6章:3つの再会(1)
港町ネリャーク。
ヤイナ、シャルテオ、テノースと妖精3人はここにとどまっていた。
というのは、『花』がある島へは、ここの港から出る船でなくては行けないからである。
リッドが無事なら、きっとこの町にやって来る。
そう思ったからである。
「暇だなぁ…」
妖精リリアはシャルテオの鞄から顔を出して空を見上げていた。
2人はネリャークの南にある広場を散歩していた。
正しくは、シャルテオが散歩に行こうとした時、リリアが
「ついていく」と言って聞かないので、仕方なく見付からないように鞄に入れたのであった。
円形の広場の中央では、子供達が戯れていた。
「楽しそう…」
と、リリア。
「おい、顔引っ込めた方がいいぞ」
シャルテオが彼女を見下ろした。
「特にガキに見付かったら、都合が悪い」
「はーい」
と、リリアが鞄に引っ込もうとした時だった。
「あら、可愛らしい妖精ですことね」
と、シャルテオの背後から女性の声が。
振り返ったシャルテオは、その女性を見て驚いた。
「あっ、てめぇ!?」
「お久しぶりね」
女盗賊ミリテラは、少年剣士ワノンを連れていた。
*
シャルテオはミリテラ・ワノンを自分達が借りている宿に連れてきた。
3人部屋で、ヤイナとテノースはそれぞれのベッドに腰掛けていて、妖精イオとピシェラは彼女のベッドの上で座っていた。
「あら、お嬢ちゃん、お久しぶり」
部屋に入ったミリテラはヤイナを見るや否や、彼女に歩み寄った。
「あ、お久しぶり…」
ヤイナも予想外の再会に驚いたようであった。
「あら?」
と、ミリテラ。
「あの子は?リッドとかいう……」
次の瞬間、ヤイナの表情が曇った。
ミリテラはハッとして彼女を見た。
「まさか……」
「いや、そんな最悪の事態にはなっていない」
テノースが首を振った。
「はぐれちまったんだ」
「あら、そう」
ミリテラはホッと胸を撫で下ろした。
「お前らの旅はどんな感じだったよ?」
シャルテオがワノンに尋ねた。
「まあまあだったよ」
少年はそっけなく答えた。
「貴方達、妖精は?」
ヤイナがふと気付いて尋ねた。
「ここまで来れたなら、妖精が最低3人は…」
「あら、ホント!」
ミリテラは周りを見回した。
「いつの間にか、どこかに行ってしまったわ!」
「大丈夫だ」
と、赤い妖精ピシェラが言った。
「もう来てる」
彼が指差す先には火のついていない暖炉があった。
「ちっ、バレたか」
と、中から黒・緑・紫の妖精が登場した。