第14話
お気に入りが100件を突破いたしました!
嬉しくもあり、その分しっかりせねばとの思いも……今後も頑張ります。
街に戻った俺と彼らは、今後の事を相談することにした。
現実問題として、俺はこれ以上スイーツさんのテイミングに付き合う事は出来ない事は、戻る途中に伝えた。
スイーツさんも落胆は見せるものの、俺の言う事には納得してくれたらしい。迷惑という自覚はあるらしい。
ミノール君は…………もう何とも言えない。
テイミングが成功した『ベルドッグ』は、名前を御法と名付けられた。この子も雌らしく、しかも黒緋よりも甘えたがりというか、兎にも角にもミノール君から離れないのだ。ベッタリと言っても良い。
しかもスイーツさんが気になって近づくと「フー!」と威嚇するのだ……
理由は不明だが、どうもスイーツさんとは相性が悪らしい。もしかしたら、そこら辺もテイミングの成功率と関係があるのかもしれないが。
このゲームに初めてログインしてから、ロクに機能の確認をしていなかったのだが、どうやらフレンド登録という良くネトゲにある機能がある事が判明(スイーツさんが教えてくれた)し、二人と登録することに。
スイーツさんは、やはり『ベルドッグ』のテイミングに諦めがつかないのだろう。登録の時に「時間がある時によろしくね!」と言ってきた。
ミノール君は…………何というか、憐れすぎて掛ける言葉が見つからない。登録する時も「俺は、もういいんだ」とか訳の分からない状態になっていた。
この人ゲームやめないだろうな。少し心配になっていたら、スイーツさんが寝て起きたら忘れてるからと安心な言葉を言ってくれたけど。
二人と別れ、俺と黒緋は、二人と会う前に行った街の人からのクエストを受けるために民家に足を向ける。
まだ幾人かが、民家の周りに居たが、さすがにもう落ち着いたのか並んでいる様なことは無かった。
民家の一軒に入り中に居るふくよかなおばさんに話しを聞くことにしてみた。
「こんにちは。初めまして」
「あら、こんにちは」
話しかける事には成功。だが、俺はコミュニケーション能力が低い。後が、続かない。
その先の言葉に困っていると、俺の横で尻尾を振り振りしていた黒緋を見ておばちゃんが話しかけてきた。
「可愛い子を連れているのね。この子は貴方の従者かしら?」
従者? と疑問に思わなくもなかったが、この世界の住人からすればそういうテイミングしたモンスターはそういう扱いなんだと無理やり納得することにした。
「はい。少し前に同行することになりました」
「そうなの。この子良い目をしているわ。貴方の事をとっても慕っているのね。でも、まだまだ絆は浅いかしらね」
む。そういう事を判断してくれるNPCなのか? というか、今のセリフはかなり興味深い。
もしかしたら、テイミングしたモンスターには好感度とかそういったものがあるのかもしれない。好感度があるとして、それが上がると何があるのかという疑問もあるが、これに対しては結論はすぐに出ないだろうとすぐに思考から外す。
「もっと仲良くなれると良いのですけどね。それに、今後も他の従者を仲間にする予定ですしね」
「そう。なら良い事を教えてあげるわ」
おばさんが、何やら教えてくれる事になった瞬間、視界に選択肢がある半透明のウィンドウが出てきた。
そのウィンドウは、
【Rクエスト:苦手なテイミング】が提示されました。受諾しますか? Y/N
と出ている。
苦手な、テイミング? テイミングはすでに成功しているのに、苦手なって言うのはどういう事だろうか?
しかも、クエストの文字の前にRが出ている。これは普通のクエストじゃない可能性が高い。
Rから連想されるのは、ネトゲなどで言えば『レア』だったり『レイド』だったりする。
『レア』だったら嬉しいが『レイド』であるとすると、自分一人での達成は厳しいのは確実だろう。
ただ、ここに来た目的はクエストを受ける事なので、ここは受諾を選択する事に。
半透明のウィンドウにある、Y/NのYに指を持って行ってYを押す様にする。
【Rクエスト:苦手なテイミング】を受諾しました。
無事受諾出来たようだ。
「貴方は、種族によって従者に出来る確率が違うのは知っているかしら?」
「そうなのかも? とは思いましたが、実際に知っていた訳ではありません」
やはり、と言うべきか。種族によって補正が入る仕様らしい。これはスイーツさんの件があり、想像していた事だから今更それを言われても驚きはしない。
「ええ、種族によって従者に出来る確率が変わると言われているわ。その子も貴方にとっては、苦手なタイプね。そこでね、今後の貴方の活躍の為に自分に苦手な種族の従者をもう1体連れてきなさい。連れてこれたら、良い物をあげる」
苦手……どんなモンスターが苦手というか、確率にマイナス補正がかかるか分からないけど、自分は人族なのだから何とか考えながらやるしかないかな。
それに、元々良いモンスターが居たらテイミングしようと先ほども思っていたところだったし、それがクエストの内容ならば丁度良い。
おばさんに挨拶をして民家を離れる。
相変わらず尻尾を振りながら俺の横を歩く黒緋に目を向けると、黒緋もこちらに目を向けてきた。
「黒緋は、そんなの分からないよね?」
思わず聞いてしまったが、何を馬鹿な事をと思い直す。
すると、黒緋は何故か嬉しそうに「ワンワン!」と返事をした。
ん? これは、分かっているのか?
って言うか……もうこれは、確実にこちらの言語を理解しているのだろう。
「黒緋、本当に分かるの?」
「ワンワン!」
やっぱり尻尾を全開に振り振りしながら、凄くいい返事をしてくれる。
折角テイミングして仲間になったんだし、言葉を理解しているのは確定だろうし、信じるのも良いかもしれない。
「じゃあ、黒緋よろしくね。とりあえずフィールドをまわって、まだ見ぬモンスターをとりあえず探そうか。その時に、対象となりそうなモンスターだったら教えてくれる?」
俺の言葉に更に千切れんばかりに尻尾を振りながら「ワン!」と先ほどよりも大きい返事をくれるのだった。
【追加修正】その子も貴方にとっては、苦手なタイプね。を追加しました。




