第12話
龍ヶ崎会長が、モンスターテイミングオンラインをやる。
俺としては、何処かのお馬鹿2人組が大人しくなることは間違いないと思うから、凄い嬉しいけど……
現実問題として、これからやるってVRハードはまだしも、ソフトが入手出来るのかという問題が出てくるだろう。
ハッキリ言って、無理だと思う。
「雫お姉ちゃん…… 多分、それ無理だよ」
どうやら哀川さんも同じ結論を出したようだ。
それを聞いて、龍ヶ崎会長は今一分かってないらしい。首をかしげている。
「雫姉。このゲームって凄い人気で、今のところ次の製造待ちの状態になっているから、すぐにやるのは無理じゃないかな」
観刈谷も同じ様に思ったみたいだ。こういうのは普通に考えられるんだな…… これをずっと貫いてほしい。
「あら、そうなの? それは困ったわね……」
龍ヶ崎会長は、どうやら悩んでいるらしいが、あんまりそう見えない。この人、優しいし生徒会長で、話しに聞くと、運動神経も良いらしいのだが…… こんなポケポケしてる感じを見てるとそうは見えないな。
困ったわねって言っているけど、困っている様に見えない。
「雫お姉ちゃん…… やっぱり諦めた方が良いよ! 私たち、大丈夫だから!」
「お、おう! そうだよ! 雫姉、無理だから、やっぱり諦めた方が良い」
出来ない可能性が高いとみると、二人とも必死だな。
でも、龍ヶ崎会長の様子を見る限り、諦めそうもないんだよな…… でも方法が無いだろうからどうしようもないだろうけど。
「そうですね。すぐは、無理かもしれませんが、うちの父に相談してみます」
相談しても無理じゃないかな。
って、2人の顔が真っ青だ…… え? 龍ヶ崎会長のお父さんに相談したら可能なの!?
龍ヶ崎会長のお父さん何者だ……?
「そ、それは、どうかなー……」
哀川さんが、凄く真っ青な顔して困ったように呟いてる。
本当に何とかなるのか……?
「えっと、龍ヶ崎会長。先ほども話しにあったように、少し難しいのでは無いかと思いますよ?」
「そうですね。でも一応父に相談してみます。うちの父は、色々と知り合いが多いので、もしかしたらという可能性もありますし」
知り合いが多いからって、何とかなるものだとは思えないんだけど……
「神宮寺、いいよ。こうなったら、多分雫姉はやり始める事になる」
観刈谷が、諦めたのかそんな事を言い出し始めた。いや、本当に何者なの?
そんな俺の疑問顔を察したのか、龍ヶ崎会長が理由を説明してくれた。
「うちの父は、以前、都市銀行の常務取締役を務めていたことがあって、その関係で多岐に渡る知人がいらっしゃるのですよ。確かまだ子供の頃でしたが、ゲーム会社の方に知り合いの方もいらっしゃったと思いますし、相談してみれば何とかなるかもしれません」
おっと…… 龍ヶ崎会長のお父さんって凄い人だったのか。
って言うか、もしかしなくても、龍ヶ崎会長って凄いお金持ちの家の人?
お嬢様なのかな。確かに雰囲気も含め、色々な部分が普通の人っぽくない感じではあるけど。
「神宮寺、俺らが小学生のころにな、俺と怜那が当時人気だったスポーツゲームにはまっていた時があったんだよ。それも凄く人気でさ。ちなみに内容はサッカーゲームだ」
小学校の時に人気があったサッカーゲームって、あれか。世界中のサッカー選手が実名で出て来て、更に自分だけのサッカーチームを作って対戦出来るとか。
確かインターネットに繋ぐと、それこそ世界中の人と対戦が出来て、更にはランキングとかまであったりする様なゲームだったはずだ。
スポーツ系のゲームを俺はやってこなかったけど、凄い人気があったのは知っている。
当時は、時代的なものなのか、入手するのも困難なほどのソフトだったはずだ。
「俺らがやっているそれを雫姉が知って、一緒にやるって言い始めてさ、でも何処のゲーム屋に行っても置いて無くて諦める様に言った事があるんだよ」
それは無理だろ。普通に考えれば…… でも、こんな諦め顔で話しをするって事は……
「感じからすると、龍ヶ崎会長のお父さんに相談したら、後日ソフトを入手出来たとかって話かな?」
そんなところだろうと予想する。
「後日どころか…… 小父さんに相談した次の日の朝には、もうソフトが家に届いてた」
はぁ!? 次の日に届くとか…… え? そんな事ありえるの?
「いやいや、それあり得なくない?」
俺の言葉に観刈谷は、真顔で突っ込んだ。
「それが、あり得るからこそ、俺はもう諦めているんだよ。そんな似たような事が何度かあったんだよ。だから、きっと雫姉がモンスターテイミングオンラインをやり始めるのは、もう確定だ」
うわ…… そんな事があったんだ。
確かに、それは諦めたくなるだろうな。
俺の知識じゃ、どうやったら入手出来るかなんて方法すら浮かばないけど…… しかも今回は限定生産されていて、更には、多分ソフトはすでに全てユーザーの手に渡っているはずだから、普通なら不可能なんだけどな……
でも、それを何とかしてしまう人が居るのかもしれないけど…… それは俺には分からないところだ。
「神宮寺君。そういう訳ですので、ゲームを始められるかまだ分かりませんが、始める事になったら色々教えてくださいね」
龍ヶ崎会長が俺の方を見て微笑みながら、そんな事を言ってきた。
うん。分かってましたよ。そこは俺も諦めてた。もうすでに巻き込まれているから、そういう事になるだろうなって……
「はい。こちらこそ、まだゲーム2日目なので分からないことだらけですけど、よろしくお願いします」
龍ヶ崎会長とそんな約束をするのだった。
その後、哀川さんは、俺の母親に謝りに行って無事(?)許され、何故か龍ヶ崎会長が俺に教えて欲しい事があるので、夏休みの間頻繁に俺に頼むことになる事があると説明して、俺に自由な時間を与える約束まで取り付けた。
母親からすると、学校の生徒会長と言うの凄く信頼に足る人物らしい。
そんな人から頼りになるから俺を借りると言われ、時間が不規則になるから自由時間を与えて欲しいとか言われたら納得せざるを得ないのかもしれない。
まぁ、実際に最終的な決めては、俺に自由時間を与えるとき、龍ヶ崎会長に連絡確認を取る約束をしたからかもしれないけど…… 俺もそういう意味では、母親に余り信用はし。
そんなこんなで、当初予定してた展開とは全然違う展開を終え、やっと当初の予定だったモンスターテイミングオンラインの話しをする事になった。
ここで一旦龍ヶ崎会長は帰宅するらしく、観刈谷と哀川さんだけが俺の部屋に残る事になり、2人は少し安堵の表情を浮かべていたけど、龍ヶ崎会長が帰宅してすぐ、その帰宅の理由を理解したのか、また落ち込んで居たのは……まぁどうでもいい話しか。
さて、大分予定変更&路線変更があったけど、ゲームの話しをしようかね。
俺は俺で考える事が色々あるし、哀川さんも何かあるみたいだしね。
反省しているようだし、そっちの相談にも乗りましょうかね。
【ご報告】
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