表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼月の覇者  作者: 鎖賦
19/21

6章:3つの再会(3)

 

外に出た彼等を待ち受けていた光景は、想像を超えたものだった。


あらゆる建物が倒壊し、道路は所々粉砕され、見るも無惨な状況だ。


人の死体が無かったのが、彼等には救いだった。


辺りは静まりかえっていた。


人々はその場から完全に逃げ去ってしまったらしく、姿も見えなかった。


今、彼等には、瓦礫の中から現れた銀色の巨体しか見えていなかった。


雪山にてリッドを半殺しにした(本人は殺したと思い込んでいる)張本人・スノーダイは、やっと現れた『獲物』を見て嬉しそうに叫んだ。

「最近はついてるな!」


「てめぇ、何者だ?」

シャルテオが銀色の巨熊を睨んだ。


「俺はスノーダイ。やっとお前らに追い付いた」


「追い付いた……?」


「ああ、あの剣士の仲間だろ、お前ら」


それを聞いて、ヤイナが眼の色を変えた。

「リッドさんを、知ってるんですか!?」


「ん?何だ?あいつの女か?」

スノーダイは嘲りに似た声で笑った。

「まぁ、『知ってた』と言うべきだな」


「え…?」

ヤイナの表情が凍り付いた。


彼女だけではない。

他の者達の顔にも、共通して『ある言葉』がスノーダイの口から出る事を恐れている様子が窺えた。


「リッドというのか、あのヘボ剣士は…。あいつなら、今頃、冷たい雪の下さ」


その瞬間、ヤイナ達の顔から血の気が失せた。


「お前、デタラメにしてはタチが悪すぎるよ」

少年ワノンが、キッとスノーダイを睨み付けた。

「証拠はあるのかよ」


「ああ、あるさ」

スノーダイは熊とは思えない邪悪な笑みを浮かべて、大きな掌を大地に付けた。


すると、スノーダイの前に縦長の六角形の水晶板が、大地から生えるように現れた。


そこには、ある光景が映し出されていた。


緑色の髪の剣士リッドが、胸から血を噴き出し、雪原に沈むように倒れる瞬間であった。


「…嘘…」

ヤイナは眼を見開いたまま、首を横に振った。

「そんなの、嫌……」


「あまりにも、弱かった」

スノーダイが彼女に追い討ちをかけるように言った。

「こんな奴が『花』を探す戦士として選ばれたなんて、信じられんな」


「…やめて」

ヤイナは物凄い憎悪の眼差しをスノーダイに向けた。


しかし、スノーダイは続けた。

「まぁ、あんな弱い男に惚れたお前も、哀れだな……」


「やめてって、言ってるのが聞こえないの!?」


突然のヤイナの怒号に、仲間達は飛び上がりそうだった。


「貴方はもう、許さない……!」


そう言うヤイナの眼には、この上無い殺気が込められていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ