆哮をあげると、5体居た敵のうち3体がその場で転んだ。
あんな攻撃もあるのか。ダメージ的にはそうでもないけど、敵を分断出来たのは僥倖だ。
それを確認してすぐに黒緋に指示を出す。
「黒緋! 翡吹が足止めした敵を更に足止めして! 先に来る2体は俺とミカヅキさんで先に仕留める! 翡吹は、様子を見て俺たちか黒緋の支援を! ミカヅキさん、俺と先に来る2体をやりますよ!」
「ワン!」
「キュイ!」
先に来る2体の横を通り過ぎ、後ろの3体に黒緋が向かう。
黒緋が横を素通りしたのを見て、先に来たランゴンが止まり通り抜けた黒緋に意識が向かった。
-----ラッキー! 黒緋に向かった今なら!
振り返った2体のランゴンに接敵する。先手必勝!
俺がそう思い、ランゴンに攻撃しようとした瞬間だった……
「敵を前に後ろを向くなど正気ですか?」
槍を一閃。
たったそれだけ。
え? なにこれ?
ミカヅキさんが、立ち止まったランゴン2体に槍を一閃したのだが、それだけで2体のランゴンはポリゴン片を煌めかせ消えていく。
って言うか、ミカヅキさん強すぎじゃないっ!?
レベルとか大して変わらないのに一撃なの!?
俺が唖然としてその光景を見ていると、黒緋が足止めをしていた3体の方に更に向かうミカヅキさん。我に返ってその後を追うけど……俺が接敵する頃にはポリゴン片が煌めいていた。
俺、何もしてないじゃん!!!!!????
「ジンク君、大丈夫でしたか?」
こっちに向き直ってそんな事を聞いてくるミカヅキさん。
貴女のおかげで、俺は無傷ですよ…… これ男としてどうなの……?
「ミカヅキさんのおかげで俺は無傷ですよ。というか、ミカヅキさん凄く強いですね……」
俺の言葉に人差し指を顎にあて、少し考えてから「そうなんですか?」と逆に聞いてきた。
いやいや、そうですよ! 基本的にゲームでのレベルと言うのは絶対的基準である。レベル差が1つ違うだけでも普通のゲームだったのなら、かなり違う事になるだろう。
確かに、このMTOはVRMMOだから、レベル的な恩恵と言うのは、そこまでではないのかもしれないけど。
しかし、レベル的にほとんど変わらない、装備的にも変わらない。それでここまで攻撃力に差が出来る物なのだろうか?
もちろん種族的な差は、意外と馬鹿には出来ないだろうとは思う。
俺は『人族』であるのに対して、ミカヅキさんは『竜人族』だ。
『人族』である俺と『竜人族』であるミカヅキさんとは、ステータス的にはきっと大きな差があると思われるのだが、どうにも解せない。
何故なら、ミカヅキさんと同じ『竜人族』であるミノール君の戦闘を見たことがあるからだ。
ミノール君を見た時に、確かに戦闘力がかなり高いと感じはしたが、こんなに差を感じなかった。
もちろんそれは、低レベル帯だったからなのかもしれないが、それにしてもと思わなくもない。
実際に各種族の特徴を各々持っているのだからと言う事は大前提ではあるのだが……
「現実よりも、取り回しがしやすいのですよね。槍が軽く感じます」
そんな事を考えていると、何かに思い当たって呟いていた言葉が聞こえてきた。
「ミカヅキさんは、現実でも槍を扱った事があるのですか?」
そうだとすると、現実の技能がかなりフィードバックされる仕様なのかもしれない。
「いえ、槍は扱った事はないのですが、私は元々薙刀を少々嗜んでおりまして、長物の扱いにはある程度長けていると思います。それに……」
「それに?」
言いよどむミカヅキさんに先を促す。
「えっと…… お恥ずかしい話しなんですが、私昔から三国志のとある武将に憧れを持っておりまして…… その影響で昔から槍の演武を目にする機会が多かったものですから、その影響もあるのかもしれません」
そうか。実際に槍ではないが、長物の扱いを身体が知っていて、更に槍自体の動き方などの知識を持っているから、それがVRに繁栄されているんだ。
確かに、剣道などやっていた人物は、VRで剣を扱うには有利だろう予想は簡単に付く。
きっとミカヅキさんもそういった感じで槍の扱いが上手いのだろうと推測出来る。
もちろん、身体だけ、知識だけではダメなんだろうけど…… きっと両方があって初めて生きてくるのだろう。
ならば、今後そういったものを目にする様にすると、また少し違った感じになるのかもしれないと思いながら、ミカヅキさんとクエストの続きの狩りを再開することになった。
そのまま、ミカヅキさんとの狩りを続けた結果、無事全ての討伐クエストをクリア出来たのだった。
そのおかげでレベルも目標の25には届いていないが、順調にレベルが上がり今は23まで上がっている。クエストモンスター以外にも少し狩りが出来たのが効いているのだろう。
このまま順調に狩りすれば、レベルアップの25は達成できそうだ。
ミノール君とスイーツさんは、無事クエスト達成してお金稼ぎ出来てるかな?
ちなみにミカヅキさんが、リアルでは薙刀のとある流派の宗家本元で有望な後継ぎとしてかなり有名らしいことを知るのは、もう少し後のことになる。
~~~~~~~~~ミノール・スイーツ組~~~~~~~~~~~
「街中の雑用クエストなのに、なんであんたは失敗ばっかりなのよ!? むしろ失敗よりも私の邪魔しないでよ!」
「仕方ねーだろう! そもそも運搬クエストとか言って物運ぶのが前の街までとか、時間掛かりすぎるだろうが!」
「あんたが余計な戦闘しなければ問題無かったわよ!」
「敵が居るのに倒さないとかありえねーだろう!」
「あり得ないのはあんたの頭の中よ! この馬鹿!!!!!」
ミノール・スイーツ組。未だクエスト達成件数、0件。
誤字脱字報告、よろしくお願いします。
私の都合で更新が、大変遅れた事、まことに申し訳ありませんでした。
本日から、またゆっくりではありますが、更新再開させていただきます。
週1回の更新を目途にする予定です。
今後も応援よろしくお願いします。




