異世界であることを認識
竜二は大きく目を見開いた。
「異世界ですって!?」
「驚くのも無理はない。私も驚いている・・・・・・
だが、目で確認した方が早い。
窓から外を覗いてごらんなさい。」
エドガーから言われ
おそるおそる窓を空けて外を見た。
「な!」
青々とした空、遠くに青々とした海が見えるが
下を向いた途端、驚愕に変わる。
明らかに日本ではない。
明らかに西洋風の町。
明らかに町民は日本人ではない。
明らかに西洋人。
ここまでなら、外国それもヨーロッパあたりに連れてこられたと思えるが、
不審な点がいくつもある。
自動車や自転車が無い。明らかに馬や馬車で移動している。
道路がアスファルトではない。明らかに土が丸見えである。
服装が古風すぎる。
明らかにワイシャツやジーンズ、スニーカーを装着している人がいない。
海辺を見ると漁船もクルーザーも客船もない。
明らかに帆船や手漕ぎ船や筏である。
まるで、中世のヨーロッパの世界を再現した映画の世界みたいだ。
しかし、
どう見てもドッキリに見えない。
少なくともこの生々しい潮風を受けてる分には・・・
それに、芸能人でもない自分にこんなドッキリやっても意味が無い。
もしこれがドッキリであれば、相当な制作費と労力を使っていることになる。
さらには眠っている自分を移動させた交通費と時間もかかることになる。
つまり、目に見えるこの風景が現実のようだ。
「待ってください!この様な風景は俺の世界にだってあります!
発展途上国なら不思議ではないです。自分の母国でないことは認めざる得ないでしょうが、なんで異世界から来たと決めつけるのですか?」
確かに、東欧などにはありそうな風景ではある。
実際、その美しい町の景観が希少価値があるとして町そのものが世界遺産に
なっているところもある。
ちなみに竜二は、アメリカにもヨーロッパにも渡航経験がある。
一度も日本から出たことがない人に比べれば、冷静により柔軟に理解力と適応力を
働かせているといえよう。
「ふむ、尤もだ。あえて理由を言わせてもらえるなら
君の口から我々にとって一般的な《とある生物》が一切聞けなかったからだよ。」
「とある生き物?」
竜二は問いかけた。
「聞くところによると君の知識では最も大きい動物は象とかキリンとか熊だそうじゃないか?」
「ええ。俺が知っている限り、陸上生物ではそれで間違いないかと」
勿論これは、質問された時、《陸上生物に限って》と制限されたからである。
海生生物も入れていいなら、
魚類ならジンベイザメ。哺乳類ならシロナガスクジラと答えるのだが。
「ならば、君から見れば
この世界は異世界である可能性が高い。
この梯子をのぼって扉を開け、屋根の上に出てみると良い。」
エドガーはベッドの下から梯子を取り出して壁に立てかけた。
部屋は見渡したつもりだったが、ベッドの下は死角だったな。
などど思いながら、ゆっくりと梯子を登り、蓋とも言える扉を空け、
屋根上に出る。
そして空を見渡した時、竜二は自分が異世界にいる。
いや、絵本の中に実際に入ってファンタジー世界に迷いこんだのではないかと過剰認識することになる。
コウモリの翼と恐竜のような体を持った動物が空を悠々を飛んでいる。
「竜が・・・ドラゴンが飛んでいる・・・」
スミマセン。説明のような章が続きますが、もう少しお付き合いください。
前半に世界観の説明を詰め込み過ぎるとダレてきますよね(笑)
極力、簡潔にしたいと思ってます。
出来るかどうか分かりませんが・・・・