第4話
第2の街に向かって歩き始め、30分ほど経った頃、視界の先に街の外観が見えた。
勝手なイメージだけど、何となくアメリカの古い西部劇に出てくる様な街を想像していたが、外壁に取り囲まれたその街は、意外と近代的な造りをしている様に見える。
実際にゲーム内の街である事だし、現実世界の荒野とは色々と違うのだろうが、それでもイメージとは違う部分に激しい違和感を感じずにはいられなかった。
「何か、少しイメージと違う感じがしますね」
ミカヅキさんも俺と同意なのか、首を傾げている。
スイーツさんとミノール君は「こんなもんじゃないの?」と、さほど気にした様子も無かったが。気になるこっちが変なのか気にしない2人が変なのか、微妙なところではある。
そのまま見えた第2の街に向かって伸びている街道を歩いているとサボテンっぽい植物の足元に蠢くモンスターを発見した。
このフィールドに入って初めてのモンスターだったのだが…… 何と言うか、警戒心を激しく削ぐフォルムをしている。
身体は全体的に薄緑色。少し胴長な体型に多数の足がついている。
人によっては嫌悪感を持つだろうそのフォルムだが、俺はそういったものに対して特に悪感情は持っていなかったが、スイーツさんは嫌悪感を出していた。ミノール君は興味ないのかほぼ無視だ。
つまりは、芋虫の様なフォルムなのだが、その子に激しく反応し食いついた人が1人居た……
「この子! 可愛いです。しかも、この形態……きっとこの子は、この先強くなりますよ!」
ミカヅキさんは、半ばそう叫びながらそのモンスターに近寄る。
モンスターのはずなのに、何故か攻撃してくるでもなく、未だサボテンっぽい物の根本に顔を突っ込んでいる。あれは、食事中なのか?
「えっと、ミカヅキさん…… その子気に入っちゃったんですか?」
恐る恐る聞くと、凄く良い笑顔でこちらを見て何度も頷いている。
これは……仕方ないか。戦力になるとは思えないけど、こういうゲームは気に入ったモンスターをテイミングするのは当たり前の事だしね。
「じゃあ、その子テイミングしてみますか? 初めてのテイミングモンスターになりますし、強さは少し微妙かもしれませんが」
「はい! 今は強くなくても、きっとそのうち強くなります。いえ、私が強い子に育ててみせますから!」
何と言うか、芋虫にここまで執心出来る女性ってある意味凄いな……
今まで関わった女性からすると、少し異様な感じに思えるのは、仕方ないかもしれないが。
芋虫をモンスター鑑定すると『エメラルドキャタピー』という名前のモンスターであることが分かった。
どうもノンアクティブ設定のモンスターらしい。
戦う事自体は出来るだろうが、やはりあまり強いといったイメージは感じないな。
そんな感じでミカヅキさんが、初のテイミングを実行。失敗を繰り返し、何度も休憩しながら数十回のチャレンジの末に見事テイミングを成功させた。
新たに仲間になったモンスターにミカヅキさんは、『ラルル』と少し可愛い名前を付けてあげていた。
テイミングした後に分かった事だが、芋虫だけあって移動速度もかなり低く、テイミングしたミカヅキさんの肩にへばり付く様にして乗る事になった。
肩にあるラルルの頭を優しく撫でているミカヅキさん。リアルもそうだが、アバターも結構整った顔立ちをしている女性が肩に芋虫を乗せて優しく撫でている図と言うのは、これまた正直微妙な絵面だったのは言うまでもないだろう。
そんな新しく仲間を加えた俺たちは、やっと第2の街に到着したのだった。
外観からも分かっていたが、割りと近代的と言うか、先進的と言うか、とにかく第1の街とは色々な部分で違うところが見てすぐわかる。
街中には、多数の商店などが立ち並び、もちろん住民の多さもあってかなりの賑わいを見せていた。
この全てのNPCが高性能AIで独自に動いていると言うのだから、運営の凄さが分かるものだ。第1の街とかなり様相の違う風景に、俺たちは入り口でしばし街中を唖然と見つめてしまっていた。
外観を見ていて「こんなもんじゃないの?」と言っていたスイーツさんとミノール君の2人も、近くで見る様相に驚いたのか口をぽかーんと開けて言葉もない様だ。
そんな俺たちの中で、唯一と言って良いのか、さほどの変化もなく、肩に乗せたラルルを撫でて居たミカヅキさんが唖然としていた俺たちを現実に引き戻す。
「いつまでもここで居ても仕方ないのでは? 中に行きましょう?」
「あ、ああ、そうですね。とりあえず、事前に調べてあった通り、冒険者ギルドに行き登録してからクエストとかやってお金を稼がないといけませんね。それにクランを作る方も調べないと」
ミカヅキさんの声で最初に現実に戻った俺は、これからの行動を確認する。
「ええ、別れて行動する方が良いかな?」
「いえ、冒険者ギルドには登録も必要だと思うので、一度全員で行く方が良いと思います」
スイーツさんの言葉に、一度は全員でギルドに行く必要があると思いそう示唆すると、すんなりと納得してくれた。
ミカヅキさんはもちろん反論などは無い様で、まだ肩のラルルと戯れている。話しかける言葉が赤ちゃん言葉になっているのは触れないでおこう。
そして静かなミノール君はと言うと…… 未だ現実には戻ってこれていなかった。足元でテイミングモンスターであるフェンがズボンの裾を引っ張っているが、効果は無いようだ。
っと、そんなミノール君へスイーツさんが拳骨を落とすと漸く現実に復帰したようだ。
まだモンスターとは戦っていないが、クラン設立もあるしここの街には長く滞在しそうな気がするな。
更新に大分開きが出来て申し訳ありません。
体調不良、リアルの都合、その他もろもろと色々重なり、かなりの期間更新出来ませんでした。
本日から何とか更新を再開していきますので、今後もよろしくお願いします。




