第3話
大分更新の間が開いてしまいました。申し訳ありません。
その後自宅に戻り、しっかりと母親の了承を得てまたログインする。
皆で時間を合わせるためにメールでやり取りをして何とか4人の時間を合わせることに成功して一安心。
俺も時間を合わせられるか(主に母親的都合で)不安だったが、俺よりも会長が一番時間を合わせにくかったみたいだ。
すでに慣れた仮想世界へログインすると、俺の周りに2つ淡い発光と共に2体のモンスターが。もちろん黒緋と翡吹だ。
2体は、すぐに俺の方に寄って来てすりすりしてくる。本当に可愛い。「ワンワン」「キュイキュイ」と2体も嬉しそうにしているのがこっちもまた嬉しくなる要因だと思う。
こんなに懐いてくれるのは本当にありがたい。
これから第2の街を目指すにあたって、2体には頑張ってもらわないといけないし、今のうちに甘えさせてあげよう。
それから数分2体と戯れていると、少し離れた場所から声が聞こえた。
「ジンクく~ん! お待たせ!」
メロンとマスカットを連れたスイーツさんが、笑顔を浮かべ手を振りながらこちらに向かってきた。
こちらに手を振っているが、どうも目線が俺ではなく、黒緋に向かっているのは、テイミングしそこなった影響だろうか。
「いえ、まだ時間前ですし大丈夫ですよ。ミノール君とミカヅキさんは、もう少しかかりますかね?」
「2人ともすぐ来ると思うよ」
何とか時間を合わせられたが、会長が時間通りに接続出来るかは不明だ。会長のお家事情はあまり理解していないし。
勝手な想像だけど、お嬢様って言うのは色々お家の制約が厳しそうなイメージがある。
実際は、ゲームもしているし、ファミレスで一緒に食事までしたのだから、そこまで厳しい事は無いのだろうけど。
そんな事を考えながらスイーツさんと談笑していると、しばらくしてミカヅキさんが少し離れた場所に出現した。ってえらい近くでログアウトしていたんだな。
結局最後になったのはミノール君だった。と言っても、ミカヅキさんが来てから1分かそこらしか経っていないのだけど。
ちなみにミノール君は、ログインして合流するなりスイーツさんとミカヅキさんに怒られた。待ち合わせ時間5分前だったのに……不憫だ。
「さて、特に準備する物も無いだろうし、早速このまま第2の街に向かうって事で良いかな?」
4人揃い改めて落ち着いたところ見計らって、他の3人に声をかける。
「問題ねーぞ」
「問題なーし!」
「お任せします」
ミノール君もスイーツさんもミカヅキさんも、3人共問題無いとの事。
むしろ、ミノール君とスイーツさんは楽しみでソワソワしている感じだ。ミカヅキさんは、まだゲームの事自体も良く理解していない様で付いて行くスタンスみたいだ。
「では、出発しましょうか」
4人と5体は揃って第2の街に向かって歩き始めた。
第2の街は、草原フィールドを進んでいき、森林フィールド(開拓村方面)とは逆の分かれ道を街道沿いに行くと着く。
実際にどの程度の距離で、どの程度の時間がかかるかは、サイトなどで確認してもハッキリは分からなかった。と言うのも、掲載されている時間がバラバラだったからだ。
その中の情報を元に予想をしても、大体数時間はかかるとみている。
時刻はすでに夕方過ぎ。フィールドも夜の帳が降りつつある中で進んでいくことになった。時間的には元々話しをしたときにある程度の余裕を持っては出てきているが、正確な時間が分からないためフィールドでのログアウトも一応視野には入れている。
途中にいる『ばぶるん』には目もくれず、他のモンスターもスイーツさんのお目当てである『ベルドッグ』以外はスルーしていく事になっている。
ただ、夜フィールドの移動という事で、昼間には出現しないアクティブモンスターが存在し、そいつらが襲って来ようとはしているのだが、プレイヤーであるうちらの元に来る前に、黒緋、翡吹、フェン、メロン、マスカットの5体によって駆逐されていく。
草原フィールドは、やはり初心者用のフィールドだという事を再確認した。すでにレベルが20を超えているうちらのモンスターでは相手にならない感じだ。
接敵、即撃破を数回繰り返したところで、他のアクティブモンスターの襲ってくる頻度が極端に減ったのは、点在するモンスターのAIの優秀さなのかどうか。
ともあれ、何も問題が怒らずに最初の目標地点である森林フィールドとの分かれ道に到着した。
「看板に書いている通り、あっちに行くと森林フィールドで開拓村があるんだ。今回は第2の街に向かうので反対側の道に沿って進むよ」
俺の言葉に他の3人も頷く。
そのまま第2の街の方に歩を進めるのだった。
途中他愛の無い話しをしながら、各自のモンスターとも適度のスキンシップを取りながら進んでいくと、看板から1時間も経たずに辺りの景色が一変する。フィールドの移動をしたらしい。
このゲームはフィールドの移動にMAP移動は無い。
どういう基準のラインを引いているかは分からないが、境目を超えると辺りの景色が一変するのだ。
そこにラグなどは存在しておらず、しかもうちらプレイヤーに不快感を与えない様な不思議な作りを実現している。
そして、一変した景色は、何というか……荒野っぽいフィールドだった。
一応事前情報で荒野フィールドだと言う事は分かっては居たのだが、何というか……今まで草原の緑だったのが、いきなり視界が荒野の赤っぽい色に変わって少々驚きだ。
グラフィックをどうやっているのかさっぱり分からないが、かなりの完成度だろうと思う。
まるでアメリカのグランドキャニオン付近だと言われても納得しそうな風景だ。
「さて、景色が一変したし、こっから第2の街がある荒野フィールドだよ。ここからは、少し注意して進まないとダメだからね」
俺の警告の様な言葉に、ミノール君が首を傾げている。
「ん? なんでだよ? 別にこのまま進めばいいんじゃねーの?」
やっぱり理解していなかったか。
「ここから荒野フィールドになったって事は、出てくるモンスターのレベルが草原フィールドとは違って高いから注意が必要なんだよ」
俺の言葉にミノール君は納得した様だ。って言うか、スイーツさんも納得顔してる!? ってミカヅキさんは当然理解していなかっただろうから、結局俺以外理解していなかったって事か……皆もう少し考えようよ。
「ま、まぁ……うちらの連れているモンスターは、皆レベルはそれなりだから通用はするとは思うけど、それでもどんなモンスターが出てくるか分からないうえに、特に今は夜だからね。警戒するに越したことは無いよ」
「そうですね。知らない土地と言うのは得てして不測の事態を呼ぶことが多いですから、気を付けるのは当然だと思いますよ」
一番分かって居なそうなミカヅキさんが同意してくれた。
それを見てミノール君もスイーツさんも「分かった」と言っていたが、俺の言葉には同意しなかったくせに、と思うのは、俺の心が狭いからだろうか。
そんな自分の器の小ささにげんなりしながら、うちらは新たな荒野フィールドを第2の街に向かって歩き始めるのだった。
前書きでも書きましたが、更新が1か月以上空いてしまい申し訳ございません。
体調もある程度戻り、リアル状況も少しはマシな感じになりましたので、投稿を再開していこうと思います。
毎日更新はしばらくは無理かもしれませんが、最低週に2回を目標に更新していくつもりです。
可能ならば、それ以上も頑張りたいです。
今後も応援の方よろしくお願いします。




