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モンスターテイミングオンライン (仮)  作者: 南 風
第2章 開拓村~森林フィールド~
33/58

第11話

 階段を上る足音。そのまま部屋のドアがノックされる。

 哀川さんと観刈谷が、そのノックの音でビクッとした。そんなにビビってるのか。

 一体どんな人なんだろうか。保護者さんの正体が、今、明かされる! ってそんな大層なもんでもないと思うが。

 そんな変な事を考えながら、ノックされた音に「どうぞ」と返事を返すと、静かにドアが開き、部屋の前に居る人が目に映る。


「え? 生徒会長さん?」


 保護者って、生徒会長? でも、この二人生徒会長の知り合いなのか?


「失礼しますね。初めまして、と言うのは変でしょうが、言葉を交わすのは初めてなので、初めましてと言わせてもらいますね」


 そう言って軽く頭を下げた後、頭を上げ微笑む。凄く優しそうに見えるその笑顔。

 それもそのはずだ。この人は、うちの学校の3年生にして、生徒会長。そして全校生徒に対し分け隔てなく優しく接するところから付いたあだ名は『女神』だ。

 実際に、いじめられている者を助けたとか、一時居た不良を更生させたとか、本当に誰にでも手を差し伸べる人だという話だ。学校には、会長を崇拝する集団が居るとか居ないとか。

 確かに、そんな生徒会長さんならば、この2人の保護者も理解出来なくはない。

 でも学校内でもないのに、2人の保護者として呼んで今来るという事は、学校外でも付き合いがあるって事かな。




「どうぞ、あまり広くない部屋ですけど。そちらのベッドの方にでも座ってください」


 部屋に通し、まだ座れるスペースのあるベッドに座る様に促すと、会長さんはありがとうと言ってそちらに腰掛けた。


「では、改めまして。ご存じだとは思いますが、私は生徒会長をしている『龍ヶ崎(りゅうがさき) (しずく)』と申します。神宮寺君には、この2人のせいで多大なご迷惑をお掛けしたと」


 自己紹介と共に、2人が迷惑をと。そこまで説明してないはずなのに……この状況だけでそこまで察せるほど、毎度の事なのか。

 何というか、改めてこのお馬鹿2人組はやっぱり馬鹿なのだと再確認した。


「いえ、何といいますか、はい」


 生徒会長さん、何というか優しそうな笑顔をしてるけど、上手く言葉が出せない様なプレッシャーを何故か感じるぞ。


「実? 怜那? 一体どういう事なのか、私はまだ詳しい説明をされていないのだけれど、説明してくれるかしら?」


 うわ、何か2人がメッチャビビってる。

 優しそうな笑顔をしてて、実際に救いの手を周りに差し伸べてきた女神と称される人の言葉なのだが、尋ねる言葉から滲み出るプレッシャーが半端じゃないぞ。なんだこの人。本当に女神って呼ばれてる本人なのか?


 尋ねられて、ビビりながらも今回の状況を説明する観刈谷。それを聞きながら、笑顔で相槌を打つ龍ヶ崎会長。

 こうして見ている分には、さっきのプレッシャーが嘘の様に見える。

 いや、それは違う。違った。

 な、何か、観刈谷が話すにつれて、どんどんプレッシャーが高まるぞ。


 観刈谷が説明をし終ると龍ヶ崎会長は改めてこちらに向き直り、深く頭を下げ謝罪してきてくれた。


「神宮寺君には、本当にご迷惑をお掛けしました。私は幼少の頃からこの2人とは関係がありまして、高校入学の際にも2人のご両親からよろしくと頼まれていたのですが、まさかこんな事になっているとは」


「いえいえ、頭を上げてください! 龍ヶ崎会長にそんな頭を下げられても。ただ、今回はうちの母親に嘘を付いてしまったので、その件だけでも何とかしてもらえたらと…… それ以外の事は、今後無ければ平気ですから」


 実際に、早朝にうちに来た事とか、それはもう結構どうでもいい。それ以上の事があって麻痺している可能性もあるが、それよりも母親への嘘の方がよっぽど重要だし。

 あの嘘は、とにかくどうにかしてもらえないと、俺の今後の生活にかかわるし、そこだけは何とかしてもらおう。


「なるほど。分かりました。怜那。とりあえずは、神宮寺君のお母さんの誤解はしっかりと解きなさい。そして誠心誠意謝罪するのですよ?」


「は、はい。でも雫お姉ちゃん私は「でもじゃないでしょ?」……はい」


 うわ、被せてきたよ。会長つえー。って言うか、相変わらず凄いプレッシャーだ。強いってよりも怖いな……


「神宮寺君、怜那も今回は反省している様ですし、この辺で許してあげてもらっても良いですか? 私が今後この様な事をしない様にしっかりと監視いたしますので」


「は、はい! 俺としてはさっきも言ったけど、母親の事さえ大丈夫なら平気です」


 これ普通に文句とか言えないよね……

 何ていうか、プレッシャーがあるのもそうだし、それに浮かべてる笑顔も相まって、本当に神々しく見えるぞ。問答無用で従ってしまうような気持ちになる、気がする。

 一瞬、女神ってこういうのか? とか思いそうになった。別に会長を崇拝している学校の一部の団体所属ではないのだが…… そいつらの気持ちが少しは理解出来る気がする。


「ところでお聞きしたいことがあるのですが、よろしいですか?」


 それまでと打って変った表情をし、俺に質問をしてきた。


「はい、俺で分かる事なら何でもきいてください」


「では、失礼して少々質問を。今まで、失礼ならが実と怜那の2人から神宮寺君のお名前はお聞きしたことが無いのです。一体何故この様な状況に? 先ほどの実の話では、神宮寺君の都合も考えず、早朝にもかかわらずお伺いした、という事と、神宮寺君のお母さんへ嘘を付いた事、しか聞いてないのですが」


 あぁ、クラスメートって事は、知ってるのかな? あの会長さんならば知ってても不思議じゃないけど。

 今言ってることはそういう事じゃなくて、今まで話題にも出なかったのに、いきなり早朝から俺の家に押しかけるって言うのは、確かに会長さんからすればおかしいと思うのも当然か。

 実際に今まで2人とは全く関わってなかったし、正直ゲーム内とリアルが結び付く事が無ければ、こうなる事はなかっただろう。


「実はですね、俺と観刈谷、哀川さんの3人は、とあるゲームをやっているんですよ」


 そこから、うちらが今関わっている、と言うと変だけど、今の状況になるまでの経緯を話しした。

 モンスターテイミングオンラインの事。その中での出来事。そして昨日の出来事。実際にはまだゲーム開始2日目で、事が起こってから24時間も経っていないとは思えないぐらい、変に濃い時間を過ごしていた気がする。


 俺の言葉に「あら…… なるほど……」などと相槌を打ちながら話しを聞いてくれている。

 そして全てを話し終わると、会長さんはお馬鹿2人組に向かって、またプレッシャーを放ち始めた。って何で!?


「2人とも? 何でそんなゲームをしているって私に言わなかったのかしら?」


 おいおい、観刈谷…… 身体が壊れたおもちゃみたいになってるぞ? ベッドが軋むぐらい震えるなよ。

 哀川さん…… ベッドに正座は正直どうかと思うよ? しかも、泣き出しそうな顔しているし。


「い、いいいや、お、おお弟がさ、ネットの抽選で当たったらしくってさ。しかも2つも。お、弟はやりたくないって言うから、怜那を誘ってやり始めただけで、他意は全くない」


「う、うん。わ、わたしも、実が誘ってくれたから、た、楽しそうだなーって軽い気持ちで、始めただけ。うん。それだけ」


 何でこんなに2人とも挙動不審になってるんだ?

 あからさまに何かあると言っている様に見えるんだが。


 会長さんもそう思ったのか、更に2人突っ込む。


「あら、そうなの。てっきり、私の目の届かないところで遊びたいって理由なのかと思ったのだけど?」


 あぁ…… なるほど。そんな裏があったから2人は挙動不審なのか。


「そそそそ、そんなこと、ない、です。はい」


「な、ない。ないよ。そ、そんなこと絶対ないです。はい」


 これもう、自白してるようなもんだよな……

 会長さんも気が付いているっぽいし。


「分かりました。その事に関しては、もう咎めません」


 おお、それで済ますんだ。凄いな。


 会長のお許し(?)に2人とも凄く安堵した表情を浮かべる。

 けれど、次の会長の言葉で、表情が凍り付くのだった。



「では、それとは関係ないですが、私もそのゲームをやろうと思います」



 何か、大変な事になりそうだ。

 観刈谷と哀川さんが静かになるのは嬉しいけど、これもう俺も巻き込まれるんだろうな…… って言うか、こんなの聞いたら、俺は知りませんって言えないよな……



 予想外の展開に、俺は深いため息しか出てこないのだった。





 まぁ、2人はご愁傷様って事で。自業自得だけどね。



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