第7話
先ほど登録をした冒険者ギルドに戻り、クエストの受注が出来る掲示板の前に行くと、以前と同じく半透明のボードが出現した。
そこには、前と同じで色々なクエストが記載されている。
どの様なクエストがあるかと言うと、
討伐依頼
クエスト難易度 E 推奨レベル25
クエスト内容:ランゴンを7体討伐せよ
クエスト報酬:3000G
雑事依頼
クエスト難易度 G 推奨レベル10
クエスト内容:マーベルさんの家の雑草を刈る(マーベルさんの気が済むまで)
クエスト報酬:7000G
といった感じで様々な内容が記載されている。
討伐以来も雑事依頼も混成で記載されてて、意外と見難いがそれが仕様なのだろう。
「そしたら、俺はミカヅキさんと選ぶからミノール君とスイーツさんも二人で選んでね」
俺がそういうと、3人とも分かったと頷き合って掲示板に向かう。ミカヅキさんは俺の傍に来ただけだけど。
「ミカヅキさん。とりあえずパーティーを組みましょうか。パーティーでの受注可能クエストもありますし」
「分かりました。どうすればよろしいですか?」
ミカヅキさんに対してパーティー編成の要請をすると、俺をリーダーにしたパーティー(と言っても2人だけだが)が出来上がった。
そのまま掲示板に向き直ると、どうやら今まで各自の前に出現していたボードが、2人の前に出現し、2人で同じボードを見れるようだった。
「どれがいいんでしょうかね?」
クエストを見つめながらミカヅキさんが訪ねてきた。
ミカヅキさんは、何をすればいいかあまり理解していないだろうから仕方ないかな。
「えっとですね。レベル上げも合わせて出来るクエストですから、討伐系のクエストを受注しましょう。初めてになるので、最初はあまり難易度の高い物は避けて簡単な物からにしましょうか」
そんな事を言いながら、俺もボードを見る。
記載されているクエストの内容は、大まかに3種類あるらしい。モンスターを倒す目的である討伐系。街の中の人やプレイヤーからの依頼である雑事系。そして恐らくであるが、ダンジョンなどの内部調査などの探索系。
何故探索系が恐らくと言うかというと、まだダンジョンなるものを見た事が無いからだ。
その探索系のクエスト内容を見ると、きっとそうだろう思う内容だった。
探索依頼
クエスト難易度:C 推奨レベル30
クエスト内容:荒廃の風穴探索(地下15階到達)
クエスト報酬:24000G
と言った感じで記載されていた。
探索と名前が付いていて、更に細くで地下15階などと書いてあるのだ。まず間違いなくダンジョンだろう。
ただ、探索依頼は総じて推奨レベルが高めだ。
そんな依頼をみつつ、当初の予定通り討伐系の依頼を見ていくと、難易度の低い依頼を発見した。
「ミカヅキさん、これなんかどうでしょうか? 最初に行うには丁度良い感じの難易度ですし」
その依頼を指差しミカヅキさんの方に目を向けると、俺の指差した依頼を見て固まっているミカヅキさんが居た。
あれ? なんでだろう……
「ジンク君…… その依頼を、やるの、ですか?」
何か少し途切れ途切れに返答してきた。って言うか、若干ミカヅキさんの背後に黒いオーラが見える気がする。
あれ? 本気で何かやらかした?
「えっと。不味かったですかね?」
俺が恐る恐る尋ねると、ミカヅキさんはコメカミをぴくぴくさせて言葉が出ないって感じになっている。
なんでだろう。
俺の指差した依頼は、
討伐依頼
クエスト難易度 F 推奨レベル20
クエスト内容:エメッルドキャタピラーを10体討伐せよ
クエスト報酬:2000G
だった。
あれ? もしかして、ラルルと同じ種族だからダメだったのか……?
そんな事を思った瞬間、ミカヅキさんが今までに見たことの無い顔をして凄い剣幕で迫ってきた。
「ジンク君。私がラルルを見て気に入って仲間にしたのに、そのラルルと同じ姿のモンスターを倒させるんですか? 本気で言ってます? 私にラルルの仲間を倒せって言うんですか? そういうことを言う人を世間では鬼畜って言うんじゃないんですか? ジンク君は鬼畜さんだったんですね。私知りませんでした。今後はその様に対応しないといけないんですか? もしかして、私たちに似た容姿をした敵が出て来ても難易度さえ平気なら討伐しちゃうんですか? 本当に血も涙もない人なんですか?」
何か、凄かった。
「い、いや、ほんと、すいませんでした」
あんな剣幕で言われたら、謝るほかに何が出来ると言うのだろうか。
確かに、見た目で気に入ってテイミングしたのだから、それと似た容姿をしているモンスターを討伐するのには抵抗があるのかもしれない。
俺なんかは、その辺りはゲームだと言う割り切りが出来ているからあまり気にしないが、ミカヅキさんはこういったゲーム自体が初めてだし、そう思っても仕方ないだろう。
その辺りの配慮が出来なかった俺のせいだな。
それにしても、普段は落ち着いているミカヅキさんも、あんなに熱くなるんだ。それに、あんなに熱くなるって事はこのゲームにハマり始めているって事だろう。
そう思うと、確かに怒られはしたけど、そんなミカヅキさんを見れて少し嬉しいと思う感情が出てくるのを俺は感じたのだった。
って言うか、ミノール君とスイーツさんが怒られたの見てたんだから、察するべきだったと反省しないとだ。
もう1つ作品を投稿しております。
異世界転移物ですが、そちらの方もよろしくお願いします。
更新速度が遅い中、新しい作品の投稿という暴挙に出てしまいましたが、どちらも頑張って投稿、更新していくので応援よろしくお願いします。




