第22話
大変遅くなりました。申し訳ありません。
『ばぶるん』を倒し歩き約1時間ほど経ったか。
ミカヅキさんは順調に『ばぶるん』を倒してレベルを上げていっていた。
その間に俺とスイーツさんは、今後の方針について話し合った。
今後の方針と言っても、スイーツさんは苦手種族の捜索とテイミングを第一目標に。ただ、もう『ベルドッグ』に固執するのはやめるらしい。
どうやら『ベルドッグ』の遭遇率の悪さを考えて、現状のメロンとマスカットのまま、先に進んでレベルを上げながら良いモンスターに出会えたらテイミングする方針で行くとの事。
確かに、今はまだ、そこまであのクエストに固執する必要もない事ではある。それに本人が『ベルドッグ』じゃなくても良いと言うのであれば、俺からは何も言う事は無い。
俺の方も森林フィールドを少し散策した結果、あそこは俺とは相性が悪いと判断する。色々精神的に良くないし。
だから先に進む事に関しては、俺も賛成だ。
そろそろ第2の街に向かっても良いだろうと思う。レベル自体も俺もスイーツさんもミノール君も20を超えた訳だし。ミカヅキさんも……あの調子ならば問題無く20までは到達するだろう。
ミカヅキさんのレベル20到達を待って、4人で次の街を目指すことも有りじゃないかとスイーツさんに言うと、少し考えるそぶりを見せるものの、同意してくれた。
同意までの間は、ミノール君と一緒に行動する事が、本人的には嫌だという事らしいが。
最初の自爆行為の経験者としては、その思考に至るのは仕方ない事かもしれないとは思うのだが……
何にせよ、今後の方針は決まった。
ただ、少し問題はある。ミカヅキさんのテイミングに関してだ。
本人が、ドラゴンなどの強そうで格好の良いモンスターでないとテイミングしないかもしれないと言う事だ。
今はミカヅキさんは『ばぶるん』を討伐しているため、この話し合いには参加していない。
本来ならば、狩りを終わってから改めて相談と言うか、どうするか質問しようと思っていたのだが、ここでスイーツさんから待ったがかかった。
先にそれを聞いてテイミングする方向に動いた方が良いのではないか? という事だ。
確かに、レベル上げをするにあたってテイミングモンスターも一緒に上げる方が良いと俺も思い直す。
そこで狩り真っ最中のミカヅキさんに狩りを一度止めて話しを聞いてもらう事にした。
「ミカヅキさーん! ちょっと相談があるので狩りを一旦中止にしてくださーい!」
狩りに夢中だったミカヅキさんを少し離れた場所から、半ば叫びながら呼ぶ。
すると、こっちの声に反応して『ばぶるん』に投擲しかかった槍を下ろし、こちらに歩いてきてくれた。
近くまで来て「どうしました?」と疑問顔を浮かべながら訪ねてくるミカヅキさんに、先ほどスイーツさんと話したことを話してみる。
すると、理解したのか納得してくれたのだが、そこで更に問題が出た。
「お話は分かりました。私も折角のレベル上げをしているのですし、テイミングをして一緒に強くなりたいと思う意思はあります。ですが、少し疑問なのですが……私は今倒していた『ばぶるん』以外のモンスターは、ジンク君とスイーツちゃんの連れている子以外見た事ないのですが、他にはどんな子が居るのでしょうか」
確かに…… 他のモンスターを見たことも無いのに、どのモンスターが良いか? という質問に返答を返すのは厳しい。
俺らにしても、現状出会った事のあるモンスター以外のモンスターは知らない事だし、そこにミカヅキさんの好みでとなると、余計に難しい。
と言うよりも、選ぶベクトルが俺らと違いすぎているというスイーツさんの話しを聞く限りでは……それを選定するのは無理ではないかと思う。
そこで3人で少し悩んだのだが、結局現状でテイミングは諦めて先に自身のレベルを上げてしまって先に進もうという事になった。
というのも、先に進めばこの辺りとは違うモンスターが出てくるであろう事が容易に予想される。
敵が強くなれば、もっと見た目が強そうな敵が増えるんじゃないかと言う期待もある。
実際にミカヅキさん好みのモンスターが居るかどうかは、ハッキリ言って賭けになる部分も多分にあるのだが、それは言っても仕方ないだろう。
現状テイミングをしようと思うモンスターには会えていないのだし、余り好みを理解していない俺であっても草原フィールドにミカヅキさん好みのモンスターが出るとは考えにくい。
それを説明し、ミカヅキさんもそれに納得したのか「では、早く先に進める様にレベルアップ頑張りますね」と更に張り切って『ばぶるん』撲滅に向かっていった。
その後ろ姿を見ながらスイーツさんが溜息をもらしていたのは、ある意味では仕方ないのかもしれない。何というか、やはり少し普通の思考とはずれている気がするしね。
そんなスイーツさんも「次の街に行くなら、私も今のうちにマスカットのレベル上げておきたい」と言い出し、ミカヅキさんとは少し距離を取りながら『ばぶるん』狩りに向かっていった。
その後更に1時間ほど狩りを続け、ついにミカヅキさんのレベルが20になったのを確認して、始まりの街に戻る事にした。
戻りながらミノール君にフレンドチャットを送る。
『始まりの街に戻ってきて。第2の街に向かおうと思うからみんなで一緒に行こう』
『了解! 30分ぐらいで戻るから』
そんなやり取りを終えて、3人で始まりの街に向けて歩きだした。
第2の街…… 冒険者ギルドなどもあるし、街としても大きいという話だ。
これは、また情報サイトで先に行っている人の情報を得るのが良いか。俺も新たにテイミングする新しい仲間を見つけたいし。
それに、クランの事もある。
実際にクエストの件もあってスイーツさんはリーチ(テイミング数)がかかる可能性があるし、やはり今後色々なモンスターに出会う事も考えると、テイミング数の上限解放と言うのは重要だと思う。
それに、やっぱりネットゲームでの醍醐味は、やはりネット上での見知らぬ人との出会いであり、触れ合いだろう。
クランを立ち上げるのか、それとも何処かに加入するのかはまだ分からないが、クランという組織に所属する事でそういった出会いが増えていくことは簡単に想像出来る。
それに、時間的にそろそろ夕方になってくる。
俺以外の皆も、そろそろ夕食時期に入ってくるし、この辺り4人合流して今後の方針を決めた後一度落ちて色々確認するのが良いだろ。
連続ログインはダメ! などと優等生じみた事を言う気はないが、それでも休憩は必要だろう。特にミカヅキさんには。
さて、次はどんな街なんだろうかね。冒険者ギルドなど心をくすぐられるワードも聞いている事だし、期待に胸を膨らませる事にするかな。
以前の後書きにも書きましたが、10月から毎日更新に戻る予定でおります。
ただ、体調が完調しておりませんので、更新ペースを落とすor毎日更新の撤回も視野に入れており、皆様には大変ご迷惑をかけてしまいます。
更新ペースが落ちても、途中で投稿をやめるという事は無いので、その点だけは御安心くださいませ。
今後も頑張って投稿更新しますので、応援よろしくお願いします。




