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千年巫女の代理人  作者: 夕暮パセリ
第五章 ドノバの太陽、中央盆地の暮れない夏
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ドノバ連合候国の曙32 舞台裏-貴女の戦い-

 ドノバ候唯一の女性嫡子ベルナルディータの私室は三部屋からなり、一つは親しい身内や知人が訪れた時に接待する客間、ベルナルディータの寝室、ここは本人と着替えを手伝う小間使い以外は入れない。

 そして、三部屋目はベルナルディータが読書をしたり、手紙を書いたりする居間である。ここも、原則的に本人と侍女、小間使い以外は入れないのだが、この日ベルナルディータ以外に、もう一人の人から姫と呼ばれる女性がいた。


 ベルナルディータの私室に招かれた、僭称ドノバ候パウティスの一人娘リューディナが一寸心配げに聞いた。


「ベルナルディータ様、父は単純なところがありますが、先程の話は信じたでしょうか」


「心底ね。リューディナさん、名演技でしたわ。でも、本当にモンデラーネ公が兄上を殺害した可能性も否定できません」


 ベルナルディータは、そう言うとリューディナに椅子をすすめながら自分も座った。


「わたしもそう考えたからこそ、ベルナルディータ様のお話に乗りました。モンデラーネ公は人を道具のようにしか見ない方ですから」


「それなら、父上やわたしも同じでは」


 ベルナルディータは笑いながら言った。


 ベルナルディータとリューディナは貴族の娘としての容姿は十人並みよりは、すこし上程度である。しかし、二人は声は素晴らしく美しく第三者がこの部屋にいれば聞き入ったことだろう。


「いえ、違います。ドノバ候やベルナルディータ様は人を操っても人として操ります。その人の気持ちも考えます。そこが違います」


 リューディナは、真剣な顔で否定した。


「あなたに会えてよかった。手紙のやり取りを始めて二年、素敵な方だろうと思っていましたが、それ以上です。

 それから、ベルナルディータ様は堅苦しいので、ベルディと呼んでください」


「ベルディ、わたしもあなたのことは想像以上の方でしたわ。わたしのことはリューディと呼んでください」


 この二人の会話の裏には、以下のような事情があった。


 密かに、ドノバ候の手の者によって監視されていた僭称ドノバ候パウティスに、自分と同年配の娘がいると聞いたベルナルディータは、その娘のことが何故か気になった。

 そして、その娘を通じて僭称ドノバ候パウティスが、どのような人物かを知りたいという好奇心から手紙を出すことにした。


 最初のベルナルディータが出した手紙は、単純に自分を紹介した内容と、リューディナのことを知りたいということをしたためたものであった。もちろん、郵便制度などないリファニアであるから商人に託してのことである。


 手紙を受け取ったリューディナは最初、驚き、そして、疑念を持った。ドノバ候の策謀ではないかと疑ったのだ。そして、最終的には、これを奇貨としてドノバ候の情報が得られるのではないかと考えた。


 そこで、リューディナは辺りさわりのない内容をしたため、手紙を持ってきた商人に返事を託した。


 リューディナの返事を受け取ったベルナルディータは、慇懃に書かれた内容も相手が疑っていることを行間から読み取り、さらに、こちらの情報をさりげなく聞き出そうという仕掛けになっていることに気が付いた。


 ベルナルディータは、今度は策を労した手紙を書いた。そして、二年あまりの間に、十数通の手紙がやり取りされた。


 この手紙のやり取りは、互いに相手から情報を得よう策を尽くしたものだった。そして、お互いに相手の才に感服した。


 この状況が大きく変化したのは、モンデラーネ公がドノバへの出陣を画策しだしたことと、リューディナの兄であるトハルトが横死した事件が起こってからである。

 リューディナは、それまでの持って回した言い方を止めて、率直に自分の気持ちやモンデラーネ公の情報を書き送ってきた。


 それに対して、ベルナルディータも自分の持っている、当たり障りのない情報をできるだけリューディナに送り、最後の手紙にはシスネロスで会いましょうと書き送った。


「あなたがわたしを信頼してくださったので、ファブリスも一か八かの賭けに出なくてほっとしているでしょう」


 ベルナルディータが言った意味は、ドノバ公側の間者であるリューディナの小間使いベナデッタの言を信用して、荒事も起こさず、危ない橋も渡ることなくリューディナがシスネロスへの脱出を了解してれたことをさす。


 もし、リューディナが脱出を拒んだり、二の足を踏めば僭称ドノバ候の近侍長に成りすましていたファブリスが力ずくで拉致してくる計画もあったのだ。

 その場合は、モンデラーネ公軍がシスネロスへ発した軍の中に、ファブリスという貴重な間者を忍び込ませることは叶わなくなっていた筈である。


「モンデラーネ公の諜報を担っていたシュテインリット男爵が死んだと聞いております」


 リューディナの言葉にベルナルディータは本題に入ったことを悟った。二人の貴女による知力の力試しである。


「本当に世の中はわからないものです。策など何もない猪突猛進のガカリナ子爵による蜂の一差しで、権謀に優れたシュテインリット男爵が死ぬのですからね。

 きっと、各地のモンデラーネ公の間者は、傀儡くぐつ師であるシュテインリット男爵を失って混乱しているでしょう」


 ベルナルディータは様子を探るようにゆっくりしゃべった。


「時に殿方の無鉄砲な荒事で何もかも覆されることもあります。ただ、それは、十のうち一か二のことですわ。わたしたちは、十の内の八か九を信じましょう」


 リューディナも愛読書の感想を言うような感じで言った。


「わたしは嫁ぐのに何も持参金として持っておりません。その代わりの品です」


 そう言ったリューディナは数枚の樹皮紙を、ベルナルディータに差し出した。


 樹皮紙には、裏表とも細かな字がぎっしりと書き込まれていた。その字を読んでいるベルナルディータの目が真剣さを増した。


 樹皮紙には、モンデラーネ公支配下の地域に関して郡単位で人口、栽培される作物、年貢から推計される収穫量、家畜数、動員数が事細かに書かれていた。

 そして、マリッサを筆頭にしてモンデラーネ公配下の巫術師の名、その巫術師が主に使う術と巫術師としてのランクも書かれてあった。


「何故、わたしに?」


「ベルディなら、その価値をわかっていただけるでしょう。ただ、巫術師の多くは”バナジューニの野”で討ち取られたそうですから、あまり参考にはなりませんけど」


 リューディナは少し残念そうに言った。


「いいえ、残っている巫術師がわかるだけでも助かります。きっと、手薄になっている術ができる巫術師は飛びついて召し抱えるでしょう」


 ベルナルディータは、そう言うと微笑んだ。リューディナも残念そうな表情が消えて微笑みながら言った。


「巫術師にも間者がいるかもしれませんね」


「どうして、このようなものを?」


 ベルナルディータは友達が身につけているアクセサリーをどこの店で買った聞くような感じで言った。


「わたしのような器量の悪い娘にも興味を持ってくださる殿方が何人かおりますの。父がドノバ候にでも化ければ一攫千金と考えていたのでございましょうね。

 その中に、宮廷図書室の図書頭補佐がおりました。まだ二十そこそこの士爵の次男でございました。希少な本を読みたいというわたしの気を引こうとして、何回か宮廷図書室に忍び込ませてくださいました。

 ただ、人に見つかってはいけないということで、機密書類などが保管してる司書倉庫にわたしを押し込みましたの」


 ベルナルディータはリューディナの説明に、呆れたように言った。


「リューディ、最初から司書倉庫がお目当てだったのね。どう言いくるめたの」


「男は何も見えてはおりません。わたしが万が一、ドノバ候の令嬢になれば、士爵の次男など相手にはしません。

 また、今のままのわたしは平民同然の何も持っていないただの娘でです。いくら次男でも士爵様のご両親からすれば相応しい娘ではございません」


 リューディナは事も無げに言うと、さらにベルナルディータが頼み込んでも欲しがる物について話した。


「この書類はわたしがモンデラーネ公のもとから持ち出したものの一部です。半隊長以上の者の名と身分、モンデラーネ公が金を借りている商人とその金額、武器を調達する商人なども書いた書類も後でお渡しします」


「どうしてそんな情報までも」


「先程、申しましたように何人かの殿御がわたしに興味を持ってくださいましたから。何も知らない小娘には、猫にしゃべりかけると同様に少々のことを言っても大丈夫だと思っていたのでございましょう」


 リューディナの言うように、性に放縦なリファニアでも根本的には男尊女卑の風潮はある。特に深窓の令嬢である貴族の娘は見た目だけと思っている男が大半である。


「危ない目には遭いませんでしたか」


 ベルナルディータは心底、友を心配するように聞いた。


「わたしは臆病で、怖がりでございます。怖いことならしません。それより、わたしが持っていても何の役にもたてられない情報でございます」


「十人の優秀な間者が数年がかりでも得られないような情報です。このことをあなたのお爺様やファブリスの上司が知ったら大層がっかりするでしょうね」


 ベルナルディータはそう言うとリューディナの右手を両手で握った。リューディナは左手をベルナルディータの手にあてて言った。


「情報はどんどん古くなります」


 リューディナの言葉に、ベルナルディータは軽く首を左右に振った。


「確かにあなたの言うように、情報は古くなります。でも、これだけわかれば、どこを調べればいいのか。何が変わったのかを判断できます。でも、やはり新鮮であることに越したことはありません」


 ベルナルディータは私室のドアを開けると、前室で控えていた侍女を呼んだ。しばらくすると、ドノバ候近衛隊の制服を着た男が部屋に入ってきた。


 ベルナルディータはその男にリューディナの樹皮紙を渡して種々の指示を出した。男は「御意」と言うとあわてて部屋を出て行った。


「いくつか写しを作るように言いました。明日には真偽が…」


 ベルナルディータは重要な情報を完全に自家の物にした油断からつい口が滑った。ベルナルディータにすれば滅多にないことである。それだけに、ベルナルディータは動揺した。


「いいのです。ドノバ候側が得ている情報とつき合わせて真偽をお確かめください。そうせずに、鵜呑みにするのはとんでもないお人好しでございます」


 リューディナは笑いながら言った。完全に主導権を握られた格好のベルナルディータは話をかえた。


「兄のエーリーは上に立つ者としては、あまりに純真なところがあます。あなたがしっかりと見ていて下さい」


 ベルナルディータは実は多少ブラコンの気があり、特に温和な長兄エーリーには密かに尊敬の念を抱いていた。

 その妻になるというリューディナには、多少複雑な気持ちが心の奥にあった。ところが、僅かな時間でリューディナはすっかりベルナルディータを自分の味方に取り込んでいた。


「素敵な兄上でございます。あの方となら普通の夫婦として、普通の幸せを持てると思います」


 リューディナは、真に嬉しそうな声で言った。


「でも、不思議ね。しばらくすると、貴方がわたしの兄嫁になるのね。でも、シスネロス総督は形式的な役職です。その妻となるとお飾りです。リューディは退屈しませんか」


 ベルナルディータもすっかり打ち解けた口調で言った。


「いいえ、わたしの希望は普通の結婚をして子を生み慈しんで育てることです。人並みに生きることです。

 その望みを邪魔する者はモンデラーネ公であっても、そして、どのような手段を使ってでも排除します。これからは、わたしのついの棲家になります婚家が安寧でいられますように婚家とわたし自身のために全力を尽くします」


 リューディナの言うことには、ベルナルディータはまったく嘘が感じられなかった。


「それから、ベルディ、ガレオスとベナデッタがシスネロスに戻りましたら、引き続きわたしに仕えて欲しいのです。

 あのような有能な者達を手元に置きとうございます。ドノバ候へお口聞きお願いいたします」


「良いものには目がございませんね。かならずお心に沿うように父上に頼んでみます」


 リューディナはベルナルディータに対して、人を何か道具のように都合して欲しいと言い、ベルナルディータもごく当たり前に返事をした。この辺りが、ベルナルディータとリューディナが貴族である左証でもある。


「身一つでモンデラーネ公の元から出てまいりました。質素な暮らしながら、幼少の頃より集めました書籍、自分で写本したものもあります。そして、母の形見を含むホンのつまらないガラス細工はもう見ることもかないません」


「ドノバ候は幾多の貴族を含む捕虜を得ております。捕虜送還交渉でそれを取り返しましょう。

 いや、あなたのご厚情に報いるにはまったく足りませんが、身を臥しても父と貴女のお父さまに頼んでみます」


 ベルナルディータはそう言いながら、リューディナがドノバ候家の中で誰を押さえれば自分の要求が通るかを見通していることに気が付いていた。


「それから、わたしはエーリー様の妻、すなわちシスネロス総督夫人になっても退屈しないと思います」


 リューディナの言葉にベルナルディータは、嫌な予感がした。そして、続けてリューディナがいったことに、ベルナルディータは絶句した。


「エーリー様は、いずれドノバ候から諜報のお仕事を任されるのでございましょう。最初から疑ってかかるような人物では諜報の仕事はできません。

 エーリー様のように純真で、最初は人を信じてみる方、そして賢い方こそ嘘を見抜けるものでございます。エーリー様に多少のお手伝いや助言は出来ると思います」


「さすがですね。そこまで見抜かれておりましたか」


 できるだけ冷静を装ってベルナルディータは言ったが、エーリーが諜報担当であることはドノバ候家の一握りの人間しか知らないことだった。

 ベルナルディータは手紙のやり取りのように、十分こちらも考える時間があるのもならばともかく、面と向かってはリューディナにかなわないことを悟った。


「ベルディ、貴方はドノバ第一の貴公子アンドレリア子爵様との婚姻がお決まりだそうですね」


 リューディナは、微笑みながらさらにベルナルディータに追い打ちをかけてきた。ベルナルディータは、ようやく平静を取り戻しかけた心を再び揺らされた。


「どこでその話を」


 ベルナルディータは、驚いた声を上げた。そして、懸命に冷静な声を装って言った。


「あなたは、名うての間者でしたわね。ただ、その話を誰から仕入れたか後で教えてください。決して、その者を処罰などいたしません。ただ、防諜の知識を得たいだけです」


「誰という言う訳ではありません。しいて言うならば、わたしと話した方全てのお話から判断しました。

 ですから、その中のベルディとアンドレリア子爵様との婚姻を知っていた方に、ご注意をされればよろしいでしょう」


 ベルナルディータは心の中で白旗を揚げた。もともとは、手紙のやり取りからリューディナが好敵手であると感じていたベルナルディータは自分の部屋というホームで有利にリューディナとのやり取りを進めるつもりだった。

 ところが、リューディナは気後れするどころか、一旦、主導権を握るとベルナルディータを組み伏せてしまったのだ。


 ベルナルディータは、悔しさとともに快い敗北感を感じていた。子供の頃、長兄のエーリーに言い込められた時に、兄にかまってもらったという満足感に包まれた敗北感と同種のものだった。


「そのような才をどこで養われたのですか」


 ベルナルディータは包み隠すことなく自分の知りたいことを聞いた。


「はい、父は流浪の身、じっと庇護してくれる方の言うことや様子を見ていなければ生きていけません。母の実家で暮らしている時も、父は歓迎されていたわけではありませんからおのづとわたしにもそのような癖がついたのでございます」


「ご苦労なさってきたのですね。それに引き替えわたしなど苦労知らずの口ばかりの女ですわ」


 リューディナに言葉にベルナルディータは、生きていくために才能を開花させた人間の強さを感じた。


「ベルディ、生まれでございますよ。あなたは、自分に与えられた道を真っ直ぐ進めばよろしいのです。あなたのような華のある方が、アンドレリア子爵様とご一緒にいるだけで大いに士気があがります」


 ベルナルディータはリューディナの言葉にお為ごかしような感じがないことはわかった。

ベルナルディータは生まれて初めて自分と対等な立場の友人を得ようとしていた。

「できるだけ、控えめにするつもりです。もし、わたしに出過ぎた様子がありましたらリューディ、お願いですからご意見くださいね」


「はい、たまわりました。しかし、ドノバ第一の貴公子アンドレリア子爵様とドノバ第一の姫ベルナルディータ様。ドノバの太陽でございます。アンドレリア子爵様は当然ドノバ候の重要な役職に就くのでございますね」


 ベルナルディータはリューディナの言ったことに驚嘆した。そして、リューディナの情報を得る才能に信服した。


「ひっかかりませんわよ。アンドレリア子爵にどのような役職が用意されているか聞き出すつもりですね」

 

 ベルナルディータは、すっかり心をさらけ出して感情的な表現をした。


「それで、大体の推測がつきました。領主の長といった役職でございましょう。それも軍事的な長でございますね」


 リューディナの言ったことは概ね的を射た答えである。ドノバ候と家宰バゾナ・チェレスの計画では、来年、ドノバ州領主軍を一元的に指揮する領主連合軍が設けられる。


 その領主連合軍の最高指揮官には爵位と年齢から、ドノバ州領主の長老格であるイラリオ伯爵ラディスラが任命される予定であるが、実質的な戦時の指揮権は、名目上では野戦指揮官を予定されているアンドレリア子爵が握ることになっていた。


 このことは、ベルナルディータさえ最近知ったドノバ候家の最高機密だった。


「巫術ですか」


 ベルナルディータは、貴族と巫術師という絶対に相容れない存在を混同するほど動揺していた。


「いいえ、わけは後で教え致します。推論でございます」


 リューディナは少しだけ首を振った。そして、心から嬉しそうにベルナルディータに言った。


「わたしの夫になるエーリー様は、表向きはシスネロス総督、裏の顔はドノバ候の間諜を束ねる中枢、わたしはぞくぞくいたします。

 その裏の顔を持ったエーリー様に嫁ぐのでございます。せいぜいわたしも表向きは目立たぬ地味な奥方となります。裏の顔はエーリー様にしか見せません。

 ベルディは是非、ドノバの表の顔としてアンドレリア子爵様と人目を引いてくださいませ」


「ずるいわ。わたしだって裏の顔をやってみたいのよ。だって、絶対にその方が面白いじゃないの」


 自分の陰で、好き勝手をするとリューディナに言われたように感じたベルナルディータは、心に再び闘争心が燃え上がった。


「おあきらめください。生まれでございます。裏の顔は僭称ドノバ候パウティスの娘が適役にございますよ」


 二人の話している内容はドノバ州やその周辺を、あるいはリファニアの将来まで左右する。しかし、二人の少女は満十七歳であり、日本で言えば高校二年生なのである。その二人の話の内容はともかく話しぶりは、最後には日本の高校生と変わらなくなってきた。


 ドノバ候ホノビマ家は、ベルナルディータ以上に身内に平凡な願いを持った非凡な女性を抱え込むことになる。

 その才をベルナルディータ以外で、最初に気が付いたのはもちろん、人の才を見抜くことに長けた夫のエーリーである。


 そして、リファニアは、リューディナ自身が覚悟していたように非凡な才を持った人間が静かに、そして人並みの幸せだけを願って暮らせる時代ではなかった。




挿絵(By みてみん)


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