第16話
村の中を見回ると言っても……見回るほど、広くも無ければ目立ったものがある訳でもない。
少ししかない民家でクエストについて聞くだけかな。
一か所だけ、兵士の詰所的な建物がある。モンスターが存在する森林を開拓している村だけあって兵士の数も多いのか、最初の街よりも建物自体は大きい。だからと言って立派な建物をしている訳ではないが……この世界にはプレハブ何て便利な物はないだろうし。
村に居る人も黒緋を見ても拒否反応も何もない。
これはクエストを受けたおばちゃんから予測はしていたが、きっとテイミングされているモンスターと、そうでないモンスターをNPCは判別出来るのだろう。
「キャー! 村の中にモンスターがっ!?」とか言う、ある種テンプレ的なやり取りが無くて安心だ。
最初に訪れた民家は、何というか、普通の村民って感じのオジサンだった。
特にこれと言って特徴が無いので表現に凄く困る。
話しも1分もかからず終わった。何せ「俺は開拓村に来てまだ時間が経っていないから何も分からないよ」と言われて会話終了。
全ての村に居る人がクエストに関わっているとは思っては居なかったけど。
すぐに移動となった俺の横を付いてくる黒緋も、微妙な感じだった。何故か何となくだが、俺も黒緋の感情の機微をある程度感じる事が出来ている。
そのうちこれも考察しないとダメかもしれないな。
続いて2軒目の民家に。
さっき外れ的な村民だったから、若干淡い期待をしたのは事実。
結果は、やはり何も成果無しだった。
この民家もこれぞ村民と言う感じのこっちはオバサンだった。
いや、仕方ない。次に期待しよう! 次に……
黒緋の視線を痛く感じるのは……いや、これも考えないようにしよう……テイミングしたモンスターの機微が分かるのは、案外良し悪しだと思ったりしたのは内緒だ。
そして3軒目の民家にして、漸く当たりっぽい村民に出会えた。
と言っても、そこまで何かあったわけでもないし、クエストの性質から考えるとこのクエスト自体テイミングをする事は確定していて、良くある会話で進めるタイプのクエストではないのだろう。
そこで聞けた情報というのは「この開拓村の周辺のモンスターは草原のモンスターとはがらりと雰囲気が変わるんだ。強さも強くなっているけど、種類が違うのが一番の差異かな」と言った感じの話しだった。
草原で出会ったモンスターとは別種のモンスターが居るとみて間違いないだろう。
クエストのクリア条件が、自分に苦手なモンスターという事だった。
これは、その前に話していたことからも分かる通り種族でのマイナス補正が付いたテイミングを成功させろって意味だろうと思う。
問題は、自分の種族に対してどの種族のモンスターにマイナス補正が付くのか? という事だ。
それにだ……万が一ではあるけど、フィールドボスの様なモンスターじゃないとダメなのかもしれないと言う心配もある。
本来なら、そちらの方が可能性が高い気もするのだけど……デスペナが怖いのでチャレンジする気にはなれない。
とりあえずの情報を得たまま、最後に兵士の詰所っぽい建物に向かう。
開拓村やそこに来ている村民を護るために来ているだろう兵士は、きっとこの森林に存在するモンスターをある程度把握しているだろうと勝手な予測を立てる。
幸い、先ほど少しではあるが情報を取得出来たためか、今度は黒緋の痛い視線は感じずにすんだ。
ここでのやり取りを誤ったら、全てが無に返りまた黒緋からの痛い視線を浴びる事になるだろうとは思うのだが……
兵士の詰所に入る。
そこには……誰も居ないぞ……?
ああ……黒緋さん、そんな視線を向けないでください。これは、さすがに予想出来ません。俺が悪い訳じゃないと思います。
っと心の中で思わず敬語を使ってしまった。
どうやら先ほどの黒緋の視線は、俺の心に軽いトラウマを植え付ける事に成功していたようだ。
「黒緋、誰も居ないね……どうしようか?」
相談、というほどのものでもないが、黒緋に聞いてみると黒緋自身も困っているのか「クゥーン」と若干テンション下がり目の返事が返ってきた。
それは仕方ないよな……
実際問題、兵士の詰所に誰も居ないというのは、何かあった時まずいのではなかろうか?
実際にモンスターに襲われるのか定かではないが、それでも設定としてはこの村とそこに居る村民を護るために来ているのだろう。
それが誰も居ないとなると、考えられるパターンはそんなに多くない。
1、緊急事態が発生し、全員がその対応に追われ残っていない。
2、元々兵士自体の数が少なく、全員出動しないと任務を遂行出来ない。
3、クエストのキーアイテム的な何かを入手しないと詰所に現れない。
ぐらいか。
落ち着いて考えれば、もう少し案も浮かんでくるだろうが、今それは高望みしすぎと言うものだろう。
いつまでも詰所に居ても仕方ないので、情報を得る事は諦めてとりあえず村を出て村近くで狩りを開始しようかと思った。
実際に居るモンスターも実体験しないと対策も取れないし、草原よりもモンスターが強い、つまりはレベルが上なのだろうと、これまた想像出来た。
その件に関しては、レベルが上がるのかどうかを調べてからになるだろう。
そして街を出て森林でモンスターを捜索する俺は、極めて厄介な出来事を思い出すのだった。
何故かPVが昨日の1.5倍ほどに伸びております。
これ夢じゃないでしょうか……大丈夫でしょうか。
お盆休みに入り始め、中々時間が取れません。
もう少しまとまって時間が取れれば、少しでも書き溜めたいのですが……中々難しいですね。
まだ確定はしていないのですが、もしかしたら世間で言うお盆休みの間更新が止まるかもしれません。
その場合はお許しください。
今後もスローペースではありますが、私なりのペースで更新、投稿をしていきますので、応援の方よろしくお願いします。
【修正】もうスター→モンスター
なるだる。→なるだろう。




