4章:雪山の魔獣(4)
「あいつの仲間か…」
リッドは既に剣を抜き放っていた。
鋭い光が走った。
「それなら、手を抜くわけにはいかねぇなぁ……」
「そうだ。【大地の剣】を使うがいい」
スノーダイは不気味な笑みを浮かべて言う。
全身を稲妻が駆け巡った。
リッドそんな風に感じた。
「何で、それを知ってるんだ………!」
リッドは尋ねた。
「クラジュールドの戦闘データは取得済みさ」
「戦闘データ?」
「俺達の戦闘記録は、常に【管理】されている」
スノーダイは説明した。
「そういう風に【作られて】いるんだ」
「作られて……?」
リッドの顔に驚きの色が現れた。
「驚いてるな」
スノーダイはまた、ニヤッと笑い、続けた。
「俺達は【あるお方】に作られた人造魔人だ」
「あるお方ってのは?」
「それは、もちろん言えん」
スノーダイは首を横に振る。
「言ったら俺の首が危ういからな」
「ところで…」
と、リッド。
「雪崩を起こしたのはお前だな」
「ご名答」
スノーダイは挑発的な口調で言った。
「俺は【お前だけ】と戦いたかったんでな。他の連中と上手くはぐれさせようとしたのさ」
「なるほど。助かったのは偶然じゃなかった…ってわけだ」
リッドの口調が怒りを帯びてきた。
「俺の仲間は?」
「さあな」
スノーダイは意地悪く微笑した。
「お前さえ生きてりゃ俺は良いんだ。残りの奴なんか気にしてられるか」
「わかった」
リッドは冷たく言葉を放った。
「お前は殺す」
*
「――【大地の剣】!」
リッドは雪の大地に深々と剣を突き刺した。
同時に、雪の中から無数の巨大な刃が姿を現した。
「なるほど」
スノーダイはその光景を見て感心する。
「なかなか凄そうな技だな」
「凄そう…か……」
リッドもスノーダイに対抗して挑発的な笑みを浮かべた。
「じきに、そんな事も言えなくなるぜ」
刃が一斉にスノーダイに襲いかかる。
スノーダイは軽い身のこなしでそれらを次々とかわして確実にリッドとの距離を縮めていく。
「それ以上は行かせない」
リッドが言うと、スノーダイの前方に刃が密集し、通せんぼした。
「面倒な事しやがる!」
スノーダイは一旦立ち止まって、少し考え込んだ。
「さて、どうするか」
「終わりだ!」
リッドが言った時には、刃達が円を描くようにスノーダイを囲んでいた。
「おいおい、こりゃやばいな」
スノーダイは、まだ余裕の表情を見せている。