第21話
「もしかして、スイーツさんと、ミノール君?」
俺の唖然とした反応に、二人も驚きを出す。
「え? ええ?」
「何で神宮寺が知ってるんだ? ってか……お前まさか……」
こんな近くに居る人とネットゲームで出会うなんて事が現実にあるのだろうか。
でも、さっきの話しを聞いた限りスイーツさんとミノール君だと思う。
というか、間違いないだろう。観刈谷の反応が、それを物語っている。
「えっと、俺もまだ上手く飲み込めてないけど……二人は、スイーツさんとミノール君で合っているよね?」
ほぼ確定しているとはいえ、とりあえずはちゃんと確認する方が良いだろう。
「ああ、今俺らがやっているゲーム内で俺はミノールって名前のキャラをやってる」
「私は、こいつに誘われてスイーツってキャラクターで。神宮寺君って、もしかして?」
俺の確認にキャラ名を明かしてくれる二人。
これは俺も自己紹介しないと。
「うん。俺は、ジンク。さっきは楽しかったよ」
俺の言葉に二人は改めて驚きの表情をした。
っと、そのすぐ後に哀川さんが凄い勢いで詰め寄ってきた! 近い近い!
「神宮寺君! 今日この後時間ある!? 私のテイミング付き合ってほしいの!」
あぁ……あの後もまだ何もテイミングしてないのか。
それは、自分の欲しかったモンスターを幼馴染に横取りされて、更にその幼馴染は、そういった付き合いを面倒くさがるもんな。
観刈谷の方を見ると、気まずそうに視線を反らされた。
もしかしたら、俺と分かれた後に更に何かあったのかもしれないな。
「俺は多分帰ってからご飯の準備やら何やらでログイン出来るの少し遅くなると思うけど、それでも平気?」
多分俺は帰宅後、すぐにはログイン出来ないだろう。理由は……あの母親が、買い物に行った程度ですぐにゲームに復帰させてくれるとは思えない。
確実にまた電源コンセントを抜かれるだろう…… 街中ならまだマシだけど、フィールドとかで戦闘中とかだとそれは困る。
「平気! むしろこっちからお願いしてるんだから時間は合わせるよ! って言うか、テイミング成功するまでは、寝ないからっ!」
いや、そこまでは付き合えないよ。気持ちは理解してあげれるけど……
とりあえず二人と、携帯番号とメアドを交換し、俺の予定が空き次第メールで連絡してテイミングに付き合う事になった。
一応は、観刈谷も一緒にログインしてくるらしい。テイミングに付き合うかどうかは微妙なところらしいが。
買い物にあまり時間をかけていると、母親の機嫌が悪くなり後のログインに支障をきたすために、二人とはそこで分かれお会計をして帰宅する。
何というか、予想外の展開過ぎて考えが上手く纏まらないな。
帰ってからきっと夕食の準備の手伝いと、ご飯にお風呂。1回シャワーを浴びているけど……きっと入れって言われるだろう。
そうすると、接続自体は夜9時は確実に過ぎるだろう。
外に遊びに行く訳じゃないから、それぐらいの時間からなら十分テイミングする時間はあるだろうと予想出来る。
一応は、俺の方もクエストが完了して一段落付いているし、特にやる事は決めていなかったからな。
森林フィールドを探索したくはあったけど。さすがに、まだレベル的には、そこまで高くないだろう二人をあそこに連れて行くのは気が引ける。
「ただいま」
ログイン後の事はログインしてからにする事にして、今は母親の機嫌を悪い方向に行かせないようにするべきだろう。
じゃないと、ログイン自体出来ない可能性もゼロではない。
「おかえり。言ったもの買ってきてくれた?」
「うん。俺夜もゲームやりたいんだけどさ、ネットゲームだから他の人もいるし強制的に終わらされるのは厳しいんだよね。だから手伝いするから許してくれないかな?」
早速、ログインの為に先手を打つことにする。いくら自分を中心に世界が回っている母親とはいえ、これで少しはマシになるだろう。なってくれる……よね?
「ゲームばっかり。試験休みだからって遊び過ぎはダメよ? まぁ仕方ない。家事の手伝いしっかりしたら良いわよ」
おお! 結構簡単に許しが出た!
しかも想像していたお手伝いが、予想通りだ。これで何とかゲームが出来そうだな。
そんな感じで夕食の準備の手伝いをし、お風呂掃除をしてお風呂に入る。ちなみにご機嫌を取るために、掃除後の一番風呂は、母親に譲った。効果は、あるかどうか微妙なところだが。
手伝いも全て終わらせ、母親に再度確認してからログインの準備をする。
そして情報サイトにアクセスしてみるが、やはりそこまでの有用な情報は載っていない様だ。
レベル自体はすぐに上がるみたいだけど、やっぱり20で他のプレイヤーも止まっているらしい。
次の街の『レットリー』到着したり、テイミングモンスターを3匹ゲットしたなんて情報もあったりした。
進んでいる人は、進んでいるな。
やっぱり焦っても仕方ないよね。とりあえずは、哀川さんのテイミングの手伝いと、もしかしたらレベル上げ。それと時間的余裕があれば、森林フィールドの探索かな。
そんな事を考えながら、観刈谷と哀川さんにログインするとメールをしベッドに横になってログインした。
ここで、一旦区切りをつけて第1章は終わりになります。
次からは、第2章。舞台は、草原から森林の開拓村に進む予定ですが、草原フィールドや始まりの街に戻らないという事ではありません。
毎日更新はこのまま継続していく予定です。
ですが、以前にあった様に出来ない時もあるかもしれませんが、そこはお許しください。
【第1章終了時のキャラクター簡易データ】
キャラ名:ジンク
種族:人族:Lv20
テイミングモンスター
ベルドッグ♀:黒緋:Lv20
コードラ♀:翡吹:Lv18
キャラ名:ミノール
種族:竜人族:Lv14
テイミングモンスター
ベルドッグ♂:フェン
キャラ名:スイーツ
種族:エルフ族:Lv13
テイミングモンスター
現在無し
何と、日刊ランキングの10位に入ってしまっておりました!
しかも累計Pvが160,000を突破! 更にユニークも12,000を突破ですし、更に更にお気に入り件数が1,000件突破……これ夢じゃないですよね……?
誤字脱字や上手く表現出来ていない部分が多々ある拙い作品ですが、皆様本当にありがとうございました!
今後も頑張って精進し、投稿、更新していきますので、応援の方よろしくお願いします!




