閑話 その6 リファニアの服装
この話を読み飛ばしても、本編の流れには一切関係しません。解説のような部分は不用という方は「キリオキスを越えて1」にお進み下さい。
-リファニアの農村部の住民の服装-
祐司がアヒレス村で過ごす間に見た村人の服装は、男女ともワンピース型の麻や毛糸でできた貫頭衣と大差ない服を着ている。比較的ゆったりとしており、腰のところを皮のベルトやロープのようなものでとめている。
無染色の物も多いが、何かの植物を原料としたような、くすんだ緑っぽい色や黄色味のある茶色の色の服を着ている者の方が多い。
男女の違いは、男は裾が膝ぐらいまで、女はくるぶしの上くらいに裾がある。また、女の服は下半身が多少広がっておりスカート状である。女性の中にはかなり余裕のある作りの服を着ている者もおりムームーのような印象を受ける。
冬季は男は脛を毛皮で巻いて保温する。都市や平野部の農村では毛糸の長靴下が一般的らしく、毛皮を巻いたことを示す「獣足(ケモノアシ)」という言葉は田舎者というニュアンスがあるという。
下着は男はステテコのようなゆったりしたトランクスに似たもので、ヒモでとめるようにようになっている。柔道の下衣が感覚的には近い代物である。
染色など手間のかかる作業は自家で行うのは大変なために、染色した糸や布を購入するが、農村部住民の衣服は原則的に自家で作るか都市から流れてきた古着である。
-リファニアの都市住民の服装-
普段着は農村住民でも都市住民もそれほど大きな差はない。ただ、都市部では専門職人が作った衣服を着ることが一般的なために、農村部と都市部の住民がいれば歴然と手作りと既製品の差はわかる。
農村部との大きな違いは、土にまみれてする仕事が少ないためにワンピース型の服の丈が農村部より長く、踝の中程まであるのが普通である。
女性の服装は、薄手のワンピース型上着の上に、ケープ状の外衣を羽織るのが農村部との大きな違いである。
少し生活に余裕のある者は、冬季には長短各種の毛皮のマントを羽織る。農村部では、羊や毛の長い牛を利用した物が多いが、都市部では高価な熊や貂などの野生動物を利用した物が多く見られる。
また、都市の富裕層には流行がある。ただ、デザイナーなどという職業は確立していないために色合いや衣服の文様の変化がおもな流行である。
こうした流行の服は古着として次第に下層に流れていくことから、上質の服を着ていても本来の階層が明らかになる。
-以下は本文に記載しなかった下着に関する記述です-
祐司は日本から持ってきたトランクスがすり切れてきたので、ヨスタから下着を三着購入した。
リファニアの下半身用の下着は男女とも、越中フンドシのような形態である。
ヨスタが最初に祐司に薦めた品物は、かなりゆったりしており、ひどく違和感があった。そこで、すこしゆったりした程度のものを購入しよとするとヨスタはきつくないかとかなり心配した。
どうもリファニアの人間の服装の着用時の感覚はかなり日本と異なっていると祐司は思ったが実際に着用してみると股にアカギレができそうなくらいにごわごわしていた。
これでは、ゆとりのある服を着たくなるなと、祐司は納得しつつヨスタから一番細い糸で織ったという柔らかい下着を三着購入した。
普通は下着も含めて服は自分の家で作るか、物々交換で村で調達するものらしい。ヨスタが持ち込んだ品物は専門の職人が作ったもので晴れ着用のものだった。
その分、価格は高い。祐司が購入した下着は越中フンドシのような布に紐が付いただけだが、一つで銀貨一枚に近い銅貨五十枚ほどもした。この価格も最初は進呈しようというヨスタに無理に値段を聞き出して、ヨスタに損のない卸値ということで受け取って貰った価格である。
女性の下半身用の下着は男性と同じような物を着るが冬季以外は着用しない者も多いという。
男女とも上の下着は、特に決まっていない。腰程度までの長さの胸ぐらが少し深いTシャツ状の物を季節により枚数を加減して着る。




