第11話
『ばぶるん』を倒しながら捜索する事、約1時間。
やっと目的である『ベルドッグ』に遭遇出来た。割りと時間は掛からなかった感じがする。俺が黒緋と出会った時はもう少し時間かかった気がする。色々試していたのもあるけど。
「やっと見つけた! 私のわんちゃん♪」
スイーツさんは、テンションが上がりまくりだ。ミノール君は、そんなにテンションが上がっている訳ではないっぽい。黒緋くれって言ってたのに。スイーツさんが欲しいって言ったからそれにつられて……考えられる。
「では早速ですが、テイミングやってみましょうか? 『ベルドッグ』自体は前にも言った通りノンアクティブなので、攻撃をしないで連続してテイミングスキルの発動が可能です」
「分かったわ! じゃあ、早速やってみるね!」
俺の説明に頷いて返した後、スイーツさんは『ベルドッグ』向き直ってスキルを発動させた。仄かな光が、スイーツさんから『ベルドッグ』に向かうのが分かるが、すぐにその光は消えた。これは……失敗だろうな。
「失敗したみたい」
やはり失敗だったか。なるほど、テイミングスキル自体は、発動するとこうなるのか。自分の時は今一良く分からなかったけどこうして客観的に見れたのは幸運だったのかもしれないな。
自分が戦っているときに、他からテイミングされるとかの自体も想定しないとダメだろうし。
「絶対テイミングしてあげるんだから!」
何か凄い形相になっていないか……? テイミングしたいのは分かるが、そこまで必死の形相を浮かべなくても……
「むぅ……成功しない」
俺の時で10回目に暗転(気絶?)するまで使って成功だったから、やっぱり成功率はそれほど高くないみたいだ。初期フィールドの最初の方のモンスターでこれって事は、案外このゲームはテイミング自体厳しい設定なのかもしれないな。
「俺の時も10回ほど使用してやっとって感じだったので、連続して使うのが良いかもしれません」
成功した時の事を教えてあげると、また深く頷いて『ベルドッグ』に向き直る。それにしても『ベルドッグ』は大人しいな。こんなやり取り間近でしてて良く逃げないな。大人しい、って言うか図太いのか?
「あ…………」 パタッ。
あーあ。倒れちゃった。テイミングスキルの光は消えたから、成功はまだしていないみたいだ。
「おい! スイーツ!?」
ミノール君が焦ってる。珍しい。
「多分ですけど、SPが尽きて視界が暗転しているんだと思います。気絶状態? みたいな感じだと」
「大丈夫なのか?」
「俺らが居るので大丈夫ですよ。それにここら辺はノンアクティブのモンスターばかりみたいですしね。一人だとさすがに不安もあるとは思いますけど」
そうなんだよな。俺よく無事だったな。一人で居るときに気絶とか……ノンアクティブばかりだから大丈夫だと言っても、他のアクティブ系のモンスターが居る場所何かでの気絶は危険すぎる。今後テイミングとか他SP使う時は注意しよう。
「う~ん……」
どうやら気が付いたようだ。時間的にはそこまで気絶状態が長く続いている訳じゃないな。
「わたし……」
「大丈夫ですか? SPの使い過ぎで暗転、気絶状態になったんだと思いますけど」
近づいて説明してあげると、スイーツさんは納得したような顔をした。そりゃゲームやってればそれぐらいの状況は想定内か。
「しばらく休んでください。テイミングは成功してませんよね?」
「うん。失敗みたい……でもまだあの子そこに居るし、チャンスは残っているって事よね?」
「はい。多分ですけど、モンスターが居る限りは何度もチャレンジ出来ると思います」
1度だけとか回数制限は、きっと無いだろう。じゃなきゃ、テイミング自体の成功率がここまで低いのはおかしいと思う。
このゲームの運営を考えると、絶対無いとは言えないのが怖いところだけど。
スイーツさんは、しばらく座ってSPを回復させてる。
その間に、何故か『ベルドッグ』と黒緋がじゃれあってる。それは、ありなのか……もしこれで俺が攻撃したら、黒緋は戦いはじめるのだろうか? 気になるな……いや、そんなひどい事しないけど。
その『ベルドッグ』と黒緋のじゃれ合いを見てスイーツさんは、和んでるし。
ミノール君は、もう飽きたのか少し離れたところで『ばぶるん』を狩り始めた。
彼は、落ち着きが無いって言うか……やはり戦闘脳なんだろうな。頭を使う事よりも体を使う事の方が得意なタイプだろう。
見た目もいかつい感じの竜人アバターだし、それも納得っちゃー納得だけど。『ばぶるん』への攻撃を見ている限り攻撃力も高そうだし、気性的にも前衛タイプなんだろうな。
そんな事を考えているとスイーツさんが「回復したわ! 再度チャレンジする!」と意気込んでテイミングを再開する事に。
仄かな光が、またスイーツさんから『ベルドッグ』へと。今度は連続してどんどん発動している。
っと。またスイーツさんが気絶した。
『ベルドッグ』へ向かっていた光が消えているから、これは失敗だろう。
やっぱり成功率は低いんだな。俺本当にラッキーだった。
そこから何度もチャレンジするも、スイーツさんは一向に成功しない。
これ、本当に成功率とかどうなっているんだ? 可笑しいだろ。俺の運が良かったとも思えないんだけど……なんでだろう。
あ!
これ、もしかして…………
俺は少し思いついたことがあり、スイーツさんにテイミングの一時中断を申し出た。
そして近くで狩りしているミノール君も呼び戻して、俺の仮説の説明を始める事にした。
御陰様で、ユニークが3,000を超えました!
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