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モンスターテイミングオンライン (仮)  作者: 南 風
第1章 MTOの世界~始まりの街~
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第2話

 軽い酩酊感から解放され、閉じていた目を開けると、そこは長閑な感じのする街中だった。

 街中にある噴水のある広場に出現したようだ。ここがMTOの世界の出発地点なのだろう。


 辺りを見渡すと、プレイヤーと思われる様々な容姿のキャラクターが次々に現れているのが分かる。

 自分と同じで皆楽しみにしていて、すぐにログインし開始したのだろうと容易に想像できた。


 さて、とりあえず右も左も分からない状態だし、RPGなどの基本として辺りのNPCにでも話しを聞いて情報を収集せねばならないだろう。

 このゲームはNPCキャラクターにもAIが適用されており、ある程度の会話も成り立つらしい。

 話しかけた返答が「ここは○○町です。ようこそ」みたいな台詞がエンドレスに繰り返される事はないらしい。


 とりあえず出現位置である噴水広場(勝手に命名)から離れ街の中の散策に出発する。

 まだパッと見だけど、文化的には中世から少し進んだ感じに見える。

 レンガ造りの家が数件立ち並んでいるのが見て取れる。

 数軒には看板が出ていて、きっとあれは何かしらの店なのだろうことも良く分かる。

 やはりゲーム内という事で、その辺りは分かり易くしているのかもしれない。

 看板を見て何のお店なのか場所を覚えながら町中のメインストリートであろう道をしばらく進んで行くと、門が見えてきた。

 どうやら、ここが街の入り口になるらしい。

 木製の柵が街を囲むようにしてあるみたいだ。モンスターが街に入ってこない様にっていう設定なのか。

 とりあえず街の入り口横にある、見た感じ兵士の簡易詰所、みたいなところに向かってみる。

 中には三人の兵士らしき恰好をした人がいた。

 さて、とりあえず話しをしてみようと思い、話しかけようとしたけど……ここで初めて、今までやってきたゲームと違うVRMMOならでは(?)の問題が浮上した。


 話し……かける……


 普通のゲーム、MMOや普通のRPGを問わずNPCに話しかけるときは、普通コマンドで『はなす』を選択、または対象をクリックして会話が開始される。

 だが、VRMMOでは話しかける(・・・・・)必要がある。

 つまりはだ。

 こちらから話す必要がある訳だ。別にコミュ障ではないが、どうやって話しかければいいのか思いつかず一瞬戸惑ってしまった……


「何か用かな? 街の外に出るのは気をつけなさい。今モンスターが街の周辺に頻繁に目撃されているからね」


 戸惑っていると、向こうから話しかけてくれた!

 このまま話しを続行するんだ!


「えっと、街の周辺に危険なモンスターって多いのですか?」


「そこまで多くはないよ。この街の周辺に居るモンスターは積極的に人を襲うやつはあまり居ないしね。夜になるとまた違うのだが、昼間は比較的安心していて良い」


 なるほど。昼間と夜とで出現モンスターが違うのか。RPGなどに良くあることだ。


「ただ、比較的安全だといっても、例外は居るから気を付けるにこしたことはないからね」


 ん? ちょっと気になる情報だ。


「どういう事ですか?」


「どういった周期なのか分からないが、街の外に極たまに上位種の様なモンスターが徘徊していることがある。このモンスターはかなり手ごわい。熟練するまでは発見したら逃げる事だ」


 ふむ。それはあれか? フィールドボスみたいなカテゴリーのモンスターなのだろうか。

 まぁ当然そういったモンスターもいるだろう事は容易に想像出来る。

 問題は、このゲームの根幹となるテイミングが、果たしてそのボスモンスターにも適応されるのかというところか。


 そのまま詰所でしばらく会話を続けたが、他に有用な情報は何も得られなかった。

 このままの勢いで街の外に出るのは少し考えさせられる。

 詰所で話している最中に何人かのプレイヤーと思われる人らが街の外に出ていくのが見えたが、いくら死んでも平気なゲームと言えど、すぐに出ていく様な性格にはなれないと少し自嘲気味に街の中に戻って歩を進める事にする。


 もう少し情報を。

 モンスターのテイミングに関してと、ドロップ品などの売買に関しての情報。更には、狩場自体の情報も欲しいところだ。



 街中を先ほどの噴水広場まで戻るように歩くと先ほど見たレンガ造りの家がまた数軒見えてくる。

 その中でフラスコの様なマークが書いてある看板が出ている店に入ることにした。

 きっとここは、道具屋なのだろうと辺りを付けたからだ。

 ゲーム開始直後だし、回復剤などの類の相場なども見ておきたかったからだ。この後武器屋にも行く予定だし。


「いらっしゃいませ。ライラックス道具屋にようこそ」


 店に入ると明るい声が響く。

 店内も明るい装飾品により、清潔感が伺える造りになっているようだ。

 棚には、何の薬か分からないがが瓶詰された液体の入った容器が、数種類並んでいる。


「初めまして。こちらで扱っている商品を見せてもらえますか?」


「かしこまりました。こちらが商品の一覧になっております」


 店員さんが、そう言うと一枚の木で出来たボードを取り出し見せてきた。

 なるほど。この辺はゲームらしくメニュー表の様な物を表示するのだと感心する。

 そのメニュー表はこんな感じだった。


 ポーション  100G HPが回復する

 Sポーション  200G SPが回復する

 薬草     50G  HPが微回復する。調合の素材。


 どうやらこの店では3種類しか取り扱っていないようだった。

 最初の地点である場所の道具屋などそんなものかと納得は出来る。

 まさか開始地点である街で最高級品が置いてあっても誰も買わないだろうし、むしろ買えても使う必要に迫られることが少ないだろう。

 そして販売している商品だが、各種アイテムには説明も書いてあった。

 それによると、ポーションはHP(ヒットポイント)回復。これは体力の回復だろう。一般的なゲームにあるのと同じような物だろう。ただし回復量などは記載されていない。もしかしたら一定ではないのかもしれない。

 Sポーションは、SP(スピリットポイント)が回復するらしい。このスピリットポイントとは、スキルを使用する時に消費されるポイントで、他の魔法などのあるゲームでよく使用されるMP(マジックポイント)みたいな物だと推測できる。これも回復量は分からない。

 最後の薬草は、HPが微回復するらしい。多分ポーションよりは効果が低いのだろう。値段もポーションよりも安いし、初心者が最初に使うのは薬草かもしれない。ただ、これは調合の素材になるらしい。

 普通に考えれば、ポーションなどの上位回復剤の素材だろう。実際のところは情報が無いので不確かではあるが。


 値段と商品一覧を見て店を出る。

 次に見たいのは武器、防具屋だ。やはりゲームであることだし、良い装備品を装備することは冒険を進めるうえで欠かせない。

 次の武器、防具屋まで歩く間に、先ほどの回復剤に付いて少し考えてみる。

 まず最初に、このゲームの初期所持金は、100Gである。つまりポーション1本買うと、残金が無くなる。ゲームによっては回復剤をカブ飲みしながら戦闘する物もあるが、どうやらこのゲームはそうはいかないらしい。まぁ、他にもっと安価な回復剤が存在するのかもしれないが……

 そして、少し他のゲームと違って厄介な面がこのゲームにはある。このゲーム、HPやSPが数値化されていないのである。実際には、視界の左上の方に自分の名前の下に半透明の緑のバーがあり、更にその下に黄色のバーも存在はする。それが自身のHPとSPである事は容易に想像は出来る。

 しかしだ。そこに数値は一切ないのである。これは少ない事前情報の中で明らかにされていたが、どうやらモンスターの攻撃を受けた場合の判定場所などによりダメージが変わる。そして現実に近い設定という事で数値化はさせないという事らしい。

 この話からすると、どんだけレベルを上げようとも、当たり所が悪ければ一撃死もありえる事を仄めかしているのだろう。つまり、緊張感を持って冒険しろと……確かにVRMMOの中でリアル志向としての設定としては頷けなくもないが、実際にプレイするプレイヤーからすると、何ともやりにくい。

 今までの既存のゲームで行っているダメージ計算などが、無意味になるかもしれないからだ。


 そんな事を考えながら歩いていると、剣と盾が交差する様な看板が目についた。

 目的地である武器防具屋に到着したようだった。


【修正】ゲーム内部の時間経過を変更したため、その関係の一文を削除しました。

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