4章:雪山の魔獣(1)
◆緊急告知!◆
今まで1章を1部分で書いてきましたが、更新ペースの関係で、これからは1章をいくつかに分割して書いていこうと思います。
いきなりですが、ご了承願います。
では、本編をどうぞ。
◆◆◆◆◆◆
「クラジュールド…」
窓から見える蒼い月を眺めながら、ダレノイが呟いた。
「なかなか使える部下だったが……」
彼は窓に背を向けると、テーブルに歩み寄り、その上にある鏡を手に取った。
「【スノーダイ】…」
ダレノイは鏡に向かって話し掛けた。
すると、鏡に1人の男の顔が映し出された。
「何の用で?」
男は尋ねた。
「クラジュールドが殺られた…」
ダレノイは悔やむような声で言った。
「なんと…」
スノーダイは顔をしかめた。
「あの男が……。誰に殺られたんですか?」
「前に話した戦士達の1人、リッドという者だ」
「たった1人に!?」
スノーダイは思わず大声を出してしまった。
「静かにしろ…」
ダレノイは言った。
「マスターに気付かれたらまずい…」
「あぁ、失礼しました」
スノーダイは少し頭を下げた。
「しかし、クラジュールドで歯が立たない相手となると、かなりの実力者ですか」
「当然だ」
と、ダレノイ。
「選ばれし8人の1人だからな」
「ダレノイ様」
スノーダイが怪しげな微笑を浮かべた。
「俺が行って良いですか?戦ってみたい…」
「……まぁ、良いだろう」
ダレノイは予想通りと言わんばかりに溜め息をついた。
「くれぐれも、死なんようにな」
「もちろん」
と言い残し、スノーダイは鏡から消えた。
ダレノイは鏡をテーブルの上に戻し、窓から見える蒼い月を見上げた。
「……奴らに【花】をみすみす渡してしまえば、わしは破滅だ……」
所変わって【スカラベ山脈】。
大陸を南北に走る大山脈だ。
その山脈の山の1つ【カリメ山】の中腹の岩場に、リッド達はいた。
「【センター・ブルー(世界の中心の湖)】か…」
リッドは呟いた。
そして妖精リリアの方を見て尋ねた。
「本当にそんな湖が?」
「あっ、何よ、信じないっていうの!?」
「そういうわけじゃ…」
「確かに、地図には描いてないけど」
リリアはリッドの頭に乗った。
「誰も【行けない】だけよ。ここに【花】はあるの!」
シャルテオが開いている地図の【キリヨ島】と書かれた所の下に、【花】という彼の手書きの文字が記されていた。