第8話
気を取り直して改めて掲示板を眺めていく。
この地に来てからまだ戦闘自体は少しだけしかしていない。
もちろん生息しているモンスター自体も把握しているとは言いにくい。
なので討伐以来と言っても、指針となるものがクエスト難易度しか無いのも困りものだった。
そんな事を思っていると掲示板を一緒に見ていたミカヅキさんがこちらに向かって疑問を言ってきた。
「これって、クエストを受注した後の期限と言う物はないのでしょうか?」
確かに、良く聞く小説やアニメなどにある冒険者ギルドのクエストだと、依頼の達成期間なるものが存在していた。
ミカヅキさんが言うように、今見ているクエスト欄にはそれは記載されていない様に見える。
「そうですね。確かに書いてないですね」
「期限が無いのでしょうか?」
期限が無いのであれば、受けれるだけ受けて、達成済みから報告して報酬をもらうと言う数撃つ作戦が出来なくはない。
「ちょっと受付の人に聞いてきましょうか」
期限があるかないかによって、方法も変わってくる。これは確認するべきだろう。
そのまま受付まで移動し、登録したカウンターに向かい話しかけて聞いてみると、どうやら期限というものは特には無いらしい。
クエストによっては期限のあるものもあるらしいが、そういったものは別途記載されているらしい。
さっきまで見ていた中には無かったけど……
「どうやらクエストの期限と言う物は基本的には無いみたいですね」
「そうなのですか」
確認したことを告げると、ミカヅキさんはまた掲示板のボードに向かい一覧を見つめだした。
これは、多分俺が思った様なことは考えてないだろうな。というか、思い付きもしないんだろうな。何か俺、汚れてる? いやいや。ゲーム脳なのだけかもしれないな。
「期限もない事ですし、見た感じ達成出来そうな討伐以来を受けれるだけ受けて、達成したら報告して報酬をもらうようにしましょうか。その方が無駄がなさそうですし、俺らは生息モンスターの把握も出来ていないですから」
俺の提案にミカヅキさんは、なるほどと納得顔で頷いてくれた。
受けれるだけと言ったけど、実際に難易度の高いのは避けておく方が良いだろうな。別に受けるだけ受けてって手も無いとは言わないけど、もしかしたら派生のクエストもあるかもしれないしね。今はレベル上げとお金稼ぎを優先しないと。
そんな訳で難易度的に低めの物から受注する事にした。
受けたのは次の5つ。
討伐依頼
クエスト難易度 E 推奨レベル25
クエスト内容:ランゴンを7体討伐せよ
クエスト報酬3000G
討伐依頼
クエスト難易度 E 推奨レベル25
クエスト内容:がららを6体討伐せよ
クエスト報酬3200G
討伐依頼
クエスト難易度 E 推奨レベル26
クエスト内容:サシャクを10体討伐せよ
クエスト報酬:4000G
討伐依頼
クエスト難易度 D 推奨レベル27
クエスト内容:とるとるとーるを5体討伐せよ
クエスト報酬:5500G
討伐依頼
クエスト難易度 D 推奨レベル22
クエスト内容:さーぼてを10体討伐せよ
クエスト報酬:5000G
パッと見大きな差はないし、今のレベルだとこんなところだろうと思う。
ただ、最後の1枚は推奨レベルと難易度が前の4つと違うのが少し気になるところかな。
ミカヅキさんは理解しているのかいないのか判断が難しいが、エメラルドキャタピラーの討伐以外ならば問題無さそうだ。
ラルルの時と一緒で、討伐対象を気に入る可能性は無いとは言えないが…… そうなったらそうなったで仕方ないかな。
クエストを受注した事だし、2人でフィールドに討伐しに向かう事にした。
俺らが選んでいる間に、ミノール君とスイーツさんはさっさと出発していた。あの2人も大丈夫か心配だ。
荒野フィールド。
始まりの街があった草原フィールドと違い、こちらは、見渡す限り荒野。
前に足を踏み入れた時にも思ったけど、アメリカとかの荒野を思い出させる風景をしている。
荒野フィールドのモンスターに関しては、草原フィールドよりレベル的に上のモンスターが配置されている。
レベルが上という事は、当然強さも上という事だ。
実際に俺やミカヅキさんがどの程度戦えるか分からないけど、クエストをクリアして自分のレベルとお金を貯めないと目標であるクラン設立も出来なくなる。
ここは頑張らないと。
黒緋と翡吹の事も心配だ。今までの戦闘のほとんどを2匹に任せっきりになっていたし、自分を含めた連携と言うのも今まではしてきていない。
実際には、2匹に指示を出し戦闘をしてきたけど、自分が攻撃役としてその連携に入る事はしてこなかった。
しかし、今後このフィールドで戦うのだから、自分も入らないといけないだろう。
それに、ミカヅキさんの事も心配だ。
ミカヅキさん自身の戦闘能力も心配ではあるが、それよりもラルルの方が心配ではある。
芋虫型のモンスターだけど、発見の時も戦った記憶は無いし、戦えるかも分からない。
実際に翡吹みたいに遠距離攻撃やそれに準ずる能力を有していて、サポート的な事が出来るのかもしれないが、未知数だ。
ミカヅキさんを見てると……ラルルに戦わせるのか? と言う疑問もないとは言わないけど……
そんなこんなで街を出て2人でクエストのモンスターを探し歩くことになった。
~~~~~~~~~ミノール・スイーツ組~~~~~~~~~~~
「ちょっと、クエストどんなの受けたのよ?」
「ん? 金稼がないといけないんだろ? ちゃんと高額の受けたぞ?」
「いやあんた、達成出来ないの受けても仕方ないでしょうが。無駄に時間使うだけになったらどうするのよ?」
「まぁ大丈夫だろ。何とかなるさ」
「何でそんな楽観視してるのよ!」
この後、報酬の高いクエストは達成出来ず諦める事になり、冒険者ギルドに戻りスイーツがクエストを選ぶことになるのだった。
しばらくして、PKは出来ない仕様なのに、何故か第2の街付近で男性キャラクターに女性キャラクターが暴行を働く現場を目撃したとネットの掲示板に流れ一時噂になるのは、また別の話しだ。
あの二人は、ほんとに……
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