6章:3つの再会(2)
「あっ」
リリアの顔がぱっと明るくなった(もともと明るいようなものだが)。
「ストリガロ、ケレス、ジェイ!」
彼女が言ったのは、3人の妖精の名前だろう。
名前を言った時に彼女が見た妖精を考えると、黒い妖精がストリガロ、緑の妖精がケレス、紫の妖精がジェイ。
いずれも男の妖精だ。
ストリガロは確かに黒の似合う落ち着いた顔で、髪は背中まで伸ばしていた。
それと対称的に、ケレスはひょうきんそうな顔に絶えず笑みを浮かべている。
残るジェイは全体的に丸く太っているが、それがなかなか愛らしかった。
「上手く隠れたつもりだったんだがなぁ」
頭を掻きながら、ケレスが口を開いた。
「当たり前だ」
と、無表情でストリガロが彼を見やった。
「妖精には仲間を感知する力があるのを忘れたか」
「あー、そうだった!」
「本当に忘れていたのか……」
ストリガロは呆れて言った。
「だからお前はもてないんだ」
「何っ!?」
ケレスは面食らって大声を出した。
「それとこれとは別物だろう!」
「似たようなもんだ。もてる男は頭を使うんだ」
「俺が馬鹿だって言いたいのかっ!?」
「違うのか?」
「うぉぉぉ、殺す!」
と、ケレスは鬼の形相でストリガロに飛びかかろうとした。
「まぁまぁ、そこは落ち着かないと」
と、2人の間に太ったジェイが入った。
ブレーキをかけたように、ケレスは止まった。
「でもよ、ジェイ…」
「ストリガロが言った事は間違っちゃいないだろぉ?」
ジェイはゆっくり話す。
「ケレスが言われた所直せば、ストリガロも文句言わないさぁ」
「む…、確かにそうだ」
腕を組んで頷いたケレスは、ストリガロの方に顔を向けた。
「いや、悪かった。ちゃんと直すぜ」
「わかれば良いんだ」
ストリガロはなおも無表情だったが、その声には温かみがあった。
「…仲良しですね」
と、ヤイナはミリテラの耳元で囁いた。
それに対しミリテラは
「でしょ?」と答えた。
―――その時。
「うわあぁあぁあ!」
と、外から1人や2人でなく、大勢の人の叫び声が聞こえてきた。
「何だ!?」
テノースはベッドから立ち上がり、部屋のドアに向かった。
「見てこよう」
「私も!」とヤイナが後に続いたのを見て、シャルテオ、ミリテラ、ワノンと妖精6人も従った。