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ドラゴンライダー立身伝~銀翼の死神~  作者: 水無瀬 凜治
遊撃隊長昇任後
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連合国騎士

一週間後、ついに竜二率いる遊撃隊にもタカツキ遠征への出兵命令がきた。飛竜騎士団は遅れて出立しても戦場到着には間に合うため、伝達を遅らせることがある。今回も正規軍が出立して暫く経ってから遊撃隊にも出兵命令が来たのであった。


その出兵先の帝国軍の陣営にて


「はい出来た〜!さあ着てみて!」


竜二は強化した鎧を手渡した。ハルドルは早速着込んでみた。


「うむ完璧ですな。申し分ありませんよ。」


「だろ!?だろ!」


竜二は満足そうに鼻高々と威張っている。普段でも戦闘面で役に立たず、非戦闘面でも使う機会の少ない強化の魔法だけに、いざ認められると気分が良いものであった。


「こうやって見ると強化の魔法も便利ですね。」


「なあに要は使いようだって。」


竜二が行っているのは隊員達の鎧の強化である。将軍位を賜っている者とその部下はシンボルカラーである紺色にして帝国の国章を体の前面のどこかに付ければ、あとは防具の選択は自由であった。

極端な場合、紺色であればボロい麻服でもいいのである。


これを聞いた竜二は早速自隊の鎧の選定に着手、彼の意向により遊撃隊は極力軽量化が図られた。


それこそがクロスアーマーである。有史以前から有ったとされ、人類史上屈指の歴史を誇るこの鎧は文字通り布の鎧である。最近では衝撃を和らげるため、布と布の間に綿を入れてキルティングするのが主流となっており、綿の厚さによっては防寒着にもなる。

低コストで生産可能で、しかも打撃に強いという特徴があった。

当然このクロスアーマーだけでは防御力に不安があるため、帝国軍では全身鎧の下に着用するのが一般的である。


筋力に劣る竜二はこの軽いクロスアーマーを強化したらどうかと発案した。

ミリタリー知識を生かして防弾チョッキを参考にしたのだが、強化したクロスアーマーをいろいろ検証した結果、刺突にこそ威力次第で突き抜けたが、斬撃にも打撃にも強く、更には耐火性にも優れながら軽量という夢のような鎧が出来上がった。

襟元はVネック型になっていたため、曝け出された首元が弱点だったが、竜二自らが近くの手芸屋に足を運んでハイネック型に仕立ててもらい、更にキルティングしたフードも取り付け、これを兜の代用にした。いわゆるパーカー型クロスアーマーである。帝国では腕には金属で出来た籠手(ガンドレット)が主流だが、竜二は狩人が使うレザーの手袋を厚手にして強化し、風を通さない防寒手袋兼、籠手にしてしまった。

履いているブーツも強化したことで、これにより顔面以外は全て【強化された何か】で覆われているという軽装だけど強力な全身鎧が完成した。


非力にして且つ素人の竜二だからこそ思いつくような装備といえた。

あとはハルドル、リサ両名から気に入ってもらえるかどうかだったが、幸い二人には好評であった。

以上の理由により、この帝国正規軍の重装全身鎧とはかけ離れた軽装に軽装を重ねつつ魔法によって強化された防具一式を竜二は遊撃隊の正式な軍服に採用したのである。





『だって本隊じゃなくて遊撃隊だもの……』


と竜二は心の中でひっそりと突っ込んだ。





こうして竜二が次々と防具を強化している横でリサとビボラは首をかしげていた。

竜二をはじめ、ハワードやハルドルは強化の魔法を物質や非生命体に効く付与魔法だと思い込んでいるみたいだが、本来は生命体にこそ効果がある支援魔法である。魔道学校で魔法に関する知識が豊富な彼女達だからこそ分かる事だが、何故このような限定的な効果しか得られないのかは彼女達でも不明であった。

強化によく似た別の魔法かとも思ったが、強化の魔法は生命体に放つと持続時間が長いが恒久的ではない。だが非生命体なら恒久的に効果が続く。これは共通しているため強化の魔法でほぼ間違いないだろう。

しかし、それゆえに尚更二人をやきもきさせていたのである。

魔法の知識人特有のプライドとでも言うべきか。特にビボラは気になって仕方が無かった。


ちなみに今回は他国との戦いの為、全ての業務を放棄し、ハワードもビボラも遊撃隊に随伴している。本来は補佐官といえども戦争時は、所属する隊に随伴するのが普通なのだが国内における戦争の場合、帝国の法律には従士の強制随伴という記述が無い。

そのため、先の内乱は兼任の仕事の上司がハワードに出兵許可を出さなかった。理由はハワードの憶測が有力だが、結局分からず仕舞いである。


「はぁ~」


一通り強化が終わると竜二は脱力して座ってしまった。


「どうなさったのです?」


「いやー強化し終わった途端、どっと現実に戻された感じでさ。」


『ふーん、なるほど』


ビボラは素早く察した。強化なぞ帝都で出兵前にやればいいものを何故わざわざ防具の強化を陣営に到着してからやったのか。

おそらく気が紛れるからだろう。実戦経験は一回だけと来れば、まだまだ不安の方が強い。周囲の期待による精神的重圧や、上位ランクの騎士特有の責任感を少しでも和らげたいのだろう。


だがこの程度でへこたれていては後が続かないのも事実だった。隊長の任に就いている以上、ここは乗り越えてもらうしかない。

全くの無視も薄情だったので、一つくらい気休めでも言ってやるかと思った直後、竜二の口からビボラにとって衝撃の言葉が飛び出した。


「帝国に来てオーロさんと会った時までは順調だったのになあ……帝国での生活が大きく変動したのは舞踏会でエリーナ隊長と会った辺りからかなあ。」



!!!!!?



「エリーナ!!?ひょっとしてエリーナ・ブロノワですか!?」


「そうだよ。知り合いかい?」


「……顔見知りではあります。お聞きしますがエリーナ・ブロノワとはどういう関係ですか?」


「別に喋ってもいいけど、君と彼女は立場上接点がないんじゃ………」


「……おっしゃってください。」



ゾクッ!!



体にゾクッと体に悪寒が走った。


凄まじい殺気だ。これほどの殺気を向けられた事は、竜二は初めてだった。先の内乱でのジンガからもこれほどの殺気は感じられなかった。全身がまるで熊と対峙したかのように恐怖で竦んでいた。どれほど鍛えたらこれほどの殺気を放てるのだろう。

ビボラからは憎悪や嫌悪を元に悪意と怒気に満ちたような気迫が伝わる一方で、眼は氷のように冷たく、表情は人形のように感情がこもっていない。

断ろうものなら顔色一つ変えることなく、平然と殺されそうな勢いだった。


「え、えーっと話す!話すよ!だからその眼はやめてくれ!」


「くれぐれも嘘をおつきになりませんようお願いします。」


「わ、分かった……彼女の事を話すにはさ。そもそもエバンス総将から上官を選ぶという顛末から話さないといけないのだけど………」


竜二はビボラの圧力に負けてエリーナに関する事を全部話した。特に隠すようなことはなかったし、もう上官でもなければ、彼女も竜騎士軍団の所属からは外れていた。何よりも理由はあれど約定を守ってくれなかったので、かばう必要もない。


竜二が喋っている間、ビボラは表情を変えることなく、竜二の発言に終始耳を傾けていた。


「…では戦争において直接彼女の指揮下で戦ったことはないと?」


「そうだよ。内乱の時もブルーノ隊長の指揮下で戦っていたから。」


「彼女のその後の所在はご存じですか?」


「エバンス総将から特別調査官になると聞いた。別れの言葉なく転属されていったので、彼女と直接は会ってないんだ。」


「今の話からすると、どうやら隊長はエリーナ・ブロノワを快く思っていないようですね?」


「そりゃ~…ね。快く思っていたら私生活の事ぐらいは口を噤むって。まあ内緒に出来るほどの項目もないけどさ。」


エリーナとの付き合いは実質上、一ヶ月にも及ばない。彼女のプライベートに関しては士爵館の西棟に住んでいることぐらいしか知らなかった。


「そうですか……時間を取らせて申し訳ありませんでした。」


そう言うとビボラは去って行った。話題が最後の方になると凄まじい殺気は静まり、いつものビボラに戻っていた。とりあえず竜二の発言を信じてくれたのだろう。


「一体なんだったんだ?」


あの二人とはなんか因縁があるのだろうか?

気にはなったが下手に追求するとビボラに殺されそうだったので、これ以上は詮索しないことにした。

竜二はその後、ラプトリアに会うために駐竜場に行った。


「これが噂のステルスドラゴンか?」


駐竜場に着いた瞬間、聞いた言葉がこれだった。

確か今回の遠征軍の陸軍総指揮官で名前はアパンという名前だったはずだ。


「天雷将軍閣下。かようなところにまで足を運んでいただき光栄です!」


そう目の前にいる五十代くらいの小太りなこの男は“雷”の将軍位を賜っていた。天雷将軍とは序列だと十二番目に相当し、地位は竜二の上にあたる。


「単なる陣中参りだ。自軍の事は知っておかねばならんだろう?」


「ご尤もです。」


「いいか。帝国の主役は我ら陸軍だ。今回の遠征も主役は同じだ。Aランクという事で期待されているみたいだが、私は評価せん。思い上がるなよ。お前達は陸軍の補助に回ればそれで良い。分かったな?」


「はあ…」


出たー!頭ごなしに見下して喧嘩口調な奴!

本心を隠しているのか、素の性格を曝け出しているのかは分からなかったが今までの帝国の将軍達は皆、個性の強弱はあれど尊敬できそうな人が多かった。パウルは苦手ではあったが武功と人望の高さは評価していた。

だが眼前の男は尊敬できそうになかった。そもそもこの男は先の内乱ではタカツキへの抑えとして国境の警備の任に当たっており、親聖教派貴族軍と戦っていない。


つまりラプトリアの活躍ぶりを見ていないのだ。今までの帝国での歴代A級騎士の人格などもあって警戒しているのかもしれない。その気持ちも理解出来たので適当に相槌を打つ程度にとどめた。


「しかし話には聞いていたが本当に貧弱で頼りなさそうな男だな。面構えも弱々しい。竜騎士の適性が無ければ平穏に暮らせただろうに……気の毒にな。どうせ相竜のおかげで今の将軍位を手にしたのだろう?我ら陸軍は当然だが、同僚の飛竜騎士達にも遠慮しろよ。」


「……遠慮しろとはどういう意味ですか?」


戦場においては身分や兵科の区別は無いはずだ。なにゆえ同じ所轄の同僚にまで遠慮しなければならないのだろうか。


「はあ?分からんのか?お前みたいな奴は相竜に乗っているだけのただの重石だからだ。そのヒョロヒョロな体と貧相な顔では相手は怯むどころか益々意気鷹揚になりかねん。つまりお前自身は役に立たんのだ。騎士が食べないと相竜も力がつかんそうだから食事はとってもいいが……雑用業務や睡眠場所は熟練騎士に気を使えと言ったんだ。馬鹿か?お前。」


さすがに竜二もカチンときた。

パートナーのラプトリアを馬鹿にされてないだけマシだが、自分という存在を蔑ろにされては冷静でいられなかった。竜二だってラプトリアに会うために苦労したし、何より好きでこの世界に来たわけでもない。(はらわた)煮えくり返る思いだったが半分は当たっていたし、上官に歯向かえば軍律を乱すことになり、ハルドル達にも迷惑がかかるのでここは精一杯の作り笑いで耐えることにした。


「今日から善処してみます……」


「当然だ。くれぐれも我ら陸軍より出しゃばるような事は……」




ビクッ!!




アパンは思いがけない殺気を感じた。視点を変えてみると殺気の出どころは竜二の後ろにいるラプトリアからだった。

これ以上、相棒を愚弄すると殺すと暗に警告しているかのようだ。今までの軍人生活においてこれ程の殺気を間近で感じた事は初めてだった。


「……ま、まあ程々にやれ。」


足がすくむのを必死にこらえながら踵を返してアパンは逃げるように去っていった。その姿を見て多少気分が落ち着いた。


「ありがとう!ラプトリア。ちょっと気が晴れたよ。」


ナイスだとばかりにラプトリアの体に頬をこすりつける。ラプトリアは微笑みながら竜二に向き直る。


「どういたしまして。マインドキネシスを通して竜二の気分がドンドン不快になっていくのが分かったの。この辺で懲らしめなくちゃと思ったのだけど、あとで竜二が叱られるかしら?」


逆恨みでリンチされることを心配しているのだろう。本当に良くできた相竜だと思う。


「全然!ラプトリアのその行為に感謝、大感謝さ!」


とはいえアパンに限らず、肉体どころか顔まで今後も馬鹿にされるのかと思うと先が思いやられるのも事実である。只でさえ、一人異世界に連れてこられて日本と同じ思いをするのも御免だった。〝雷〟の将軍の地位を賜ったおかげで多少は治まるかと思ったが、社会的に上には上がいるものだ。


ひょっとしてリサも肩身狭い思いをしているのではと思って竜二はリサを探した。


「おいチビ!ここはお前みたいな子供が来るところじゃねえんだよ。さっさと帰んな!」

「寄るな!貧民臭が移るだろうが。」

「おい!何こっち見てやがるんだ?」


リサを見つけた途端これである。リサは言い返すこともせず、泣くこともせず恥辱にも必死に堪えている。その姿はなんとも健気であった。

地位が上であるアパンならともかく、幸いにもリサを侮辱しているのは陸軍の士官二人と魔導士一人だった。竜二の今の立場なら悠然と注意することが出来る。早速、リサと士官達の間に入ろうとしたがその前にユーリーがリサの真後ろに現れて、雄叫びを放ち容赦なく威嚇した。


「くっ!!フンッ!お前にお似合いな不潔極まりない竜だな。」

「全くだ。下品極まりない。」

「………というよりブスだな。」


今まで耐えていたリサに怒気がこもる。


「辞めてください!ユーリーを侮辱するのは!自分の大切な相竜です!」


さすがに我慢の限界だったのだろう。大声で反論してきて士官達は一瞬たじろいだ。近くの樹木や雑草などの植物が動き出す。リサが魔法を発動しようとしている証拠だった。だが士官達は思ったほど動じることなく、すぐに持ち直す。


「はぁ?ユーリー?名前にもセンスねえな。あ?」


鞘でリサを小突きながら馬鹿にする。


だがその直後、士官は固まった。



ゴゴゴゴゴゴゴゴ……



「ほぉぉぉ何だってぇ?ブスだって?聞かせてもらおうじゃないか?誰がブスなんだい?」


「いや、あの……その。」


「下品」よりも「不潔」よりも「ブス」という言葉がユーリーの逆鱗に触れたらしい。士官は恐怖のあまり返答も出来ないようだった。ユーリーの口からは食い殺してやろうかとばかりに涎がしたたり落ち、目が赤く輝き、体から伸びた触手が今にも彼らを捕えようとしている。


「さあ聞かせな。誰がブスなのさ?名前にセンスが無いって?どんな名前がセンスあるって言うんだい?………どうなんだ!あああああ!?」


「ひぃぃぃ!」

「ぎゃあああ!」

「どわああ!」


触手で手足を掴まれた士官達は地面や樹木や岩に次々と叩きつけられ、瞬く間に傷と瘤と痣だらけになった。中には腕が変な方向に曲がっている者もいる。


『遅かったか』


竜二はユーリーの暴れぷりを見て内心スカッとしたが、彼らの負傷についてはどうやって言い訳しようか頭を抱えることになった。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




一方その頃、タカツキ連合国のある部屋で


「……という訳だ。帝国が遂にAランクの竜騎士を参戦させて来た。しっかりとお前が撃墜しろ。」


「冗談じゃないよ!Aランクとなんて戦ったら危ないじゃないか!他の竜騎士で迎え撃ってよ。」


何が危ないだ。戦いに安全などあると思っているだろうかこのガキは!贅沢三昧の生活でぶくぶくと太りおって!この税金泥棒が!


目の前にいる男は肥満体系で低身長の竜騎士だった。二十代半ばで名をラドルズ。子供じみている性格でいつもチーズを食べている。意気地が無く、弱腰で何事も他人任せ、自意識過剰で自分には病的に甘い。信じられない事だが彼こそがA級騎士であった。

連合国赴任当初は真面目で飾らない性格だったがA級騎士特有の厚遇生活にどっぷり浸かったことで徐々に腐敗していき、今となっては贅沢三昧で遊びまくる毎日を送っていた。


「Aランクを始め上位の騎士と闘うためにお前がいるのだろうが!今までの贅沢した分働け!」


「贅沢とはなんだよ!僕は正当な権利と生活を受けてるだけだけさ。取りあえず他の竜騎士と教団から派遣された竜騎士で戦ってよ!主役は最後だと決まっているじゃないか。君達が全滅しようものなら、いよいよ僕の番さ。」


間違いなく嘘だろう。手持ちの竜騎士と教団の竜騎士が全滅したら自己弁護をたくし上げて、ここぞとばかりに逃亡するに違いない。とことん呆れた奴だ。


「……これは命令だ。アイザック代表からも出撃命令が出ている。」


「ふふん。その手は食わないよ。僕は拒否するもんね。どうしても強引に出撃させるのなら本殿へ転属する様に訴えるだけさ。」


A級騎士は少ない分、引く手数多だった。本来なら余程の事情が無い限り、仲介された国から他国へ軍籍を変えるケースは無い。だがそういう裏でのグレーゾーンが適応されるのもA級騎士の特権でもあった。

こういう我儘が通ってしまうAランクの騎士に帝国が早々と見切りをつけたのは英断だったかもしれない。


「その転属させてくれるかもしれない教団からも命令書が発行されていたとしたらどうする?」


「…へ?」


さすがに唖然とした。そうなると後ろ盾になる物は何もなくなる。それどころか拒否すれば賞金首になるかもしれない。


「隊長殿、こちらへ。」


入ってきたのは派遣されてきた教団の竜騎士部隊率いる隊長だった。隊長は書簡を読み上げる。


「A級騎士ラドルズに勅命である!其方は相竜と共に公敵である帝国軍の飛竜騎士団と戦い、帝国軍を撃破せよ!なお公敵への出撃拒絶は反逆とみなし、教団の公敵とみなす!以上だ!」


「そ、そんな……こんな僕みたいな一個人に法皇が命じるなんて……」


ラドルズは打つ手なしとばかりに慌てふためいている。額には脂汗が見えた。


「疑うのかね?法皇様の印は押されているが……疑うなら枢機卿の証言をとろうか?その時点でラドルズは法皇様の命令に難色を示していると思われ、反逆の意志ありと見なされるかもしれないが?」


「あわわわ!やります。わたくし、ラドルズは帝国軍A級騎士を倒し、帝国軍を撃破します!」


ラドルズは勅命を復唱し、肥満の体を揺さぶって臣下の礼をする。

その姿を見て教団の隊長はニヤッと笑ったのだが、頭を垂れていたラドルズは知る由もない。




ゲームなどでは余りクローズアップされてませんが、クロスアーマーは実在の鎧です。プレートアーマーの下に着こまれていたといわれてます。


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