竜とは?
竜は世界中に何箇所か点在する竜達の根城を生息地としている。
ほとんどが山地や渓谷や荒野などにあり、人間が思わず立ち入るような場所ではない。
人間の国土内にあるが侵略も侵入も許されない。何者も正当な理由なく竜を殺してはいけないし、危害を加えてはならない。
逆にそれさえ、守れば竜もまた人間に危害を加えない。
ただし人間に危害を加えないのはドラゴンキャッスルの外のことであり、キャッスル内に侵入した人間には攻撃する。
ランクが高ければ高いほど、奥深くに生息している傾向が強く、これはドラゴン内で強くてランクの高いドラゴン達が弱いドラゴンを押し退けて快適な場所を確保するからではないかとされるが真実は今も分かってない。
キャッスル内に入ると、全て自己責任になる。
つまり、竜に殺されようが喰われようが神殿側は一切干渉しない。
これは、キャッスル内に入った地点で試練が始まっているからだ。
生きて竜の居る場所に到達し、竜に認められると契約になる。
ただし、これで終わりではない。
その後、神殿に戻り竜と竜使い候補に最終確認を行い、神託を受けて完了となる。
これを以って竜使いと認められるのだ。公式に竜使いと名乗れるのである。
分かりやすく言うと、
現地での契約が仮契約で、神殿での契約が本契約といったところか?
・・・竜二はそう解釈した。
ここまでで書記官は、昼休みを指示した。
竜使いや竜についての講義は丸1日かかる。
竜二は、神殿内で一時の休息をとる。
竜二が休息をとっていた、その頃・・・・
ここは兵士詰め所奥の会議室。
二人の男が向かいあって、座っている。
「・・・・・まさか、あなた様とお会いすることができるとは・・・・支殿の兵士長になって良かったと今日ほど思ったことはありません。」
兵士長の眼は尊敬の眼差しそのものである。
実際、嫌味ではなく兵士長は心の底から相手を褒め称えていた。
「・・・・・・・・・・」
「お連れの馬達は責任もって世話をします。ご安心を。」
「・・・ありがとうございます。」
「ジキスムント殿、今は二人しかいません。私なんぞに敬語は不要です。」
そうここにいる二人の男とはジキスムントと兵士長であった。
「今は身分が身分なので・・・・」
「主人及びその親族以外には敬語を使う義務はないはずでしょう?」
「・・・・わかった。お言葉に甘えよう。」
「奴隷の調達屋に捕まってしまったというのは本当だったのですね?」
「ああ、情けないことにな。私に慢心があったのかもしれん。」
「奴隷として売られていると知っていたなら、このような事にはさせませんでした。この支殿の担当区域内で気づかなかったのは私の落ち度です。兵士長として投げやりな業務に終始した私こそ慢心の塊です。」
「気づかんでも仕方ない。最近は奴隷商人の組合は力をつけてきている。機密保持は絶対だ。今のマスターが私を買ったとき、顔には出さなかったが、私を買い付けした商人は諸手を上げて喜んだだろうよ。」
奴隷商人が組合を作っているのは、表向きは他の奴隷商人同士の横の繋がりを強化し、結束力を高め、扱う商品(奴隷)の品質を維持しようというのが目的だが、裏では強固な結束力を盾に秘密主義が貫かれ、詳細がイマイチ役人や官僚に届いていないというのが現状であった。納税額も大半の商人が粉飾しているのではないか?という噂があるほどである・・・・
兵士長が、奴隷としてジキスムントが売られていた事を気づかなかったとしても不思議はなかった。
「マスターとは、あの青年ですか?彼は主人としてはどうなのです?何だったら私のほうで彼を説得してジキスムント殿を買い戻しますが。」
「いや問題ない。今のマスターは頭が低くてな。私が恐縮するほどに。」
「ですが、あなたは奴隷なんぞをしているような方ではないはずです。一刻も早く自由を手にし、祖国へお戻りになられたほうが・・・」
兵士長は、ジキスムントに何が何でも早く自由をつかんでほしいようだ。
「それはありがたいが、今のマスターに可能性を見つけてしまってな。少なくともマスターが竜使いになるまで御側にいたいと思えてきたのさ。」
「可能性・・・・ですか?」
「それも・・・かなりのな。」
休息時間が終わり、午後の講義に入る。
ここからは竜についての講義だ。
竜には地竜タイプと飛竜タイプがある。
地竜には2足歩行する竜と4足歩行する竜に分かれる。飛竜は特殊な竜を除き、基本的には4足歩行のみだ。
一般的に地竜は種類は少ないが生息数は多め、飛竜は種類は多いが生息数が少なめな傾向がある。
竜は、重量・大きさ・強さ・性格・知能・スキル・危険性(凶暴性)・発見できる確率・契約しやすさなど何項目にも渡ってトータルで判断し、ランク分けされる。
このランク基準は、本殿の閣議によって決めているという。
FランクからAAAランクまで存在するが、人間と契約を結べるのはAランクまでなので事実上FからAランクまでとなる。
「この支殿に来る前にも何回か竜を見ませんでしたか?」
「ええ、神殿の近くに来れば来るほどよく見かけました。」
実はここにくる途中、空に竜が飛翔しているところや地を駆けているところを何回も見ていた。
ジキスムントに聞いたとき、神殿直属の竜騎士達だと教えてくれた。
ジキスムントは実に物知りで、午前中の講義の内容の半分は、すでにジキスムントから聞いていたのである。その結果、何度も睡魔に襲われたが・・・
「契約を結ばれる竜は実に様々です。人によっては全く竜とそりが合わない人もいますし、合っていたとしても下位の竜としか相性が良い竜がいない場合もあります。実際はそういう人が大半です。その判断も兼ねて審査の過程で相性診断をするのですが、それは省かれたようですしね・・・」
書記官は最初、神官長の認可書を見せても信じてくれなかった。兵士長の口添えでようやく納得してくれた。
「や、やだなあ。そんなジト目で見ないでくださいよ。別に小癪な真似はしてませんってば。」
「そうではないのです。ただ相性診断もしてない以上、どのランクの竜と相性が良いか分かりません。ドラゴンキャッスル内で長期滞在が予想されます。くれぐれも気をつけて。」
通常、ランク相性診断により、相性の良いランクの竜のいるエリアに向かうのが普通である。
アンゴラボールで診断された職業は、その職業にどれだけ向いているか診断するだけであり、竜騎士に凄く向いていても実際の竜神殿の審査では相性が良いのは下位のランクの竜となる事もある。
竜二の場合、その審査が省かれたため事実上全エリアの竜と対面し、相性を見なければならないことになる。書記官が心配するのも当然といえた。
竜神殿も諸国も竜騎士は欲しいのである。
「・・・了解です。」
「では、次の講義です。」
ぎこちない返事を返しつつ、再び講義に戻る。
午後からは、竜について深く教えていくという。
竜はFランク~Aランクまであるが、
Fランクは地竜のランニングドラゴンとグランドドラゴンのみで、
Eランクは、アースドラゴンという飛竜のみである。
この3種類のドラゴンと契約する竜使いは全体の6割にも達する。
最も基本的なドラゴンであり、生息数も多い上、繁殖力が強い。
Dランクから種族が増えて来て、最も種族が多いのはBランク。
傾向的に下位のドラゴンは種類が少ないが生息数が多く、上位のドラゴンは種類が多いが生息数が少ない。そして上位ほど扱いにくくなる。
ただし、それはBランクまでのこと。
Aランクは正統系では2種類。
キングドラゴンとクイーンドラゴンである。
「正統系以外にもAランクのドラゴンはいるという事ですか?」
「・・・ええ。特殊系が存在します。・・・Bランクにも存在します。」
「・・・・・・・詳細は聞かない方が良いってヤツですか?」
急に小声になったので、聞いて欲しくないのかな?と思い始めた。
竜二も良い年齢だけあって、場の空気は読める。正直、新入社員の頃は何度も取引先との交渉に失敗していた。
「鋭いですね。そうです、神殿側の都合です。詳細は直に特殊系のドラゴンと契約出来た者にしか話しません。」
「そうでしたか。」
「では、次にいきます。」
その後の講義で重要なのは、Cランク以上のドラゴンは知能が高く、契約すると人語を話せるということぐらいか。
講義が無事済み、ようやく終了した。
明日、契約のためにキャッスルへの入場許可証と契約を結ぶときに使う刻印を持って、いよいよ出発だ。
ジキスムントが竜二をキャッスル内のどこのエリアに連れていくか、
既に決めていることを竜二は知る由もない。
前話に戻りますが、意外にミリ飯は美味です(^.^)
お湯があれば完成します。
ネットで簡単に買える上、インスタントラーメンより
満腹感が得られ、携帯性にすぐれてます。
欠点は値が張るところ。
メーカーにもよりますが賞味期限が長いので
乾パンより非常食として優秀だと思います。
特に釣り愛好家の方はいかがでしょう?